食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06060671535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、経口バイオアベイラビリティの改善に向け設計されたサプリメント用化合物の新製剤に関するディスカッションペーパーを公表 (後半2/2)
資料日付 2023年5月11日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06060670535)

2. 概要及び議論
 ある種のサプリメント用化合物では、経口バイオアベイラビリティが低いことから、その吸収率を高め、初回通過代謝を低減する新製剤を設計する取り組みが進められている。ミセル化、リポソーム化、エマルジョン・ベース、脂質ナノ粒子化システムとして製造された、食品グレードの界面活性剤及び脂質賦形剤から構成される製剤がサプリメント市場に台頭しつつある。このようなシステムは、親油性分子を可溶化して生物学的アクセス性を高め、リンパ管輸送を促進し、傍細胞機構を介した直接摂取に寄与することにより、経口バイオアベイラビリティを向上させる可能性がある。
 議論された3件のケース・スタディから、ビタミンC、クルクミノイド類、CBDの代替的新製剤は、それらの薬物動態を大幅に変化させることが示唆された。標準的な薬物動態パラメーター(AUC0-n、Cmax)により決定された通り、標準/未製剤化のサプリメントに対する新製剤の経口バイオアベイラビリティの向上は、全体として正式に確認された。しかしながら、使用された用量や参照製剤が異なるため、これらの研究間の比較は困難である。クルクミンに関する研究数件では、参照製剤と試験製剤を異なる用量で投与し、用量正規化を用いて相対的なバイオアベイラビリティを比較している。クルクミンの薬物動態は潜在的に非線形であり、このアプローチではバイオアベイラビリティの倍率変化が誤って示される可能性が示唆される。
 又、EFSAは2018年に、「ナノテクノロジーに関するリスク評価のためのガイダンス」において、「送達システムに使用される食品材料から得られるシェル(脂質コーティング等)成分の量は、一般に、食事や他の承認された用途に由来する通常の摂取量よりも遙かに低い」点に留意している。そのため、シェルの成分が、通常身体を構成する成分でも、認可された食品添加物でもない場合を除き、シェルの成分に関しほぼ懸念はないと考えられる。しかしながら、これらのキャリア・システムと生物学的分子との相互作用、及び、これらのシステムにおける「新たな生物学的アイデンティティ」の形成を考慮すると、これらの送達システム固有の毒性は、不確実な領域にあると判断され、例として、免疫学的相互作用に関する不確実性が挙げられる。
 最後に、論じられた研究の大半は、潜在的に商業的利益に関連している点に留意する。新製剤を開発する企業単独で実施された研究もあれば、関心を持つ企業と学術機関との共同研究として実施された研究もある。加えて、学術誌では、利害関係を申告する(declaring interests)ためのガイドラインはケースバイケースで適用されている。その結果として、公表されている一部の研究では、商業的/競合的利益自体を報告していない一方、同一研究において公表された資金提供の宣言では、当該研究と商業的利益が結び付けられている。これらの事実を考慮すると、当該文献には報告バイアスが存在する可能性があり、提示された知見がポジティブな効果に偏っている可能性がある。
3. COTに検討を要請する質問
1) サプリメント用化合物の新製剤に関し、どのような追加情報及び/又は具体的な情報を求めるか。
2) 記載された事例に関し、より詳細な研究(ばく露評価とリスクの判定)を要請するか。どのような薬物動態パラメーター及び演算が最も有用か。
3) 更なるケース・スタディや事例を有用と考えるか。有用と考える場合、COTの関心となる特定の製剤及び/又はサプリメント用化合物はあるか。
4) 新サプリメント製剤に関する市場動向(予測)のレビュー報告書の購入は、これらの製剤と関連する今後のリスク評価に資すると考えるか。資すると考える場合、どの種の報告書が最も有用と考えるか。本ディスカッションペーパーにて特定した報告書は、2,000 - 4,000ポンドの価格帯にある。本ディスカッションペーパーにて提示した報告書以外に、価値が高いと思われるデータは存在するか。
5) サプリメントの新製剤と強く関連する毒性学的エビデンスに関し、その安全性評価を有意義なものとするためには如何なる情報が必要であると考えるか。
6) 現在、健康影響に基づく指標値(HBGV)が設定されている場合、本ディスカッションペーパーにて議論された新たな手法により製剤化されたサプリメントに対し、保護的であると考えるか。保護的ではないと考える場合、今後HGBV導出のために如何なる情報を要請するか。
7) 公表された研究或いはそのサブセットにおける利益相反に関し、より詳細な情報を要請するか。
8) その他、本ディスカッションペーパー全般に関し、意見及び/又は質問はあるか。
(注) 本文書はディスカッションを目的とする。当委員会の見解を示すものではなく、引用されるべきではない。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Discussion%20Paper%20on%20Novel%20Formulations%20of%20Supplement%20Compounds%20Designed%20to%20Increase%20Oral%20Bioavailability
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