食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06100121535 |
タイトル | 英国毒性委員会(COT)、マイクロプラスチックの吸入ばく露による潜在的リスクに関するサブステートメント(第3次草案)を公表 (2/3) |
資料日付 | 2023年6月29日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | (この記事は 2 / 3 ページ目です) (前ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06100120535) 大気、土壌、食品、水など、さまざまなマトリックスに対する標準化された検査法は存在しない。利用可能な検査法にはそれぞれ限界があり、適切な標準物質も現在のところ入手できない。さらに、すべてのプラスチックの種類および/またはすべての粒子サイズや形状に適した単一の手法は存在しない。マイクロプラスチックを完全に評価するためには、一連の手法を用いるか、新たな手法を開発する必要があるかもしれない。 NMPの毒性に関しては、どのタイプのポリマーにも無毒性量(NOAEL)は確認されていない(ただし、Merskiら(2008)(訳注※5)が報告した経口ばく露におけるラットでのポリエチレンテレフタレート(PET)粉末の2,500 mg/kg体重/日は、例外となる可能性がある)。欧州化学品庁(ECHA)の化学物質登録・評価・認可・制限(REACH)データベースから入手可能なデータは、原料物質、すなわちモノマー、に関するもののみである。さらに、ばく露経路の多様性も考慮しなければならない。 現在のところ、マイクロプラスチックの特性評価と試験は標準化されていないため、異なる方法論と分析技術による研究を比較することは困難である。 空気中のマイクロプラスチックによる汚染や試料の二次汚染(cross-contamination)も、研究の解釈に影響する可能性があるため、適切な対照試料の入手が困難な場合がある。 ほとんどの毒性研究は、主にポリスチレンなどの無垢の粒子を用いて行われている。しかし、これらの粒子は劣化過程を経ておらず、マイクロプラスチックに付着する追加の汚染物質も含んでいないため、これらは環境中に存在するマイクロプラスチックを代表するものではないかもしれない。使用できる特定の標準物質はないことから、得られる結果は使用する粒子に依存することも起こりうる。 優先研究項目 COTは、ヒトにおけるNMPの潜在的毒性に関するデータギャップを解決するために、重要度の順に以下の優先研究項目を推奨し、研究者に呼びかけることを提案する。これらの研究分野の情報は、吸入および他のばく露経路によるこれらの粒子に関する将来のリスク評価に役立つであろう。 1. ウェットラボ/実験環境で使用するための標準物質と材料の開発。また、様々なマトリックス中のマイクロプラスチックやナノプラスチックの適切な定量・検出方法の開発。 2. 同一種類のNMPが異なる組織に及ぼす影響、および異なる種類のNMP(ポリマーの種類、サイズ、形状など)が同一標的組織に及ぼす影響を調べるための研究(in silico、in vitro、in vivo)。(物理化学的特性に関する研究) 3. 人体におけるNMPの残留性と潜在的蓄積性、およびNMPの消化可能性に関する研究。(キネティクスに関する研究) 4. 様々な大きさと組成のNMPが人体組織にどの程度取り込まれるかを調査し、人体内のマイクロプラスチックの存在を特定できる技術を開発する(生体組織検査、組織バンクからの検体、可能であれば病理組織切片など)。(生物学的影響に関する研究) 5. ナノスケールの粒子の研究から、ナノプラスチックは肺の下部に沈着することが知られており、肺細胞関門を通過して二次臓器に移行することが示されている(Fournierら(2020)(訳注※6))。したがって、サイズに関連した影響を理解するためには、ナノプラスチックの潜在的な影響を調べる研究を増やす必要がある。(物理化学的特性に関する研究) 6. MPとそれらに関連する汚染物質濃度およびマトリックス(大気、土壌、食品、水など)、関連するマトリックスにおける汚染物質/溶出物の脱着とその後の吸収率(bioavailability)に及ぼす調理の影響の包括的な評価が必要である。(化学的特性/移行/分解に関する研究) 7. バイオベースのプラスチック(竹製品(bamboo ware)、ポリ乳酸、キチンなど)やその他の先進的ポリマーマトリックス複合材料など、市販されている新規/新興プラスチックベースの材料の使用中および使用後のNMPへの寄与の可能性に関する劣化の評価。それらがすでにNMPや類似粒子の負荷に寄与しているかどうか、またどの程度寄与しているかは不明である。(移行・劣化に関する研究) 8. 環境中のマイクロプラスチック濃度は、今後増大すると予想される。加えて、COVID-19の大流行による使い捨てプラスチック製個人用保護具の増加と広範な使用も、プラスチック汚染の重大な一因となる可能性がある。しかし、マイクロプラスチック粒子状物質の定量化方法は現在のところ限られており、推定しかできないため、技術の改善が必要である。したがって、関連する食品、水、大気中のNMP濃度を、モニタリング・プログラムを設けるなどして定期的に評価する必要がある。このデータは、国内および国際レベルで、学界、研究者、政府機関が協力して共有するのが理想的である。(移行/分解と分析方法/検出に関する研究) (次ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06100122535) |
地域 | 欧州 |
国・地方 | 英国 |
情報源(公的機関) | 英国毒性委員会(COT) |
情報源(報道) | 英国毒性委員会(COT) |
URL | https://cot.food.gov.uk/Sub-statement%20on%20the%20potential%20risk(s)%20from%20exposure%20to%20microplastics:%20Inhalation%20route%20(Third%20draft) |