Q&A詳細

評価案件ID mob20110300008
タイトル 食品添加物や残留農薬の複合毒性について
公表日 2011年9月7日
問い合わせ・意見 食品安全モニターとして、一般消費者の方々から食品添加物や残留農薬の安全性について質問されることが度々ある。その際に、それぞれの物質の安全性については、食品安全委員会でリスク評価が行われ、その評価に基づいてそれぞれの摂取量が一日摂取許容量(ADI)以下になるように規制されていることで安全性が確保されているということで理解されやすい。しかし、それらの複合毒性については、ADIの設定の際には適切な安全係数をとっていること、食品添加物や残留農薬の実際の摂取量は、設定された一日摂取許容量をかなり下回っているということではなかなか理解が得られない。何かもっとよい理論的根拠があればよいと考える。
問い合わせ・意見分類 食品安全委員会活動一般関係
コメント元 食品安全委員会
コメント 食品安全委員会は、厚生労働省からの要請を受け、個々の食品添加物の安全性の評価を行っています。

現在、複数の化学物質を同時に摂取した場合のリスク評価は行われていませんが、一日摂取許容量(ADI:mg/kg 体重/日で表示)設定の際には適切な安全係数がとられていることから、現在のところ、食品添加物による複合影響が生じる可能性はほとんどないと考えられます。

食品安全委員会では、食品添加物の複合影響について、これまでの国際機関での検討状況や最新の研究成果などの知見を収集・整理するため、平成18 年度の食品安全確保総合調査として「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査」を実施し、その報告書を当委員会ホームページに公表しています。この調査においては、個々の添加物として評価されている影響を超えた複合的な影響が出ている事例は見出されておらず、日常摂取している範囲内においては、添加物を複合して摂取することによる健康影響が実際に起こる可能性は極めて低いとされています。

また、農薬の複合影響についても、平成18年度食品安全確保総合調査「農薬の複合影響評価法に関する文献調査」を委託事業として実施しています。本調査の結果、総合的な知見及び各国の評価の事例を考慮すると、食品を通じてヒトが曝露する農薬の用量は、一般的にNOAEL(無毒性量)よりもずっと低いため、『我々の実生活において農薬の複合影響が起こり、ヒトの健康に害を及ぼす可能性は小さいものと考えられる。』と報告されています。

複合影響については、不安の声が寄せられやすいテーマでもありますので、引き続き御指摘も参考にしながらわかりやすいリスクコミュニケーションに努力していきたいと思います。

〔参考〕
○食品安全委員会
「食品中の化学物質の複合的な影響について(季刊誌「食品安全」vol.20)」
http://www.fsc.go.jp/sonota/20gou_7.pdf

「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20070330001

「農薬の複合影響評価法に関する文献調査」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20070330004
添付資料ファイル -