研究情報詳細

評価案件ID cho99920222003
評価案件 新生児期から乳幼児期におけるメチル水銀の曝露評価 (研究課題番号JPCAFSC20202003)
資料日付 2023年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  成長期にある胎児から小児の脳は、メチル水銀に対して高感受性と考えられるが、出生後のメチル水銀の曝露実態は不明である。そこで、1)母乳・離乳食・幼児食の水銀量を測定し、出生後のメチル水銀曝露量を調べ、2)児の血中及び毛髪中水銀量を測定し、成人の摂取量推定で用いられたキネティクスモデルが乳幼児に適合するかを解明することとした。
 本研究では母乳調査・食事調査・血液/毛髪調査からアプローチした。母乳調査では300人の初乳・移行乳・成乳を収集し、総水銀・メチル水銀濃度は出産直後より徐々に増えた。総水銀に占めるメチル水銀の割合をみると、出産直後は5割程度であったが、産後5ヶ月では7割まで上昇した。また、水銀は60%程度が脂質に存在することが明らかとなり、前乳に比べると後乳の脂肪量が多いことからメチル水銀濃度も高くなることが示された。食事調査では260名より3日分の児の食事を収集した。食事中総水銀・メチル水銀濃度は、児の体重あたりでみると、離乳食中期・後期から増加した。曝露評価を行う際、毛髪水銀濃度から摂食量が推計されており、その代謝モデルでは毛髪と血中の水銀濃度の比として250:1が用いられる。小児の場合にも、y=253.3x+0.394となりWHO(1999年)が250:1としてリスク評価に使用されたものと同等であった。出生後の曝露が児の健康に及ぼす影響に関する知見は十分ではないが、比を見る限りは乳幼児にも適合するものと考えられた。
 以上より、本研究では、出生後のメチル水銀曝露実態を明らかにすることができた。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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