研究情報詳細

評価案件ID cho99920212002
評価案件 家畜由来薬剤耐性菌の水圏・土壌環境を介した野菜汚染の定量評価およびヒトへの伝播に関する研究 (研究課題番号JPCAFSC20202002)
資料日付 2022年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 市販野菜から薬剤耐性菌が検出される事例が報告されているが、その薬剤耐性菌の由来は明らかではない。畜産農場からの堆肥や排水は圃場で利用されるため、家畜由来耐性菌は、野菜から分離される薬剤耐性菌の由来の一つとなる可能性が考えられる。そこで、農場から野菜を介してヒトへ伝播するリスクを定量的に評価することを目的に試験を実施した。①大学附属農場等をモデルとして、家畜由来耐性菌が野菜へ伝播する程度を調べた。②牛、水圏、野菜、ヒト臨床由来耐性菌のゲノム解析を行った。また、③以上の結果および公表データを集めて定量的リスク評価を試みた。
結果、
①農場において、家畜排泄物に含まれる薬剤耐性菌と近縁な株が、土壌及び作物からも分離されたことから、家畜由来薬剤耐性菌が土壌を介して野菜に伝播する可能性は否定できなかった。一方、家畜排泄物が作物まで伝播することは極めて程度が低いことが確認された。
②ゲノム解析の結果、疫学的な関連がないため、明確なことは言えないが、blaTEM遺伝子が、プラスミドなどにより由来を超えて、家畜、水圏、野菜、ヒト臨床由来耐性菌に伝播、拡散していること可能性が示唆された。
③畜産由来βラクタマーゼ産生菌の野菜の発生リスクについて定量的に評価した結果、βラクタマーゼ産生菌に限った場合、野菜収穫段階での圃場土壌中の菌数はすでに非常に低いレベルにあると推定された。
以上の結果より、家畜由来薬剤耐性菌が、土壌や野菜を介してヒトへ伝播する可能性は存在するが、リスクは極めて低いことが示された。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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