研究情報詳細

評価案件ID cho99920201905
評価案件 メチル水銀の脱メチル化機構における食品中の水銀/セレンのバイオジェニックナノ粒子形成(研究課題番号1905)
資料日付 2021年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 ヒトがばく露され得る水銀の化学形態には、金属水銀、無機水銀及び有機水銀の3態があるとされるが、実際の食品、特に魚介類にはこれらに加えて、必須微量元素であるセレンと複合体を形成し、ナノ粒子化した水銀/セレンナノ粒子が含まれる。この複合体は、他の水銀化合物よりも低毒性とされているが、生体内での検出法や動態が明らかになっていないことから、そのリスクが評価されるに至っていない。本研究では、水銀/セレンナノ粒子の検出法を確立し、その動態を明らかにすることとした。さらに、水銀/セレンナノ粒子の形成に必要である生体内でのメチル水銀の脱メチル化機構についても検討を行った。
メチル水銀の脱メチル化については、海棲生物の体内に存在する化合物が関与し、高効率で脱メチル化反応を進行させること及びその分子機構を明らかにした。また、食品中に存在する水銀/セレンナノ粒子を高時間分解型誘導結合プラズマ質量分析計により分析する方法を初めて確立した。さらに、体内動態については、経口的に投与した水銀/セレンナノ粒子が、セレン欠乏ラットにおけるセレンタンパク質の生合成に利用されなかったこと、尿中への排泄はなかったが、糞便中にセレン及び水銀の多くが排泄されたことから、水銀/セレンナノ粒子は、消化吸収されることなく排泄され、生体内で水銀イオンや無機セレンに由来する急性毒性を示さないと考えられた。一方、慢性毒性については、下部消化管内に水銀/セレンナノ粒子が若干蓄積したことから、今後、更なる検討が必要である。


(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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