研究情報詳細

評価案件ID cho99920191706
評価案件 合成樹脂製器具・容器包装のリスク評価における溶出試験法に関する研究
資料日付 2020年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  令和2年6月よりポジティブリスト制度が施行される。これにより、食品安全委員会では、継続的な新規物質のポジティブリストへの収載のための健康影響評価の要請に対応する必要がある。しかし、研究開始時点では具体的なリスク評価方法は確立されていない。そのため、早急に溶出試験法を中心としたリスク評価方法を整備する必要がある。そこで、我々は、我が国と欧米の現状を比較するとともに、米国及び欧州連合における最新のリスク評価のための溶出試験法を調査し、これらの結果を基に、我が国における合成樹脂製器具・容器包装のリスク評価のための食事中濃度の算出方法及び溶出試験法案の作成を行った。
食事中濃度の算出方法は、我が国のポジティブリスト制度と米国及び欧州連合の制度を比較して検討した。溶出試験法は、8~10種の物質を含有するポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、硬質ポリ塩化ビニル(硬質PVC)、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)の8種のモデル試料を作成し、種々の条件で溶出試験を行った。
 日本の業界団体の自主基準において使用が認められている添加剤について、自主基準の内容と米国及び欧州連合の基準値等の整合性に関する調査を行った。その結果、約75%の物質が米国または欧州連合においても使用が認められていた。一方、約5%の物質は米国または欧州連合で使用が認められていなかった。食事中濃度の推定は、日本のポジティブリストシステムを考慮して、合成樹脂グループの消費係数(CF)及び食品区分係数(DF)と5種の食品区分の移行量(Q)から算出することとした。溶出試験については、試料条件(物性、対象物質の含有量、形状、厚さ)及び試験条件(食品擬似溶媒、食品擬似溶媒量/試料表面積の比率、溶出温度・時間)の検討を行った。試験条件については、モデル試料を用いた実際の溶出試験とin silicoによる予測の結果を基に設定した。特に、(i) 長期保存食品の加速試験、(ii) 乾燥食品、(iii) 油脂及び脂肪性食品の代替条件、(iv)電子レンジ加熱における溶出試験条件の設定においては様々な溶出試験を実施した。これらの結果を溶出試験法案に反映させた。
 本研究で提案した内容は「食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針」(2019年5月)に採用されており、今後の指針の運用する際の重要な資料となる。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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