研究情報詳細

評価案件ID cho99920181705
評価案件 食物アレルギーと経口免疫寛容の成立機序の違いとアナフィラキシーの発症機序から見たリスク評価
資料日付 2019年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 "本課題では、1.食物アレルギーと経口免疫寛容の成立機序の違いと、2.アナフィラキシーの発症機序の解析を実施した。
1. 食物アレルギーと経口免疫寛容の成立機序の違いの解析では、湿疹等による経皮感作が誘発する食物アレルギーの成立と経口免疫寛容の違いを示すバイオマーカーが明らかになってきた。生理的な経口免疫寛容の成立には、乳児の発育に伴って進むイムノグロブリンクラススイッチはIgM➝IgG3➝IgG1➝IgG2➝(IgG4), IgM➝low affinity IgEを示した。一方、このクラススイッチ成熟過程で経皮感作が起きると、IgG1からIgG2➝(IgG4)へのクラススイッチの進展が阻害され、蓄積されたhigh affinity IgG1からhigh affinity IgEへのクラススイッチが進むことが示唆された。また、重症の食物アレルギー患者に実施する経口アレルゲン免疫療法でも、治療応答例では、治療と共にIgG1➝IgG2➝ high affinity IgG4のクラススイッチが進み、IgEはhigh affinityからlow affinityに変化することが確認された。このように、クラススイッチとアレルゲンに対するaffinityのモニターが、食物アレルギーと経口免疫寛容の成立のモニターに重要であることが明らかになった。
2. アナフィラキシーの発症機序の解析では、食物アレルギーの症状は原因抗原によって異なることが知られており、ソバやピーナツ、甲殻類などが重篤なアナフィラキシーを発症し易いとされている。しかし、なぜアナフィラキシーを発症し易い抗原とそうで無い抗原があるのかについては全く明らかにされていない。本研究では、アナフィラキシーを惹起する可能性のある機序の一つとして、抗体の抗原分子への結合力(affinity)に着目し、抗原によるhigh affinity IgEの産生機序を、モデル動物と培養細胞系を用いて解析した。①経皮感作において重要な役割を演じるTSLPが抗原提示細胞の食胞内の蛋白分解酵素活性に及ぼす影響を検討した。その結果、酵素活性の低下を認めたが、その詳細な機序は不明である。②各種サイトカインがB細胞におけるクラススイッチとsomatic hypermutationを誘導する酵素であるAICDAの発現に与える影響を検討し、IL-4とTSLPがAICDAの発現を増強することを見いだした。③IgE依存性食物アレルギー患者のIgE抗体のAffinityをアナフィラキシーの有無で検討している。④経皮感作で誘導される鶏卵アレルギーマウスモデルを樹立した。このマウスの抗原投与時の体温低下やIgE抗体価、脾細胞のTh2サイトカイン産生や皮膚の透過性などは全て皮膚局所のIL-33の発現と相関しており、IL-33の発現は年齢依存的に、年長のマウスほど高かった。現時点では一部の食品ではAffinityが高くなることを直接証明は出来ていない。しかし、食品ごとの抗原提示細胞の食胞内の分解酵素の活性等を測定する系や、マウスの経皮感作による食物アレルギーモデルを樹立した。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。"
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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