研究情報詳細

評価案件ID cho99920181607
評価案件 発生毒性試験における胎児形態異常に関するデータ収集と骨格変異の毒性学的意義に関する研究:フルシトシン誘発性過剰肋骨の発現機序からの考察
資料日付 2019年2月28日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 "本課題では、ラット生殖発生毒性試験の胎児骨格観察において、しばしば自然発生性に観察される骨格変異である過剰肋骨の毒性学的意義を調べた。2011年から2015年に国内24機関(15施設の製薬企業、9施設の受託機関)にて実施された生殖発生毒性試験の背景データを収集した。この背景データには、帝王切開所見、胎児の外表、内臓、骨格所見が含まれる。この調査によると過剰肋骨は比較的高頻度に観察され、系統差もあった。SDラットでは0.07-12.98%、Wistar Hannoverラットでは4.98-58.10%の発現頻度であった。過剰肋骨を有した胎児は、胸椎骨化不全やHox遺伝子発現異常を示唆させる仙椎前椎骨数増加を併発していた。薬剤誘発性による過剰肋骨動物モデルとして、フルシトシンの前後軸を決定するHox発現に対する影響を調べるために、75 mg/kgのフルシトシンをラットの妊娠9日あるいは13日に経口投与し、13日の午後の胎児を用いて評価した。その結果、妊娠9日投与にてHoxa10 の尾方化が確認され、その結果として過剰肋骨が発現した。妊娠13日投与により、Hox11-13遺伝子発現異常による肢芽の形態異常が認められた。これらの結果により、フルシトシン投与時期に一致したHox遺伝子の発現異常が起こっていることが明らかになった。また、生後の過剰肋骨の形態推移を調べるためにフルシトシン5胎生期暴露出生児を用いてCT撮影にて追跡した。第13肋骨及び第14肋骨(過剰肋骨)の長さは成長とともに伸長したが、その割合(第13肋骨に対する第14肋骨の比)は一定であった。即ち、過剰肋骨は生後に正常範囲を逸脱するような伸長はしないことがわかった。また、過剰肋骨の型(痕跡、短小、完全)は胎生期における観察と生後観察では同様であることが明らかになった。これは過剰肋骨の評価は胎児期で可能であることを示している。今回の結果は、自然発生性及び5-FC誘発性の過剰肋骨はともにHox遺伝子発現異常に起因した変化であることを示している。このHox遺伝子発現異常を起こす機序の解明が自然発生性と薬剤誘発性の過剰肋骨を識別するだろう。さらなる研究が必要である。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。"
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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