研究情報詳細

評価案件ID cho99920161507
評価案件 食品由来のアクリルアミド摂取量の推定に関する研究(研究課題番号1507)
資料日付 2017年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  本研究は日本人の食事由来のアクリルアミドの摂取量の推定法を確立することを目標とした。
課題1:統計的手法を用いて日本人における食品由来のアクリルアミド(以下「AA」という。)の長期平均摂取量の分布を推定した。食品中AA濃度には農林水産省の調査結果等、課題2において得られた測定結果および国内の文献情報等を、食品摂取量には平成24年国民健康・栄養調査情報を用いた。モンテカルロシミュレーションの結果、日本人のAAの長期平均摂取量は147–154 ng/kg bw/day、95パーセンタイル値は226–261 ng/kg bw/dayと推定された。飲料、高温加熱調理したじゃがいも及び野菜類がAA摂取量に寄与すると推定された。国内の長期食事調査情報から得た4食品群の摂取頻度の分布をもとに、ブートストラップ様のリサンプリング法を用い、各食品群の仮想的な生涯食品摂取頻度の個人分布を予測した結果、コーヒー、緑茶・ウーロン茶では、食品摂取頻度の個人差がAA摂取量の推計値に及ぼす影響が相対的に大きいことが示唆された。
課題2:課題1に資する情報収集のため、家庭における食品の加熱方法と加熱調理食品に含まれるAA濃度を調査した。質問票回答者257名において、カレー、肉じゃが、およびシチューを作る際、じゃがいもを、下処理として炒める(以下「下炒め」という。)者の割合は63 %、玉ねぎを下炒めする者の割合は82 %であった。回答者の一部に、カレー、シチュー、肉じゃがのいずれかを作る際のじゃがいも・たまねぎの下炒め調理を再現してもらい、これを試料として収集し、AAの濃度を測定した。下炒めじゃがいも53点のAA濃度は、平均値11 ng/g、中央値5.0 ng/g、最小値2.5 ng/g、最大値120 ng/gであった。下炒め玉ねぎ58点のAA濃度は、平均値36 ng/g、中央値14 ng/g、最小値2.0 ng/g、最大値420 ng/gであった。
課題3:2015年10月から2016年11月にかけて、神奈川県と茨城県、およびその近隣に住む成人119名を対象に、1日の陰膳と食事記録を収集した。陰膳試料は均質化し、LC-MS/MSを用いて試料中のAA含有量を測定した。陰膳110試料の測定の結果、対象集団のAAばく露量の中央値は144 ng/kg-bw/day、平均値は 222 ng/kg-bw/dayと推定された。統計解析の結果、コーヒーや高温調理した芋や野菜類の摂取の有無によってAA摂取量が有意に異なることが示された。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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