研究情報詳細

評価案件ID cho99920151404
評価案件 食品摂取により発症する新規アレルギー/アレルギー様反応に関する調査研究(研究課題番号1404)
資料日付 2016年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  食品によるアレルギーは、本来食品中の蛋白アレルゲンに対する免疫学的機序を介した反応に基づくが、近年、蛋白アレルゲンによる古典的食物アレルギーの概念では説明しがたい、新規アレルギー/アレルギー様反応の報告が相次いでいる。また、食品中の蛋白アレルゲンによるアレルギー反応であっても、その感作の成立には、経口ルート以外の経皮、経気道ばく露が重要であることを示す事例が着目されている。本研究では、新規アレルギー/アレルギー様反応に関する、これまでに行われている国内外の研究や調査結果、疫学情報、海外における取組状況等を収集するとともに、疫学調査を実施することにより、実態と問題点を把握し、これらを踏まえて機序解明とバイオマーカーの探索に関する基礎的検討を行った。
 食物中の非蛋白低分子化合物による即時型アレルギー成立の機序としては、(1)低分子化合物が他の蛋白と結合してハプテンとして働く、(2)低分子化合物がマスト細胞や好塩基球等の機能を修飾することで、他の食物由来蛋白によるアレルギー反応を増強する、(3)低分子化合物製品に混入する蛋白によりアレルギーが惹起される、といった機序が考えられる。今回の検討対象品目において、糖アルコールのアレルギーはIgE と血液中の非血球成分の両者に依存性であることより、(1)のハプテンーキャリアーの機序で発症することが示唆された。一方、エリスリトールは、その摂取により、腸管透過性の亢進、ムチン量の減少及び腸管細菌叢の変化がみられたことから、他の原因による食物アレルギーを増強する可能性も示唆された。
 コチニールアレルギーは、夾雑物を含むコチニール色素刺激で好塩基球活性化試験(BAT)とIgE crosslinkinginduced luciferase expression (EXiLE)が陽性を示したのに比し、純度の高いカルミン酸刺激での反応は微弱であったことから、夾雑物を原因とするアレルギーであることが示唆された。同じく夾雑物アレルギーと想定されるキチン、キトサン及びグルコサミンについては、今回の検討では、健康食品等に使用される原材料は高度に精製されており、甲殻類タンパク質の混入はないことが示されたことから、これら自体が原因物質である可能性についても検討する必要があると考えられた。
 環境中のアレルゲンにより経皮又は経気道的に感作され、食物アレルゲンにより発症するアレルギー/アレルギー様反応については、豆乳により全身症状をきたす大豆アレルギー、マダニ咬傷により経皮感作されて起こる遅発性食肉アレルギー並びに化粧品中に含まれ経皮感作により発症する加水分解小麦、米ぬか及びパパインについて検討した。米ぬかアレルゲンについては、コメの52kDa グロブリンが主に米ぬかに、19kDa グロブリンが白米に存在すること、経皮感作が推測される米ぬかアレルギー患者においては、52kDa 及び19kDa グロブリンに対するIgE が検出されるなどの知見を得た。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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