研究情報詳細
評価案件ID | cho99920131102 |
評価案件 | アルセノシュガー、アルセノリピッドを含有する食品摂取による健康リスク評価(研究課題番号1102) |
資料日付 | 2014年3月31日 |
分類1 | --未選択-- |
分類2 | --未選択-- |
事業概要 | アルセノシュガー(AsSugs)あるいはヒ素脂質(AsLipid)を含有する食品を摂取することによるヒ素の健康リスクを評価するために研究を行った。 「食用海産動植物に含まれるAsSugs、AsLipidの効果的な抽出法の検討」においては、ワカメを用いた酵素処置による抽出法を検討したところ、セルラーゼとアルギン酸リアーゼによる細胞壁分解とエタノール抽出で高い回収率を得た。なお、脂溶性ヒ素化合物の抽出のためにFolch法を使用した。 「AsSugsとその中間代謝物の化学合成」においては、海産食品中の主なヒ素化合物であるAsSug328の合成を試み、9つの反応ステップからなるAsSug328と、有毒な中間代謝物であるジメチルモノチオアルシン酸(DMMTA)の合成法を確立した。 「食品中のAsSugsの化学形態と定量分析」においては、ワカメ中のAsSugsの同定はLC/MS/MSとLC-TOF-MSを用いて行い、ワカメ、カタクチイワシ及びマグロ中のヒ素化合物の定量はHPLC-ICP-MSを用いてヒ素形態別分析を行った。 「ボランティアへのAsSugs含有食品摂取と尿中代謝物の出納」においては、5人のボランティアにワカメを摂取させ、LC-TOF-MSとHPLC-ICP-MSにより尿中ヒ素化合物の同定と定量を行った結果、ヒ素摂取量0.06mgのうち、尿に30%が排出されたことが確認された。また、尿にジメチルアルシン酸(DMA)、オキソジメチルアルシニルエタノール(オキソDMAE)、オキソジメチルアルセノアセテート(オキソDMAA)とチオDMAEが特定された。 「動物におけるAsSugsとその中間代謝物の安全性評価」においては、gpt deltaラットを用いてin vivo突然変異試験を実施した結果、DMA及び亜ヒ酸投与で有意な点及び欠失突然変異は誘発されなかった。また、DMMTAが尿中から膀胱上皮細胞内に取り込まれることが確認された。 「培養細胞を用いたAsSugs由来の中間代謝物の試験管内の分析」においては、ヒ素代謝物質の細胞障害性試験はMYP3と1T1細胞を用いて行った。無細胞試験管内でAsSugsから有毒な代謝物質の代謝を明らかにした。代謝物質の分析はHPLC-ICP-MSとHPLC-TOF-MSを用いて行った。その結果、DMMTAは最も有毒なヒ素代謝物質で、DMMTAのLC50(半数致死濃度)はMYP3細胞が4.6μM、1T1細胞が5.4μMであった。DMMTAはグルタチオン(GSH)との反応によりDMMTA-SG結合体に変化し、次に硫黄原子を含んだ三価のジメチル化ヒ素と硫化水素に変化した。 「食品摂取による発がんリスクの低減法の検討」においては、遺伝子毒性テスト、動物実験による無機と有機のヒ素化合物の毒性、疫学的調査研究、国際機関による評価について情報収集を行い、知見を取りまとめた。これらの知見は、食品安全委員会における食品中のヒ素のリスク評価書作成に活用された。 (注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。 本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。 |
事業名 | 食品健康影響評価技術研究 |
実施機関 | 食品安全委員会 |
添付資料ファイル |