研究情報詳細

評価案件ID cho99920121105
評価案件 日本における農薬等の急性参照用量設定のためのガイダンス作成に関する研究(研究課題番号1105)
資料日付 2013年3月28日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  日本における農薬等の急性参照用量(ARfD)設定のガイダンス案を作成するため、過去8年間に食品安全委員会で評価し公開された201農薬の評価書を用いてARfDの設定のシミュレーションを実施し、その結果をもとに基本的指針および注意すべき点をまとめた。設定のための基本的概念はSoleckiら(2005)の報告にしたがった。また数剤の農薬について単回投与試験を実施し、有用性について検討した。
 このシミュレーションの結果、201農薬中90%の農薬についてARfDを設定することができた。ARfD設定根拠試験は、多い順に発生毒性試験、急性神経毒性試験、薬理試験であった。約30%の農薬についてARfD設定の必要がないと評価した。評価にあたり評価書に記載された毒性が単回暴露・反復毒性のいずれによる影響なのか区別が難しいケースがあった。14農薬については十分なデータがないためにARfDを設定できなかった。単回投与実験の結果より、メトヘモグロビンはARfDのエンドポイントとして有用なことが確認されたほか、非妊娠動物と妊娠動物あるいは溶媒による毒性発現の違いに注意すべきことが明らかとなった。現在の評価書が長期暴露影響である1日摂取許容量(ADI)設定を目的として記述されたものであることから、改良点として評価書の記載をARfD設定も考慮したものに改善する必要がある。
 さらに上記の201農薬のADIおよびARfDを構造別、作用機序別に解析した結果、構造・作用によりADIおよびARfDの値に特徴が認められた。
 今回実施したシミュレーションの結果および単回投与毒性試験結果より、作成した以下の基本指針は、日本における農薬のARfD設定の基本指針になりうると考えられた。
(1)ヒトが農薬等を24時間以内に経口摂取した場合の急性影響の指標とする。
(2)ARfDの評価における急性影響とは単回投与で発現する毒性を指す。
(3) ARfDの評価は全ての農薬を対象とする。
(4)カットオフ値以上であればARfD設定の必要はないと判定すべきである。
(5) 基本的には全ての人を対象とする。
(6)得られるすべての試験のデータから、ARfDの設定根拠となる試験を選択し、そのうち、最も低い無毒性量に基づきARfDを設定すべきである。
(7)発達期における臨界期に留意すべきである。
(8)安全係数は慢性暴露影響指標である一日摂取許容量と同様とする。
(9)ヒトのデータがある場合にはそのデータを重視すべきである。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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