研究情報詳細
評価案件ID | cho99920121002 |
評価案件 | フタル酸エステルの生殖・次世代影響の健康リスク評価に関する研究(研究課題番号1002) |
資料日付 | 2013年3月29日 |
分類1 | --未選択-- |
分類2 | --未選択-- |
事業概要 | フタル酸ジ2-エチルヘキシル(DEHP)のマウス胎生期・授乳期曝露の次世代影響を検討した。 妊娠したSv/129野生型、ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPAR)α-欠損およびヒトPPARα(hPPARα)マウスに 0 , 0.01 , 0.05 または 0.1%DEHPを胎仔期・授乳期曝露した。離乳後マウスを2群に分け、市販の固形飼料と高脂肪食を8週間与え、11週齢目に解剖した。 胎生期・新生仔期の影響については、DEHPは野生型とhPPARαマウスの胎仔とPND2仔の生存仔数を減少させ、胚吸収数を増加させた。 離乳後の影響については、0.05%DEHP曝露は離乳後の野生型とhPPARαマウスの摂餌量を増加させた。高脂肪食群では観察されなかった。DEHPはPPARα依存的にPND2とPND21の仔血漿のレプチン濃度を減少させた。この減少が、離乳後の摂餌量増加に関連したのであろう。離乳期マウスの精巣にはPPARα遺伝子に関わらず、DEHP曝露によるアポトーシスの増加等の精巣毒性が観察された。 成熟期の影響については、0.05%DEHPは、野生型11週齢マウスの血漿テストステロンを減少させた。一方、精巣セルトリ細胞の空胞変性数は高脂肪食を摂取させた場合に増加した。0.05%DEHP曝露はPPARα欠損マウスの肝臓TG濃度を上昇させた。 親マウスへの影響については、野性型妊娠マウスのDEHP曝露は血漿TGのみならず4種の脂肪酸濃度を減少させたが、胎仔やPND2仔の肝臓の脂肪酸には影響を与えなかった。DEHPは親マウスの精巣や卵巣には影響を与えなかった。 DEHP代謝の種差・個体差については、リパーゼの活性はヒトの方がマウスより低かった。ヒトのUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ活性値と、アルデヒド脱水素酵素活性値(2-エチルヘキサナールを基質)はマウスのそれぞれ1/6と1/2であった。一方、ヒトのアルコール脱水素酵素活性値(2-エチルヘキサノールを基質)はマウスの2倍であった。ヒトとマウスの間にDEHP代謝経路の違いが観察された。ヒトの4種のDEHP代謝酵素活性の個体差は10から26倍あった。総合すると、ヒトとマウスの間のDEHP代謝の種差は活性の大きさのみならず代謝経路も違うので、マウスの実験結果をヒトに外挿する場合の不確実係数は10を使用した方が無難であろう。個体差は種差より大きい可能性がある。 (注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。 本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。 |
事業名 | 食品健康影響評価技術研究 |
実施機関 | 食品安全委員会 |
添付資料ファイル |