研究情報詳細
評価案件ID | cho99920110906 |
評価案件 | アルキルシクロブタノン類を指標とした照射食品の安全性解析(研究課題番号0906) |
資料日付 | 2012年3月30日 |
分類1 | --未選択-- |
分類2 | --未選択-- |
事業概要 | 食品の放射線照射で特異的に分解生成するとされる ,2-アルキルシクロブタノン類(2-ACBs)に対し , 指摘されている遺伝毒性やラットの実験的大腸発がんモデル系での発がんプロモーター活性の追試験を含む毒性試験を実施した。その際、2-ACBsの生成の放射線照射特性の再検証を行った。 2008年に1例だけ天然存在の報告のあるナツメグおよびカシューナッツを分析対象とし , HRGC-MSを用いた新規高感度分析法を適用しても , 未照射試料からの2-ACBSs検出は確認されず , 一方で照射試料では1.2~3.6 nmole/mmole 前駆脂肪酸/kGyの効率で2-ACBsが生成していた。よって , 2-ACBsは非照射食品中では検出されず ,この化合物を指標とした放射線照射食品の安全性評価研究は妥当なものと判断された。 2-ドデシルシクロブタノン(2-dDCB)および、2-テトラデシルシクロブタノン(2-tDCB)を最大濃度8 mMまでのEtOH溶液としたAmes試験は陰性で、コメットアッセイでは、2-dDCBで分析した最高濃度(0.10 mg/mL)で細胞毒性の指標であるヘッジホッグの頻度が上昇したが、両者ともにDNA切断は認められなかった。また、2-dDCB については染色体の構造異常も陰性であった。なお、ヒトリンパ腫細胞株U937 に対して2-dDCB、2-tDCB , 親脂肪酸であるパルミチン酸(PA)及びステアリン酸(SA)が , 活性酸素ストレスによる濃度依存的アポトーシス活性を示していた。 Bhas42細胞を用いるin vitro形質転換試験においては2-dDCBのイニシエーション作用は陰性であったが、プロモーション作用については、2-dDCB(0.012 mg/mL)及び2-tDCB(0.010 mg/mL)ともに明らかに陽性を示した。一方、CD1(ICR)マウスを用いた経口投与による小核試験においては、2-dDCB、 2-tDCB共に2 ,000 mg/kg/dayの経口投与で骨髄細胞に染色体異常を誘発せず、そのマウス結腸組織DNAに対するDNAアダクト形成も認められなかった。ラットによる90日間亜急性毒性試験の結果、2-tDCB の無毒性量は雌雄とも0.0012%混餌(雄:0.62 mg/kg体重/日、雌:0.67 mg/kg体重/日)と考えられた。ラットによる下部消化管二段階発がん試験においては先行研究の混餌濃度より髙濃度条件(0.025%)においても陰性であり、その大腸粘膜DNAに対するDNAアダクト形成も認められなかった。 (注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。 本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。 |
事業名 | 食品健康影響評価技術研究 |
実施機関 | 食品安全委員会 |
添付資料ファイル |