食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06540881535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、「食品中に含有されるT-2トキシン及びHT-2トキシンのリスクに関する第一次声明案」を公表 (後半2/2)
資料日付 2025年7月8日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06540880535)

 RTE食品に由来する慢性ばく露量は、消費者の健康への重大な懸念を示唆しており、中でも、乳幼児に対して顕著であるが、オート麦粥を中心とする一部の食品類に由来する慢性ばく露量は、成人やベジタリアンに対して重大な懸念を示す。成人、中でも、ベジタリアンの急性ばく露量は望ましくない程度であるが、乳幼児におけるARfDの超過は、報告している程度にて発生する場合、潜在的な懸念となる。しかしながら、推定ばく露量は極めて限定的なデータに依拠しており、不確実性は高い。くわえて、T-2トキシン及びHT-2トキシンの総計値が判明しているサンプルが入手できたのは乳児用食品のみであり、その他の食品ではT-2含有量のみ又はHT-2含有量のみが判明しているサンプルしか入手できなかった。本結論は、「非加熱喫食用調理済み食品」(パラグラフ71 - 78)記載の情報と関連している。
 RTE食品由来の推定ばく露量は、加工オート麦穀粒、未加工オート麦穀粒、全ての加工穀粒(複合オート麦穀粒、小麦穀粒、大麦穀粒)由来の推定ばく露量よりも相当に高い。この理由は不明であるが、幾つかの要因やデータの不確実性が影響している可能性がある。
 a) 年毎の変動性という観点からは、提出されたRTE食品に関するデータを、T-2トキシン及びHT-2トキシン発生量に関して確実に「悪い」年と関連付けることはできない
 b) データセットが比較的小規模であり、平均発生値及び最大発生値を使用している
 c) 総計ではなく、各々のかび毒を評価している
 d) RTE食品が、発生量が高いと報告される標的サンプルとなっている可能性がある
本結論は、「非加熱喫食用調理済み食品」(パラグラフ78)記載の情報と関連している。
 COTは、より包括的なデータセット及びより信頼性の高いばく露評価を提示するためには、原材料からRTE食品まで、あるいは、より一般的な最終製品に関して、産業界による試験の実施が有用である点に留意する。本結論は、「非加熱喫食用調理済み食品」(パラグラフ78)記載の情報と関連している。
 加工穀粒へのばく露量は農産物へのアプローチ(commodity approach)に基づいており、発生データ全体の中央値を用いて算出されたが、RTE食品へのばく露量はサンプル数が限られていたため、食品毎に算出され、発生量の平均値及び最大値が用いられた。RTE食品は最終食品へのばく露のごく限られたスナップショットを提供するに過ぎず、全ての穀粒由来のばく露との直接比較は不可能であった。適用した分析手法により、RTE食品由来のばく露量における不確実性がさらに増す可能性がある。低量/非検出が定量下限未満と判定された場合は、ばく露を推定するための発生量として定量下限が用いられている。一部の手法では感度が不十分である可能性があり、定量下限が高い場合には比較的高い「発生量」となった可能性がある。平均値及び最大値、T-2トキシン及びHT-2トキシンの総計ではなく各トキシンの値を使用することにより、さらに不確実性が高まった。RTE食品から導出されたTDIの大幅な超過(22倍、26倍、70倍)は、97.5パーセンタイルの摂取量と最大発生量を使用した場合にのみ算出される。そのため、消費者が慢性的に当該量にばく露される可能性は低い。平均発生量と平均摂取量の組み合わせの方が、より現実的なばく露シナリオである可能性が高く、当該シナリオでは推定ばく露量は低くなり、リスクが低いことが示される。本結論は、「非加熱喫食用調理済み食品」(パラグラフ71 - 78)記載の情報と関連している。
 穀類の穀粒におけるT-2トキシン及びHT-2トキシンの発生量の年毎の変動性は、偶発的な高ばく露に繋がるホットスポットや特に悪い年が要因となり、急性ばく露量に影響する可能性があるが、穀粒由来のT-2トキシン及びHT-2トキシンの総計に対する慢性ばく露量は農産物ベースで算出された。摂取量は穀粒を含有する全ての食品に基づいてモデル化され、発生量は下限(LB)と上限(UB)の中央値において算出されている。したがって、これらは慢性ばく露の最も代表的な推定値である。本結論は、「方法論」(パラグラフ42 - 46)記載の情報に関連している。
 総括して、エビデンス募集を通じて提供された加工穀粒(オート麦、大麦、小麦)の発生データに依拠すると、さらに、RTE食品のサンプル数が限定的であることから、慢性ばく露に起因する健康への懸念は排除できず、中でも、乳幼児に対しては排除されない。しかしながら、全ての不確実性を考慮すると、RTE食品への推定ばく露量は信頼性が低く、RTE食品全体へのばく露量を代表するものではない可能性がある。この点を確認するため、COTは、RTE食品中に含有されるT-2トキシン及びHT-2トキシンの総計に関し、さらに大規模なデータセットを取得するよう勧告した。本結論は、「リスクの判定」(パラグラフ64 - 78)及び「不確実性と仮定」(パラグラフ79 - 82)記載の情報と関連する。
《附属書Aに関してCOTに検討を要請する質問》
 I. COTは、FSAによる評価の実施方法についてコメントがあるか。
 II. COTは当該声明案の内容に、中でもCOTが達した主要な結論に同意するか。
 (注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。
 本声明案の全文は以下より入手可能。
https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2025-07/TOX-2025-%2026%20First%20draft%20statement%20for%20T2-HT2%20in%20food%20Acc%20V%20SO.pdf
 (訳注)
欧州委員会規則(EU) 2024/1038により食品中に含有されるT-2トキシン及びHT-2トキシンに対し、以下のような最大基準値が導入され、食品中の特定の汚染物質に対する最大基準値を規定する欧州委員会規則(EU) 2023/915に収載されている(全19食品カテゴリーに渡り、10 ? 1,250 μg/kgまで)。
例)
 最終消費者向けオーツ麦: 100 μg/kg
 最終消費者向け大麦・トウモロコシ・デュラム小麦: 50 μg/kg
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Cover%20paper:%20First%20draft%20statement%20on%20the%20risk%20for%20T-2%20and%20HT-2%20mycotoxins%20in%20food
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
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