食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06520400541
タイトル イタリア保健省、食料生産動物及び食肉製品における人獣共通感染症細菌及び共生細菌の薬剤耐性(AMR)に関する報告書(2014~2023年)を公表
資料日付 2025年5月30日
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分類2 -
概要(記事)  イタリア保健省は5月30日、食料生産動物及び食肉製品における人獣共通感染症細菌及び共生細菌の薬剤耐性(AMR)に関する報告書(2014~2023年)を公表した。概要は以下のとおり。
「結論」
 本報告書は、2014年にイタリアで現在の国家監視プログラムを設けてからの、食料生産動物のサプライチェーン(食肉、卵)における、主な人獣共通感染症細菌病原体及び伝染性日和見共生細菌におけるAMRの現状を簡潔にまとめたものである。記載された情報は消費者に対するリスク管理措置の適用に関する選択肢の評価にも大きく資するものとなる。
 当該プログラムによって生成された、全国レベルで代表性のある研究計画に基づいたデータは、監視対象の細菌集団におけるAMR及び多剤耐性(MDR)が、主要な人獣共通感染症病原体においても、日和見共生指標細菌においても非常に拡大していることを確認している。
 大腸菌分離株のMDR及び完全な感受性(FS)の割合を継続的に検出することにより、農場での抗生物質の使用による選択圧を抑制するための介入の効果を複数年にわたって監視することが可能となる。イタリアでは調査対象のあらゆる畜産においてMDRが蔓延しているが、これらのデータから、家きんのサプライチェーンにおいては、FSを示す共生指標大腸菌群が漸増(並行してMDR大腸菌は減少)していることを経時的に確認することができた。牛(12か月未満)及び豚におけるMDR及びFSのパラメータは経時的に相当安定しており、経年的な耐性及び感受性の分布において明確な傾向は見られない。
 ヒト及び動物におけるESBL/AmpC産生大腸菌の蔓延は、グローバルヘルスの観点において重要な課題であり、影響を及ぼすものである。これらの大腸菌群は、他の「ヒトの医療において最優先かつ極めて重要な抗菌性物質(HPCIA)」を含む5つ以上の系統の抗菌性物質に対して共耐性を示すことが多く、効果的な抗生物質治療を見出すことを困難にしている。牛(12か月未満)及び豚における状況も類似しており、農場におけるこの大腸菌群の保有率(prevalenza)は高い。一方、家きんのサプライチェーンにおいては、様々な系統の抗菌性物質を生産サイクル中に投与することによって全体的な選択圧が低下した結果、ESBL/AmpC産生大腸菌の保有率の大幅な減少が観察されている。これは、2017年以降、七面鳥及び肥育鶏の両方でみられるようになった。
 2019年以降、肥育豚で初めてカルバペネマーゼ産生大腸菌が検出され、その後も牛(12か月未満)、そして散発的に肥育鶏及び七面鳥においても検出された。これらの調査結果は、国内の畜産動物におけるカルバペネマーゼ産生大腸菌の継続的な監視の必要性を浮き彫りにしており、現在は多くの食肉生産において、カルバペネマーゼ産生大腸菌の保有率は非常に低いものとなっている。しかし、養豚におけるこれらの細菌の分離率(2021年及び2023年においては約6%)を考えると、この重要な生産チェーンにおける人獣共通感染症及び日和見共生細菌におけるβ-ラクタム系(広域スペクトルのアミノペニシリン系、第3世代・第4世代セファロスポリン系)へのばく露低減策が必要である。
 報告書では、その他の依然として存在する課題及び/または新たに出現しつつある課題に関して、肥育鶏のサプライチェーンにおけるCampylobacter jejuniのフルオロキノロン系(HPCIA)に対する耐性率の高さ、並びに肥育鶏におけるSalmonella Infantisの広域スペクトルのセファロスポリン系に対する耐性率の高さを指摘した。
 結論として、これらのデータは、イタリアではこの現象が広く見られるものの、低減策の実施により、一部のサプライチェーン及び/または特定の細菌性病原体において有望な結果が得られたことを明らかにしている。その例として、生産チェーン(特に肥育鶏及び七面鳥)において、公衆衛生関連獣医機関による慎重な使用に関する推奨事項が適用され、コリスチンへの耐性率が大幅に減少し、その低い水準が維持されていることが挙げられる。
 最後に、これらの細菌の拡散を常に監視することが、ヒトの健康及び動物の衛生を守るために不可欠であることを強調しておくことが重要である。薬剤耐性病原体や、同種または異種の細菌間で移行する薬剤耐性遺伝子のヒトへの伝播は、環境や動物との直接接触を通じて発生するだけでなく、調理時に衛生上の観点から適切に加熱調理されていない、あるいは不適切に処理された食品の摂取によっても発生する可能性がある。
 例えば小売店で販売される食肉の調理中、家庭、レストランなどでの取り扱いにおいて適切な衛生管理を行うことで、作業者と消費者の直接接触による(薬剤耐性菌を含む)食品を介して伝播する病原体の汚染や定着を最小限に抑え、実際に防止することができることを認識することが重要である。
 当該報告書は以下のURLから閲覧可能(イタリア語、66ページ)。
https://www.salute.gov.it/new/sites/default/files/2025-05/Relazione%20dati%20di%20resistenza%20AMR%202014-2023_def.pdf
地域 欧州
国・地方 イタリア
情報源(公的機関) イタリア保健省
情報源(報道) イタリア保健省
URL https://www.salute.gov.it/new/it/pubblicazione/relazione-sulla-resistenza-agli-antimicrobici-dei-batteri-zoonotici-e-commensali-0/
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