食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06520290294
タイトル 世界保健機関(WHO)、タイにおける炭疽に関する情報を公表
資料日付 2025年5月29日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  世界保健機関(WHO)は5月29日、タイにおける炭疽に関する情報を公表した。概要は以下のとおり。
1. 概況
 2025年5月上旬、タイの担当部局(国際保健規則(IHR)National Focal Point(NFP))は、皮膚炭疽の4症例についてWHOに通知した。感染者のうち1例は合併症により死亡し、残りの3例は入院し適切な治療を受けた。報告された全ての症例は、炭疽菌感染の疑いのある畜牛と直接接触していた。国の保健当局によって迅速な現地調査と対応が実施された。ばく露された可能性のある全ての個人が特定され、全ての高リスク接触者はばく露後の予防処置を受けた。5月28日には、牛のと畜に関与したとされる追加の症例が公表された。影響を受けた地域では、動物検疫、半径5 km以内の畜牛を対象としたワクチン接種キャンペーン、市民への啓発活動、及びサーベイランスの強化等の疾病管理措置が実施された。炭疽は、芽胞形成細菌である炭疽菌(Bacillus anthracis)によって引き起こされる生命を脅かす人獣共通感染症である。ヒトは、感染した動物や汚染された動物製品から炭疽に罹患する可能性がある。炭疽は一般にヒトの間で広がることはない。現在、タイではしっかりとした公衆衛生対策が実施されているため、動物の移動を通じて国際的に疾病が広がるリスクは依然として低い(low)。
2. 状況の説明
 2025年5月1日から5月4日にかけて、タイのIHR NFPは、皮膚炭疽の確定症例4例(うち1例の死亡)をWHOに通知した。確認された症例の年齢は36歳から58歳で、男性3人、女性1人である。当該症例は、メコン川で隔てられたラオス人民民主共和国との国境近くに位置するMukdahan県で確認された。全ての症例は、疫学的に牛のと畜に関連している。2025年4月12日、功徳を積む行事(merit-making event)において、最初の乳牛がと畜され、その肉は村人らに配られた。2頭目の乳牛は2025年4月28日にと畜された。これらの家畜の食肉へのばく露、またはと畜過程での接触が、確認された全症例の感染源であると考えられている。
 最初の症例は、右手に皮膚の発疹を呈し、4月24日までにはっきりと見える病斑に進行した。当初の入院先では、手の病斑の黒ずみ、右腋窩リンパ節の腫れ、めまい、及びけいれん等の臨床症状の悪化が見られたため、4月27日に紹介病院に転院した。その後同日に、当該症例は合併症により死亡した。他の3症例は膿疱性及び水疱性病変を呈し、入院した。2025年5月28日現在、これら3症例はレボフロキサシンとドキシサイクリンの10日間の投与を終えて、退院している。
 4症例の血液及び創傷の検体は、4月28日から5月1日の間に採取され、検査のために医療科学局(Department of Medical Sciences(DMSC))及びBamrasnaradura研究所に送られた。4人の患者全員において、RT-PCRにより炭疽菌が確認された。
 リスクのある個人のスクリーニングは3か所の村で実施され、下痢と発熱を呈した疑い例2例がさらに特定された。しかし、当該検体は炭疽菌陰性であった。合計636人がリスクのある人物として特定され、2025年5月10日まで監視された。そのうち、28人が牛のと畜に直接関与し、その他の人々は牛の生肉を摂取していた。公衆衛生当局は、リスクのある人々に対し、7日間のドキシサイクリン投与によるばく露後予防措置を開始した。
 5月28日、タイ保健省は、Mukdahan県で牛のと畜に関連した5例目の確定症例を発表した。直近に報告された5例目の臨床状態は、報告時点では不明である。
 これは1994年以降、タイで報告された初めての炭疽関連の死亡である。疫学部局によると、本事案に先立つ直近の炭疽症例は2000年(Phichit県とPhitsanulok県で15例、死亡者なし)と2017年(ミャンマーから輸入されたヤギの死骸の取り扱いに関連したTak県での2例、死亡者なし)に発生している。
3. 疫学(抜粋)
 炭疽菌は、グラム陽性の芽胞形成桿菌である炭疽菌(B. anthracis)によって引き起こされる人獣共通感染症であり、主に放牧されている草食動物(家畜と野生動物の両方)に感染する。
 炭疽菌の芽胞は感染性を有する形態であり、土壌中だけでなく、動物の組織、部位、及び製品においても何年にもわたって生残し続けることが可能である。また、風や洪水、腐肉食動物(感染動物の死骸を餌にする動物)、動物製品の輸送等によっても拡散する可能性がある。
 ヒトにおいて、炭疽菌芽胞は、経皮(皮膚からの侵入)、経口摂取、吸入、及び直接注射の4つの経路で体内に侵入する可能性がある。当該疾病の臨床症状は、ばく露の種類(それぞれ皮膚炭疽、腸炭疽、吸入炭疽、注射関連炭疽)によって異なる。同時に、全ての形態の炭疽は、敗血症や髄膜脳炎等の播種性疾患を引き起こす可能性がある。
・腸炭疽は、汚染された加熱不十分な食肉を摂取した後に発症し、吐き気、嘔吐、腹痛、時には下痢を伴う症状を特徴とする。重症例では、消化管出血や腹水が生じることがある。一部の人は口腔咽頭部の病変を呈する。
4. 公衆衛生対応(省略)
5. WHOリスク評価(省略)
6. WHOの勧告(省略)
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) 世界保健機関(WHO)
情報源(報道) 世界保健機関(WHO)
URL https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON573
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