食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06440040535 |
タイトル | 英国毒性委員会(COT)、ディスカッションペーパー「水銀が母体の健康に与える影響」を公表 (1/4) |
資料日付 | 2025年1月29日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | (この記事は 1 / 4 ページ目です) 英国毒性委員会(COT)は2025年1月29日、ディスカッションペーパー「水銀が母体の健康に与える影響」を公表した。内容(抜粋)は以下のとおり。 はじめに(抜粋) 栄養に関する科学諮問委員会(SACN)は、前回「母体、胎児、子供の栄養がその後の人生における慢性疾患の発症に与える影響」(SACN(2011))(参考文献1)および「生後1年間の授乳」(SACN(2018))(参考文献2)で、母体の食事および栄養と子供の健康の関係について検討した。後者の報告書では、母乳育児が母体の健康に与える影響も検討された。 2019年、SACNは、妊娠中、出産時、および出産後24か月までの母体の健康に焦点を当てた栄養と母体の健康に関するリスク評価を実施することに同意した。これには、食事中の化学汚染物質や過剰な栄養素の影響が含まれる。 COTによるリスク評価の対象となる物質に関する最初の優先順位付け文書の議論(訳注 2022年2月8日の会議での議論)に続いて、委員会は、各重金属(鉛、水銀、カドミウム、ヒ素)を個別の文書で検討すべきであると決定した。当該文書では、食事と環境中の水銀が母体の健康に及ぼすリスクについて説明している。 背景(抜粋) 水銀(Hg)の3種類の化学的形態は、(i)元素または金属水銀(Hg0)、(ii)無機水銀(水銀(I)(Hg2 2+)陽イオン、水銀(II)(Hg2+)陽イオン)、および(iii)有機水銀である。 無機水銀化合物は、Hg+とHg2+の塩であり、いくつかの工業プロセスで使用され、バッテリー、殺菌剤、防腐剤、または消毒剤に含まれている。 有機水銀化合物は、水銀原子に共有結合した炭素原子が少なくとも1つある。メチル水銀(methylmercury (MeHg))は、フードチェーンの中で圧倒的に最も一般的な形態である。フェニル水銀(phenylmercury)、チオマーサール(thiomersal)、メルブロミン(merbromin)(別名マーキュロクロム(mercurochrome))などのその他の有機水銀化合物は、殺菌剤や医薬品に使用されている。 水銀は、自然および人為的発生源の両方から環境に放出される金属である。環境に放出された後、水銀は大気、陸地、水系の間で複雑な変化と循環を繰り返している。最終的には湖沼、河川、湾の堆積物に沈殿し、そこでMeHgに変換され、植物プランクトンに吸収され、動物プランクトンや魚類に摂取され、特に寿命の長い捕食種、例えば海洋ではサメ、メカジキ(swordfish)、マグロ、淡水系ではマス、カワカマス(pike)、ウォールアイ(walleye)、バス(bass)などに蓄積される。 魚類や魚介類以外の食品源は水銀を含む可能性はあるが、そのほとんどは無機水銀の形態である。入手可能なデータに基づくと、魚介類以外の食品からのMeHgばく露への寄与はわずかである。 以前の評価 国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家委員会(JECFA)(略) 食品中の水銀およびMeHgに関する欧州委員会の要請に対する欧州食品安全機関(EFSA)の「フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル(CONTAMパネル)」の意見(EFSA(2004))(参考文献3)(略) COTの「0~12か月の乳児および1~5歳の子供の食事に含まれるMeHgの潜在的リスク」に関する声明(COT(2018))(参考文献4)(略) これまでの評価(項目のみ) ADME(無機水銀(吸収、分布、代謝、排泄)、有機水銀(吸収、分布、代謝、排泄)) 水銀毒性のレビュー(抜粋) 米国毒性物質疾病登録庁(ATSDR)は、2022年4月に水銀の毒性プロファイルの草案を、2024年10月に完全なプロファイルを公開した。このプロファイルでは、有機水銀と無機水銀の毒性と健康への有害影響に関する情報がまとめられている。水銀化合物は、細胞内カルシウムバランスの乱れ、細胞骨格の破壊、ミトコンドリア機能の障害、酸化ストレス、神経伝達物質の放出、DNAメチル化など、一般的な細胞機能を標的とする広範な毒性作用を示す。これらの毒性作用の多様性は、Hg2+およびCH3Hg2+がチオラートアニオンに対して強い親和性をもつことに起因するものであり、Hg2+とCH3Hg2+のS-結合体(S-conjugate)が生じる。そのため、水銀は、チオール官能基に依存する酵素、トランスポーター、およびタンパク質に結合し、それらの構造と機能を阻害する(ATSDR(2022)、(2024))(参考文献5、6) 。 疫学研究により、胎児期のMeHgへのばく露は認知、神経運動、および神経感覚障害と関連していることが示されている。成人では、運動協調性、スピード、筋力、触覚、色覚、視覚コントラスト感度、記憶や学習の能力が低下することが研究で示されている(ATSDR(2022)) (参考文献5)。 JECFAとEFSAの両機関の評価では、最も感度の高いエンドポイントは神経毒性であり、胎児期がMeHgへのばく露による神経発達毒性(neurodevelopmental toxicity)の発生にとって重要な時期であることが合意された(JECFA(2004)、EFSA(2012))(参考文献7、8)。 EFSAとCOTはともに、n-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)、セレン、ヨウ素、コリン(choline)、ビタミンEなど、多くの食事因子がMeHgの毒性を軽減または予防できるというエビデンスがあることを強調している。水銀の研究で、交絡(confounding)メカニズムに関して、食品中で最も広範に研究されている物質はセレンである。セレンに対する水銀の結合親和性は、類似形態の硫黄に対する結合親和性の100万倍高く、セレンと水銀を含む解毒製品(セレン化水銀(mercury selenide)など)を特定する試みがなされてきたが、現在まで成功していない。このような化合物が本当に水銀種を解毒するかどうかは実証されていない。MeHg毒性に対するセレンの潜在的な保護作用様式には、水銀の隔離(sequestration)に加えて、抗酸化作用、グルタチオンペルオキシダーゼ活性の増加、グルタチオン合成、高セレノプロテイン濃度、およびMeHgの脱メチル化の増加などがある。メカニズム的には、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、神経細胞におけるMeHg誘発性酸化ストレスから保護すると思われる。さらに、神経細胞株および初代培養細胞では、DHAによる前処理が細胞へのMeHgの吸収率(bioavailability)の低下と関連していた(COT(2018)、EFSA(2012))(参考文献4、8)。 (次ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06440041535) |
地域 | 欧州 |
国・地方 | 英国 |
情報源(公的機関) | 英国毒性委員会(COT) |
情報源(報道) | 英国毒性委員会(COT) |
URL | https://cot.food.gov.uk/The%20effects%20of%20mercury%20on%20maternal%20health |
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本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
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