食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06410980535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、緑茶カテキンの肝毒性に関する声明を公表
資料日付 2024年11月22日
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概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は11月22日、緑茶カテキンの肝毒性に関する声明を公表した(COT/2024/08、PDF版3ページ)。概要(Lay Summary)は以下のとおり。
 2017年、緑茶含有サプリメントの摂取と関連する有害影響の報告が相次いだことを受け、欧州委員会は欧州食品安全機関(EFSA)に対し、当該サプリメントの主要成分である緑茶カテキン類(GTCs)の安全性に関し、入手可能な情報を評価するよう要請した。
 EFSAは、伝統的な方法で調製された緑茶煎じ液由来のGTCsは、総じて安全であると見なされると結論した。しかしながら、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)と呼ばれるGTCsを含有するサプリメントの利用者において、稀に肝障害/損傷(肝毒性)の症例が報告されている。EFSAは、安全と見なされ得るGTCs由来のEGCG用量を特定することは不可能であると結論した。レビューされた臨床試験では、800 mg EGCG/日の用量を下回る場合、最長12ヵ月間まで、肝毒性を示すエビデンスは確認されなかった。しかしながら、EGCG 375 mgを含有する特定の製品1件に対しては、肝毒性が報告されている。800 mg EGCG/日の用量を超過する摂取では、対照群と比較して、肝障害を示唆する肝酵素を増加させることが実証されている。
 食品・消費者製品・環境における化学物質の毒性に関する委員会(COT)は、これらの肝障害の症例は、一般的ではない、及び/又は、個人特有の反応によるものであり、個人の遺伝的構成に関連している点に留意する。これらは「特異体質」反応と呼ばれ、稀であり、予測不可能であり、実験動物では再現されない。これらの反応の進行は、GTCs含有サプリメントの摂取量や摂取期間により個人間で著しく変動する可能性がある。サプリメントの摂取前に、自己の高感受性を認識していないケースもある。このようなサプリメントを使用する場合、予期せぬ特異体質反応が発生する可能性を除外できない。
 EFSAの科学的意見書の採択を受け、欧州連合の委員会は、GTCs含有食品類をヒトが摂取しても安全であることを担保するため、当該物質の使用を制限することを提案している。
 英国におけるリスク管理において次なる対策を検討するため、保健社会福祉省は、栄養・表示・組成・基準(NLCS)フレームワークに基づき、COTに対し、2018年に公表されたEFSAの科学的意見書の結論が現在も適用可能か否かを評価し、2018年以降に入手可能となった新たなデータをレビューするよう要請した。2018年のEFSAの評価では、GTCs、及び、GTCsと関連し特異体質反応と推測される、肝損傷/傷害に特異的な反応を評価しており、GTCsあるいは緑茶煎じ液もしくは抽出物を対象とする総括的な安全性評価ではなかった。
 「ハーブ煎じ液」とは、分包されている、あるいは、そのままのルース状態にある、乾燥させた花・葉・ハーブ・根・植物の他の部位に液体を添加したものを指す。茶(Camellia sinensis)は「ハーブ煎じ液」として利用される。抽出物とは、「ハーブ煎じ液」をさらに濃縮した形態であり、緑茶抽出物(GTE)は、緑茶の「ハーブ煎じ液」よりも濃縮されている。
 同一植物から、加工方法に応じて多様な種類の茶が製造される。緑茶は、白茶、紅茶、ウーロン茶とは異なり、発酵させていない。白茶、紅茶、ウーロン茶は発酵工程を経るため、カテキン類等のポリフェノールと呼ばれる化合物の濃度が低下している。GTCsは、チャノキ・C. sinensisの未発酵の葉及び葉芽に由来する。カテキン類は、ポリフェノールの主要グループであり、緑茶に含有される総フラボノイド(ポリフェノールのサブセット)の約20%を占める。この茶から抽出物を製造すると、カテキン類が濃縮され、カフェイン等の他の成分が除去される(C. sinensisはカフェインを天然に含有する)。
 C. sinensisの葉から製造される緑茶は、世界中で摂取される人気の飲み物である。様々な種類のがん、肝臓病、心臓病に対する緑茶の健康効果に関し、多様な報告が文献として利用可能である。これらの有益な効果の多くは、特定のカテキン・EGCGに関連している。しかしながら、EFSAが特定したとおり、当該カテキンは肝毒性と関連している。
 COTは、2018年のEFSAの科学的意見書以降に公表された、GTEsが肝毒性を引き起こす可能性に関わる文献をレビューし、提示されているデータがEFSA導出の結論に影響を及ぼすか否かを評価した。
 GTEの投与量、GTEの組成、GTEへのばく露量、緑茶製品摂取の結果としての肝毒性の発症は、レビューされた研究により大きく変動した。EFSAのパネルは、肝障害の症例の多くは特異体質反応の結果であると結論している。文献をレビューした結果として、COTもこれに同意する。
 総括して、COTは、800 mg EGCG/日という用量はおそらく安全であるというEFSAの結論が不適切であることを示唆する新たなデータは存在しないと結論する。800 mg/日を下回る用量においてEGCGがヒトに及ぼす何等かの影響を特定した新たな研究は確認されないが、数名の摂取者が特異体質反応により、当該用量以下でも有害影響を体験する可能性は排除できない。
 本概要は以下より入手可能。
https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2024-11/COT%2008.2024%20-%20Statement%20on%20the%20hepatotoxicity%20of%20green%20tea%20catechins_Lay%20summary_FINAL%20%28003%29.pdf
 本声明の全文は以下より入手可能。
https://cot.food.gov.uk/Statement%20on%20the%20Hepatotoxicity%20of%20Green%20Tea%20Catechins%20-%20Introduction
https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2024-12/COT%2008.2024%20-%20Statement%20on%20the%20hepatotoxicity%20of%20green%20tea%20catechins_FINAL_0.pdf
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Statement%20on%20the%20Hepatotoxicity%20of%20Green%20Tea%20Catechins:%20%20Lay%20Summary
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