食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06410730325
タイトル 米国国立衛生研究所(NIH)、H5N1インフルエンザ表面タンパク質の1か所の変異がヒトへの感染をより容易にする可能性があるとの研究について紹介
資料日付 2024年12月6日
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概要(記事)  米国国立衛生研究所(NIH)は12月6日、H5N1インフルエンザ表面タンパク質の1か所の変異がヒトへの感染をより容易にする可能性があるとの研究について紹介した。概要は以下のとおり。
 NIHが資金提供した研究により、ヒトへの感染リスクは依然として低い(low)ことが確認された。
 米国の乳牛において現在流行している高病原性鳥インフルエンザ(HPAI) H5N1ウイルスの表面に存在するタンパク質の1か所の変異により、ヒト間での伝播がより容易になる可能性があることが、NIHの資金提供による新たな研究で明らかとなり、本日Science誌に発表された。当該研究結果は、HPAIウイルスH5N1がヒトにおいてより伝播しやすくなる可能性のある潜在的な遺伝的変化について、継続的かつ油断のないサーベイランス及びモニタリングの必要性を裏付けるものである。
 現在の牛(乳牛)のH5N1ウイルス株は、ヒト間で伝播することは知られていない。しかしながら、感染した野鳥、家きん、乳牛、及びその他の哺乳動物にばく露されたヒトにおいて感染が発生している。パンデミック対策の一環として、研究者らは長年にわたりH5N1ウイルスを監視し、自然に発生するウイルスの遺伝的変異とそれが伝播性に及ぼす可能性のある影響を理解するよう努めてきた。
 インフルエンザウイルスは、ヘマグルチニン(HA)と呼ばれる表面ウイルスタンパク質を用いて細胞に付着する。HAは細胞上の糖(糖鎖)分子受容体に結合して感染を引き起こす。H5N1のような鳥インフルエンザウイルスがヒトには高い頻度で感染していないのは、ヒトの上気道に鳥に存在する鳥型細胞受容体が欠如しているためである。科学者らは、ウイルスが上気道のヒト型細胞受容体を認識するように進化し、ヒトに感染してヒト間で拡散する能力を獲得する可能性を懸念している。
 スクリプス研究所(Scripps Research)の科学者らは、ウシ由来の2.3.4.4bウイルス株(A/Texas/37/2024)による米国初のヒト感染例から分離されたH5N1株を用いて、HA遺伝子配列の変異が、鳥型及びヒト型細胞受容体へのタンパク質の結合にどのような影響を与えるかを検証した。研究者らは、過去に自然発生が観察された複数の変異をウイルスのHAタンパク質に導入したところ、1つの変異(Q226L)が、特に追加の変異が存在する場合に、ヒトの細胞に典型的に見られる受容体への付着能力を向上させることを確認した。重要なこととして、研究者らは当該遺伝的変異をHA表面タンパク質にのみ導入しており、全体的な感染性ウイルスの作製や実験は行わなかった。
 Q226L変異単独での実験結果は、HPAI H5N1が広範なパンデミックを引き起こす寸前にあることを意味するものではないと、著者らは述べている。ウイルスがヒトの間で伝播するためには、他の遺伝的変異が必要である可能性が高い。感染した動物との直接接触によるヒトのH5N1症例が増加している状況において、これらの知見は、集団感染の制御を継続することの重要性と、HPAI H5N1の遺伝的変化の出現を監視するための継続的なゲノムサーベイランスや公衆衛生の準備態勢を維持することの重要性を強調している。
 当該研究は、NIHの国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)によって、インフルエンザ研究対応プログラムのためのセンター・オブ・エクセレンスを通じて、一部資金提供された。
 Science誌(2024, 386(6726):1128-1134、doi: 10.1126/science.adt0180)に掲載された当該研究論文「牛由来インフルエンザH5N1ヘマグルチニンの1か所の変異がヒト受容体への特異性を変える(A single mutation in bovine influenza H5N1 hemagglutinin switches specificity to human receptors)、著者 TH Lin(Department of Integrative Structural and Computational Biology, The Scripps Research Institute, 米国)ら」は以下のURLから閲覧可能。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adt0180
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国衛生研究所(NIH)
情報源(報道) 米国衛生研究所(NIH)
URL https://www.nih.gov/news-events/news-releases/single-mutation-h5n1-influenza-surface-protein-could-enable-easier-human-infection
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