食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06410040149 |
タイトル | 欧州食品安全機関(EFSA)、食品中の複雑な有機ヒ素化合物のリスク評価に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表 |
資料日付 | 2024年12月9日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 欧州食品安全機関(EFSA)は12月9日、食品中の複雑な有機ヒ素化合物(complex organoarsenic species)のリスク評価に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表した。 1. リスク評価の背景 ・リスク管理者は、有害な健康影響を及ぼすことなく食品中に存在可能な最大レベルを設定するために、ヒ素等の食品汚染物質の安全性に関する科学的ガイダンスを必要とする。 ・複雑な有機ヒ素化合物は、ヒ素に結合するメチル基やそれよりも分子量が大きな有機基を含有する化合物である。これらの化合物は、ほとんどが魚類、甲殻類、軟体動物及び海藻中だけに存在する。最も一般的な複雑な有機ヒ素化合物には、アルセノベタイン(arsenobetaine)、アルセノシュガー(arsenosugars)、グリセロールアルセノシュガー(glycerol arsenosugars)等)、及びアルセノリピッド(arsenolipids)がある。 ・2009年、EFSAの「フードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAMパネル)」は食品中のヒ素に由来するヒトの健康へのリスクを評価し、科学的意見書を公表した。 ・その際、EFSAは、低分子量の、及び複雑な有機ヒ素化合物に関するデータ不足のため、無機ヒ素のリスクしか評価できなかった。 ・2009年の科学的意見書以降、無機ヒ素及び有機ヒ素化合物の毒性に関する新たな研究が公表された。さらに、EFSAは、2014年及び2021年、無機ヒ素に関する食事性ばく露評価を公表した。 2. EFSAは何をするよう要請されたのか。 欧州委員会(EC)はEFSAに、2009年以降に利用可能な新たな科学情報を考慮して、食品中のヒ素に関する3件のリスク評価書を提供するよう要請した。 (1)食品中の無機ヒ素に関するリスク評価の更新は、2024年1月に公表された。 (2)食品中の低分子量の有機ヒ素化合物に関するリスク評価は、2024年7月に公表された。 (3)複雑な有機ヒ素化合物に関するリスク評価は、この3番目の科学的意見書の対象である。 3. EFSAはどのようにこの評価を実施し、どのようなデータを使用したのか。 (1) EFSAはまず、2009年から2024年の間に公表された(場合によっては2009年以前の期間まで延長し)、食品中の有機ヒ素化合物の存在及び毒性に関する関連文献の包括的レビューを依頼した。このレビュー(※補足1)は本科学的意見書の出発点であった。 (2)確立された手順書に従って、追加の文献検索が実施された。 (3)EFSAにおいて利用可能な存在量及び摂取量データから、消費者の食事性ばく露が推定された。存在量データが利用できない場合には、公開文献からのデータが考察された。 3. 評価結果はどうであったか、及びそれらの意味することは何か。 (1)アルセノベタインに関する結果 ①データが不十分なため、リファレンスポイント(reference point(RP))は設定できなかった。 ②アルセノベタインは、利用可能な2件のげっ歯類における反復投与毒性試験において、有害影響を示さなかった。in vitroアッセイにおいて遺伝毒性を示さなかった。ヒトの試験において、有害影響に関連する症状はなかった。 ③魚類、シーフード及び魚類を使用した加工食品の摂取量が多い消費者は、12.5 μg元素ヒ素/kg体重/日に相当するアルセノベタインのレベルにばく露される可能性がある。 ④RPはないものの、CONTAMパネルは、利用可能な毒性試験から、アルセノベタインへの食事性ばく露の最大値と無毒性量(NOAEL)を比較した。この結果、ばく露マージン(MOE)は340~31,000であり、健康懸念を提起しない。 (2)グリセロールアルセノシュガーに関する結果 ①マウスにおいて観察された神経行動学的影響に基づき、グリセロールアルセノシュガーに関して0.85 mg元素ヒ素/kg体重/日に相当するRPが設定された。 ②特定の海藻の摂取量が多い消費者は、0.71 μg元素ヒ素/kg体重/日に相当するレベルのグリセロールアルセノシュガーにばく露される可能性がある。 ③デフォルトの不確実係数及びグリセロールアルセノシュガーに関する不十分なデータベースを考慮して、CONTAMパネルは、1,000以上のばく露マージン(MOE)は健康懸念を提起しないと考えた。 ④グリセロールアルセノシュガーに対する食事性ばく露の最大値と神経行動学的影響に関するRPを比較した結果、MOEは1,000以上であり、健康懸念を提起しない。 (3)他のアルセノシュガーに関する結果 データ不足のため、グリセロールアルセノシュガー以外のアルセノシュガーに関するリスクの特性評価は実施できなかった。 (4)アルセノリピッドに関する結果 データ不足のため、アルセノリピッドに関するリスクの特性評価は実施できなかった。 CONTAMパネルは、アルセノベタイン及びグリセロールアルセノシュガーに対する食事性ばく露は健康懸念を提起しないと考えられると結論した。 4. 制約/不確実性は何か。 上記の様々な結果に関連して上記に示したとおり、複雑な有機ヒ素化合物に関する存在量及び毒性データは不足していた。不確実性及びそれらがどのように考慮されたかに関する詳細な解析は、科学的意見書セクション3.5(※補足2)を参照。 5. 主な勧告は何か。 (1) 立法者への勧告 ECが必要と考える場合、これらの結果は、食品中の複雑な有機ヒ素化合物に対する法的拘束力がある最大レベルを設定する等のリスク管理上の方針に資する。 (2) 研究機関への勧告 複雑な有機ヒ素化合物に関する存在量データ、及びトキシコキネティックと毒性データの理解の向上のニーズがある。 (※補足1) O. Licht et al., 2022. Extensive literature search on organic arsenic in food. EFSA Supporting Publications, 19(9), EN-7565. https://doi.org/10.2903/sp.efsa.2022.EN-7565 (※補足2) 食品中の複雑な有機ヒ素化合物に関する科学的意見書は以下のURLから参照可能 https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/9112 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
情報源(報道) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
URL | https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/risk-assessment-complex-organoarsenic-species-food |
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
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