食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06390340325 |
タイトル | 米国国立衛生研究所(NIH)、感染した農場作業者から分離されたウシ由来H5N1亜型インフルエンザウイルスは動物モデルにおいて伝播性及び致死性を示すとの研究について紹介 |
資料日付 | 2024年10月28日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 米国国立衛生研究所(NIH)は10月28日、感染した農場作業者から分離されたウシ由来H5N1亜型インフルエンザウイルスは動物モデルにおいて伝播性及び致死性を示すとの研究について紹介した。概要は以下のとおり。 一部の抗ウイルス薬はウシ由来H5N1に対して非常に効果的である。 Nature誌に掲載された新しい研究(訳注:文献1)によると、乳牛との接触で感染した農場作業者の眼部から分離された高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1亜型ウイルスは、高度封じ込め実験室環境で感染させたマウス及びフェレットにおいて致死性を示した。当該研究者らは、軽度の角膜の炎症(結膜炎)(mild inflammation of the cornea (conjunctivitis))を呈した当該作業者から分離されたウイルスが、離れて置かれたフェレットの間で空気を介して伝播し、ヒトの呼吸器細胞に結合して複製する可能性があることも確認した。 当該作業員から分離されたウイルスはhuTX37-H5N1と呼ばれ、哺乳動物において複製する鳥インフルエンザウイルスによく見られる変異(PB2-E627K)を有しており、通常この変異により、ウイルスの複製はより効率的になる。これらの変異は、現在のH5N1集団感染のウイルスの継続的な監視及び評価の必要性を強調している。 当該研究では、ウシ由来のH5N1ウイルスが、ポリメラーゼ阻害剤系の抗ウイルス薬ファビピラビル(favipiravir)及びバロキサビル・マルボキシル(baloxavir marboxil)(商品名ゾフルーザ)、並びにノイラミニダーゼ阻害剤ザナミビル(zanamivir)に感受性があることも示された。当該ウイルスは、別のノイラミニダーゼ阻害剤であるオセルタミビル(oseltamivir)(商品名タミフル)に対する感受性が比較的低い。 研究室での実験では、huTX37-H5N1はヒトの角膜及び肺細胞において複製された。当該科学者らは、マウスにおけるhuTX37-H5N1の致死量を1 PFU(プラーク形成単位)未満と判定した。これは、泌乳牛の乳から分離されたウシ由来H5N1ウイルスの致死量である31.6 PFUと比較して低い値である。huTX37-H5N1ウイルスはまた、検査された15種類のマウスの組織全てに感染しており、呼吸器組織において最も高いウイルスレベルが確認された。 研究者らは、フェレットにも高ウイルス量のhuTX37-H5N1を用いて感染させた。フェレットのインフルエンザ感染は、マウスのインフルエンザ感染よりもヒトのインフルエンザ感染によく似ている。感染した全てのフェレットは5日以内に死亡し、科学者らは検体を採取した全ての組織においてhuTX37-H5N1ウイルスを確認し、呼吸器系では高レベルであった。以前の研究(訳注:文献2)で、当該研究者らはフェレットにウシ由来H5N1ウイルスを感染させているが、それは重篤な病気を引き起こしたものの、致死性は限定的であった。 呼吸器伝播を評価するため、当該科学者らは健康なフェレットを、1日前に4種類の感染価の異なる(感染価を段階的に低下させた)huTX37-H5N1のいずれかにより感染させたフェレットから約5 cm離れたケージに入れた。直接感染させたフェレットは全て6日以内に死亡し、すぐ隣に置かれたフェレットは、ばく露用量に応じて、その17%から33%が呼吸器飛沫伝播によって感染した。これらの結果は、感染したヒトから分離されたウシ由来HPAI H5ウイルスは、効率は限定的ではあるが、呼吸器飛沫を介して哺乳動物間で伝播する可能性があることを示している。 著者らは、huTX37-H5N1ウイルスに感染したヒトは重篤な疾病にはならなかったと指摘している。実際、今回の集団感染で報告されたヒトの症例では、ほとんどが結膜炎や軽度の呼吸器症状を呈している。当該研究者らは、低ウイルス量のウシ由来H5N1ウイルスによる眼部の感染は、ヒトにおいては重篤な疾病を伴わずに局所的な結膜炎を引き起こす可能性があると推測している。更なる研究が必要ではあるが、季節性ヒトインフルエンザウイルスへの複数回のばく露により、現在流行しているHPAI H5N1ウイルスに対する低レベルの防御効果が生じる可能性があると研究者らは述べている。 要約すると、この研究ではhuTX37-H5N1分離株の特徴を明らかにし、ヒトの呼吸器細胞で複製できる可能性があること、マウス及びフェレットにおいて病原性があること、フェレットでは呼吸器経路で伝播する可能性があることを明らかにしている。著者らは、「これらの結果に基づき、乳牛におけるHPAI H5N1の集団感染を封じ込め、更なるヒト感染の可能性を抑えるために、あらゆる努力を払う必要がある」と指摘している。 ウィスコンシン大学マディソン校の科学者らは、静岡大学、及び東京大学、並びに日本の国際ウイルス感染症研究センターの協力者とともに研究を主導した。NIHの一部である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、インフルエンザ研究対応プログラムのためのセンター・オブ・エクセレンスを通じて、当該研究の多くに資金を提供した。 関連する文献は、以下のURLから閲覧可能。 1. Nature(2024年10月28日電子版、DOI: 10.1038/s41586-024-08254-7)「ヒトから分離されたウシ由来H5Nl亜型ウイルスは動物モデルにおいて伝播性と致死性を示す(A human isolate of bovine H5N1 is transmissible and lethal in animal models)、著者C Guら」 https://www.nature.com/articles/s41586-024-08254-7 2. Nature(2024年7月8日電子版、DOI: 10.1038/s41586-024-07766-6)「マウス及びフェレットにおけるウシ由来H5N1亜型インフルエンザウイルスの病原性及び伝播性(Pathogenicity and transmissibility of bovine H5N1 influenza virus in mice and ferrets.)、著者A Eisfeldら」 https://www.nature.com/articles/s41586-024-07766-6 |
地域 | 北米 |
国・地方 | 米国 |
情報源(公的機関) | 米国衛生研究所(NIH) |
情報源(報道) | 米国衛生研究所(NIH) |
URL | https://www.nih.gov/news-events/news-releases/bovine-h5n1-influenza-infected-worker-transmissible-lethal-animal-models |
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本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
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掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
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