食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06320940149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、欧州委員会提案COM (2023) 411附属書Iに対するANSESの分析に関する科学的意見書を公表 (前半1/2)
資料日付 2024年7月11日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は7月11日、欧州委員会提案COM (2023) 411附属書Iに対するANSESの分析に関する科学的意見書を公表した(EFSA-Q-2024-00178、6月19日採択、PDF版7ページ、DOI:10.2903/j.efsa.2024.8894)。概要は以下のとおり。
「背景」
 2023年7月5日に採択された欧州委員会の立法提案(legislative proposal、COM (2023) 411)は、新ゲノム技術により作出される植物(NGT植物)を2カテゴリーに区分している。
 1. 自然に発生し得る、あるいは、化学的及び/又は物理的変異誘発剤を用いるランダム変異誘発等の従来育種技術により作出され得るNGT植物(「カテゴリー1 NGT植物」)。このような植物は従来植物と同等に扱われ、従来育種により作出される植物と同等であることを確認するための検証手順のみが必要とされる。
 2. より複雑な遺伝子組換えの適用を特徴とし、引き続き、EU遺伝子組換え生物(GMO)法の定める要件の対象とされるNGT植物(「カテゴリー2 NGT植物」)。
 法的確実性を確保するため、欧州委員会は、NGT植物が自然発生植物、あるいは、従来育種植物と同等(即ち、カテゴリー1 NGT植物)であるか否か確認するための基準(criteria)を当該提案附属書Iにおいて提案している。これらの基準には、カテゴリー1 NGT植物のゲノムに認められる遺伝子組換えの特性、及び、その規模・部位数の閾値が含まれる。
 2024年1月24日、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の意見書が公表され、2023年7月5日に採択された欧州委員会の立法提案において、カテゴリー1 NGT植物と従来育種により作出される植物の同等性を判断するための基準を規定する附属書Iに関する分析が提示された。
「欧州議会からEFSAへの委任事項」
 2024年2月1日、欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)委員長からの要請を受け、2024年2月22日、欧州議会はEFSAに対し、規則(EU) 178/2002第29条に基づき、「特定の新ゲノム技術により作出される植物及びそれに由来する食品・飼料に関する、及び、規則(EU) 2017/625を改正する規則への欧州委員会提案(NGTs植物への提案)附属書Iに関するANSESの分析に対し、科学的意見を表明する」よう正式に要請された。中でも、「附属書I収載の基準に着目して検討しているANSESの分析に対し、科学的意見書を策定する」よう要請された(M-2024-00031)。
「評価及び結論」
 ANSES公表の意見書では、欧州委員会提案附属書Iに収載される基準が分析されている。この基準は、NGT植物が天然に発生する植物又は従来育種植物と同等(カテゴリー1 NGT植物)であるか否かを確認するために適用される。ANSESの意見書では、以下に焦点を当てている。
 (i) 欧州委員会提案における定義及びその適応範囲を明確にする必要性
 (ii) 同等性基準の科学的根拠(scientific basis)
 (iii) カテゴリー1 NGT植物に由来する潜在的リスクを考慮する必要性
1. ANSESが明確化を要求する、欧州委員会提案及び当該提案附属書Iにて用いられた用語
 EFSA GMOパネルは、欧州委員会提案附属書I収載の基準において用いられている多様な用語に対するANSESの分析及びコメントを検討し、以前のEFSA GMOパネルの意見書に基づき、以下を議論した。
 a. シスジェネシス/イントラジェネシスの定義、イントラジェネシスの除外、遺伝物質の定義
 b. 非標的シスジェネシスの除外
 c. 「育種家の遺伝子プール」の定義における「遺伝情報」という用語の明確化
 d. 「標的部位」の定義の必要性
 e. 植物ゲノムにおけるオフターゲット変化及び意図せぬ変化
 f. NGTにより作出される植物との比較に関連する従来育種植物の定義
 EFSAは標的部位の定義を未だ策定していない。「標的部位」の用語は、ヌクレアーゼにより認識される部位、又は、組換えが意図される遺伝子座と解釈することが可能である。EFSAは、本用語の明確化が必要であるというANSESの意見に同意する。EFSAは、欧州委員会提案附属書I記載の本用語を、ヌクレアーゼにより標的とされる特定の配列(例として、CRISPR CasのガイドRNA配列)と解釈している。しかしながら、本定義は法文において、及び/又は、EFSAがガイドラインを策定する際に改訂される可能性がある。
2. 欧州委員会提案附属書Iに収載される同等性基準の科学的根拠
 ANSESは、同等性基準の科学的根拠(scientific basis)に関し明確化を要請している。欧州委員会は、カテゴリー1 NGT植物に対して、定義された種別の遺伝子組換え(附属書I 1 - 5項)が20部位を超過しないという基準を提案しており、これは、附属書Iの同等性基準の理論的根拠(rationale)に関する欧州委員会のテクニカル・ペーパー(2023年)にて収集・総括されたエビデンスに依拠する。ANSESが引用した文献によると、1世代あたりの自然突然変異の平均発生数は10のマイナス8乗から10のマイナス10乗であり、トウモロコシ等のゲノムの場合、子孫1個体につき20 - 30部位の突然変異が発生することになる。ANSESが引用した文献によれば、ランダム変異誘発法を用いると、この数値は1,000倍から10,000倍となる。したがって、親植物と比較して20部位以下の変異を有する植物は、自然突然変異の結果であり得ると見なすことは科学的に正当化される。NGT植物をカテゴリー1 NGTと区分するため提案された組換えは20部位までという制限は、リスク管理上の決定であるが、EFSA・GMOパネルは、科学文献にて入手可能なデータを考慮すると、当該数値は保守的(conservative(控えめ))であると判断している。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06320941149)
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8894
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