食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06320680325
タイトル 米国国立衛生研究所(NIH)、乳牛のH5N1亜型インフルエンザウイルスは、哺乳動物における感染、伝播を促進する可能性がある特徴を有するとの研究について紹介
資料日付 2024年7月8日
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概要(記事)  米国国立衛生研究所(NIH)は7月8日、乳牛のH5N1亜型インフルエンザウイルスは、哺乳動物における感染、伝播を促進する可能性がある特徴を有するとの研究について紹介した。概要は以下のとおり。
 H5N1ウイルスは、呼吸器経路を介してフェレットに効率的には伝播しなかった。
 米国の乳牛に広がり循環しているH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI H5N1)ウイルスを用いた一連の実験で、泌乳牛由来のウイルスが鼻腔内接種によって投与された場合、マウス及びフェレットにおいて重篤な疾病を引き起こすことが確認された。H5N1感染乳牛に由来する当該ウイルスは、鳥類型及びヒト型の細胞受容体の両方に結合したが、重要なことに、呼吸器飛沫を介してばく露されたフェレットの間では効率的には伝播しなかった。Nature誌に掲載された研究結果によると、牛(乳牛)由来HPAI H5N1ウイルスは以前のHPAI H5N1ウイルスとは異なる可能性があり、これらのウイルスは哺乳動物間での感染及び伝播を促進する特徴を有している可能性がある。しかし、現時点では動物やヒトの間での効率的な呼吸器を介した伝播はできないようである。
 2024年3月、米国の乳牛の間でHPAI H5N1の集団感染が報告され、群全体に広がり、影響を受けた農場にいた一部の猫の間で致命的な感染が起こり、家きんにも異種間伝播(spillover)し、そして酪農従事者の間で4人の感染が報告された。感染畜牛から分離された当該HPAI H5N1ウイルスは、2021年後半から北米の野鳥の間で広まっているH5N1ウイルスと遺伝的に近縁である。時間の経過とともに、これらの鳥類のウイルスは遺伝的変化を起こし、北米大陸全体に広がり、野鳥及び哺乳動物での集団感染を引き起こしている。哺乳動物では、時には死亡率が高く、種内での伝播が疑われることもある。
 牛由来H5N1ウイルスの特徴をより深く理解するため、ウィスコンシン大学マディソン校、日本の静岡大学及び東京大学、並びにテキサスA&M獣医学診断研究所の研究者らは、A型インフルエンザウイルスの研究に頻繁に用いられているマウス及びフェレットにおいて、牛由来HPAI H5N1が複製して疾病を引き起こす能力を調べるための実験を行った。フェレットは、ヒトと同様の臨床症状、免疫反応を示し、ヒトと同様に呼吸器感染症を発症するため、ヒトにおける潜在的なインフルエンザ伝播様式を理解するための優れたモデルであると考えられている。
 研究者らは、牛由来HPAI H5N1インフルエンザをマウスの鼻腔内に投与した(投与するウイルス量を増やした実験も行い、各投与量あたりマウス5匹を用いた)。その後、15日間にわたり体重の変化及び生存率を監視した。高用量を投与されたマウスは全て感染により死亡した。低用量を投与されたマウスの一部は生き残り、最も投与量が少ないマウスでは体重の減少もなく生存した。
 研究者らはまた、牛由来HPAI H5N1ウイルスの影響を、ヒトにおけるH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスの典型であるベトナムのH5N1株及びH1N1インフルエンザウイルス株と比較するため、これらをマウスに鼻腔内投与した。牛由来HPAI H5N1ウイルス又はベトナムのH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスのいずれかを投与されたマウスでは、呼吸器及び非呼吸器(乳腺や筋肉組織を含む)において高いウイルス量が示され、眼でも散発的に検出された。H1N1ウイルスは当該動物の呼吸器組織でのみ検出された。牛由来HPAI H5N1ウイルスを鼻腔内感染させたフェレットは、体温上昇及び体重減少を呈した。マウスと同様に、科学者らはフェレットの上気道、下気道、及びその他の臓器で高いウイルス量を確認した。しかし、マウスとは異なり、フェレットの血液や筋肉組織中ではウイルスは確認されなかった。
 「マウス及びフェレットでの我々の病原性研究をまとめると、泌乳牛由来のHPAI H5N1は経口摂取又は呼吸器感染後に重篤な疾病を引き起こす可能性があり、経口又は呼吸器経路による感染は、眼、乳腺、乳頭及び/又は筋肉等の非呼吸器組織へのウイルスの全身的拡大につながる可能性があることが明らかになった」と著者らは記述している。
 牛由来H5N1ウイルスが咳やくしゃみ等によって放出される呼吸器飛沫を介して哺乳動物間で伝播するかどうかを調べるため、研究者らは、牛由来HPAI H5N1ウイルス又は呼吸器飛沫を介して効率的に伝播することが知られているH1N1インフルエンザのいずれかをフェレットの複数群(感染群1群あたり4匹)に感染させた。1日後、未感染のフェレットを当該感染動物の隣のケージに入れた(※訳注:ばく露群)。いずれかのインフルエンザウイルスに感染させたフェレット(※訳注:感染群の個体)は、臨床症状を呈し、複数日にわたって採取された鼻腔スワブ検体において高いウイルス量が示された。しかし、(ばく露群においては)H1N1感染群にばく露されたフェレットのみが臨床症状を示し、乳牛由来インフルエンザウイルスはフェレットにおいて呼吸器飛沫を介して効率的には伝播しないことが示された。
 通常、A型の鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスは、感染開始のために細胞表面の同じ受容体に結合することはない。しかし、研究者らは、牛由来HPAI H5N1ウイルスが両方の受容体に結合でき、このウイルスがヒトの上気道の細胞に結合する能力を持っている可能性があることを明らかにした。
 「総合的に、我々の研究は、牛由来H5N1ウイルスが、フェレットにおける呼吸器飛沫伝播が限定的で、ヒト型/鳥類型受容体への2つの結合特異性を持つ点で、これまで循環していたHPAI H5N1ウイルスと異なる可能性があることを示している」と著者らは述べた。
 NIHの一部である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、ウィスコンシン大学マディソン校の研究者らの研究に資金を提供した。
 Nature誌に掲載された当該研究論文「マウス及びフェレットにおける牛由来H5N1亜型インフルエンザウイルスの病原性及び伝播性」は以下のURLから閲覧可能。
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07766-6
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国衛生研究所(NIH)
情報源(報道) 米国衛生研究所(NIH)
URL https://www.nih.gov/news-events/news-releases/features-h5n1-influenza-viruses-dairy-cows-may-facilitate-infection-transmission-mammals
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