食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06320130535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、ビスフェノールAに関するポジションペーパーを公表 (前半1/2)
資料日付 2024年7月19日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は6月28日、ビスフェノールAに関するポジションペーパーを公表した。内容は以下のとおり。
 序論と背景
 食品・消費者製品・環境中の化学物質の毒性に関する委員会(COT)は、欧州食品安全機関(EFSA)が公表したビスフェノールA(BPA)の新しい耐容一日摂取量(TDI)の科学的根拠とリスク管理への影響、およびその後のドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)による評価について検討した。
 BPAは、再利用可能なボトル、食器、保存容器などの食品接触材料(FCM)、特定の紙製品の感熱印刷、食品・飲料の缶や調理バットの保護ライニングに使用され、認可されている。乳幼児用のFCMに塗布されるコーティング剤やワニスへの使用は禁止されている。BPAの使用が許可されている場合、事業者はBPAが0.05 mg/kgの特定移行限度(SML)を遵守していることを保証しなければならない。欧州連合(EU)と英国(UK)で設定された当該SMLは、2015年のEFSAによるBPAの評価に基づいている。
 2015年にEFSAが設定した暫定耐容一日摂取量(tTDI) 4 μg/kg体重/日は、動物実験で観察された相対腎臓重量の平均値の増加に基づいており、ヒト等価用量(HED)が用いられている。2015年のばく露評価に基づき、EFSAは、食事性ばく露による健康上の懸念はどの年齢層にもなく、総ばく露(経口経路では食事とハウスダスト、経皮経路では感熱紙と化粧品)による健康上の懸念は低いと結論した。しかし、EFSAは、非食事源から推定されるばく露にはかなりの不確実性があると指摘した。
 2016年、EFSAは欧州委員会(EC)から、食品中のBPAの存在に関連する公衆衛生に対するリスクを再評価するよう委任を受けた。この再評価では、前回の評価以降に入手可能となったデータを考慮し、BPAの毒性学的エンドポイントに関して依然として残る不確実性を明らかにする必要があった。
 COTは、2022年2月の臨時会合でEFSAの意見書案について議論し、EFSAにコメントを提出した。EFSAの最終見解と、欧州医薬品庁(EMA)およびBfRによる見解の相違については、2023年5月の会合で議論された。
 EFSAとの見解の相違を受けて、BfRは2023年に独自の評価を発表した。COTは2023年12月の会合で、BfRの評価、そしてモデル化とHEDおよびTDIの導出におけるEFSAの評価との相違について議論した。
 2023年のEFSA評価
 EFSAの食品接触材料・酵素・加工助剤に関するパネル(CEPパネル)は、新たなTDIの導出のために、動物データとヒトの観察研究からのエビデンスを評価し、BPAの影響を最も受けやすい標的として免疫系を特定した。BPAを投与したマウスでは、白血球の一種であるTh17細胞の割合の増加が報告された。報告されたこれら細胞の増加は、免疫反応において極めて重要な役割を果たし、炎症状態に関与していることから、最も感度の高いエンドポイントであり、したがってBPAの重大な影響であると考えられた。EFSAは、観察されたTh17細胞の増加と炎症反応の間に直接的な因果関係は立証されていないことに同意したものの、Th17細胞は乾癬や喘息など、炎症病態を伴う多くの疾患に関与していることから、Th17細胞数の変化(中間エンドポイント、すなわち、最終的な毒性作用ではない)と有害な結果の間に関連性を示すエビデンスがあることを指摘した。
 EFSAの新たなTDI 0.2 ng BPA/kg体重/日は、HED 8.2 ng/kg体重/日に基づいており、マウスのTh17細胞の割合が40%増加するベンチマークドーズの信頼区間の下限値(BMDL40)から換算された。ベンチマーク反応は、健康なヒト集団で観察されるTh17細胞数のばらつきに基づいて選択された。EFSAは、トキシコダイナミクスの種間差に対する不確実係数(UF)として既定値である2.5、そしてトキシコキネティクスおよびトキシコダイナミクスの種内変動に対するUFとして既定値の10を用い、総合的なUF 50を適用した。トキシコキネティクスの種間変動性については、HEDへの換算ですでに考慮されているため、UFは適用されなかった。しかし、EFSA は、実施した不確実性解析に基づき、UF 2を追加で適用した。
 この新しいTDIは、意見書草案で提案された0.04 ng/kg体重/日はよりも高いが、主に2008~2012年のデータからEFSAが2015年に推定したばく露量に基づくと、すべての年齢層の平均的な消費者および高水準の消費者は、新しいTDIを2~3桁上回る可能性がある。
 EMAとBfRはともにEFSAにコメントを提出し、EFSAとの見解の相違点、すなわち、健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出に中間エンドポイントを使用すること、研究の検討で適用されたアプローチと文献調査の期間、不確実性解析と臨床的関連性/動物からヒトへの外挿、およびHEDの導出を含むリスク評価のアプローチ、を強調した。見解の相違が解消されなかったため、EFSAとEMA/BfRは、欧州委員会に対し、科学的な争点を明確にし、データに関連する不確実性を特定する共同文書を提出することになった。
 2023年のBfR評価
 EFSAとの見解の相違を受け、BfRは2023年にBPAに関する独自の評価を発表した。
 包括的な体系的文献レビューが実施された。研究の信頼性は、事前に定義された基準に基づいて評価され、研究はそれぞれのエビデンスの重み付け(WoE)を反映した3つの階層に分類された。ただし、文献の査定と評価は、EFSAが特定した重要なエンドポイント、すなわち、生殖毒性、免疫学的影響、血清尿酸値増加、トキシコキネティクス、に限定されたことに留意すべきである。BfRは評価において、EFSAの2015年および2023年の評価書からの文献とデータも考慮した。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06320131535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Position%20paper%20on%20bisphenol%20A
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