食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06300490149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、鉄の耐容上限摂取量(UL)に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表
資料日付 2024年6月12日
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概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は6月12日、鉄の耐容上限摂取量(UL)に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表した。
1. 科学的意見書の背景
・リスク管理者は、例えば食品サプリメントや強化食品製品中に認められる最大レベルを設定するために栄養素の安全性に関する助言を必要とする。
・栄養素に関して、摂取量の閾値を超えない限り有害影響のリスクはないことが想定される。この閾値の特定は耐容上限摂取量(UL)を設定するための基準として使用される。
・鉄の過剰摂取はそれが長期間にわたって続く場合、特に肝臓への有害健康影響に繋がる可能性がある。高用量の鉄のサプリメントはまた、使用された鉄の形態、用量、投与方法及びヒトの体質次第で、消化(GI)管における有害影響を引き起こす可能性がある。
・2004年、EFSAの「栄養、新食品及び食物アレルゲンに関する科学パネル(NDAパネル)」は鉄のULに関する科学的意見書を公表したが、当時利用可能であったデータは、鉄のULを設定するためには不十分であった。
2. EFSAは何をするよう求められたのか。
・欧州委員会は、新たに利用可能なエビデンスに基づき、NDAパネルの2004年科学的意見書のレビューを求めた。
・鉄のULを特定するためにデータが不十分である場合、EFSAは、一般集団において有害影響のリスクを引き起こさないと確信をもって結論することが可能な最大量(安全な摂取量(safe level of intake))に関して助言するよう求められた。
・ULも「安全な摂取量」も、栄養素の過剰な摂取に関連した有害影響の可能性に対して消費者を保護することを目的とする。ULと「安全な摂取量」の違いは、これらの数値が確立される方法の違いに関連している。
・ULとは対照的に、「安全な摂取量」は、それを上回ると有害な摂取のリスクが増加し始める特定の摂取量の閾値に基づいていない。
・「安全な摂取量」を上回る摂取量は、必ずしも有害影響のリスクがあることを意味しない。 
・「安全な摂取量」は、有害影響のリスクにある集団の割合を特性評価するために使用できない。
3. EFSAはどのようにこの作業を行ったのか?
・コペンハーゲン大学は、オスロ大学及びカロリンスカ研究所と共同し、EFSAのために、ヒトの介入研究及び観察研究の系統的文献レビューを実施した。このエビデンスに基づき、NDAパネルは、鉄の高摂取に関連する健康への有害影響の可能性を評価した。
・2002年に公表されたビタミン及び必須ミネラルのULの設定と適用に関するNDAパネルのガイダンス草案を受けて、NDAパネルは以下の質問に対応した:
(1) ヒトの健康に有害影響のリスクを及ぼすことが予想されない長期間の鉄の一日総摂取量(全供給源由来の)の最大量はどれぐらいか。
(2) 欧州連合(EU)集団において、全食事源からの一日の鉄摂取量はどれぐらいか。
(3) 不確実性を含め、EU集団における鉄の摂取に関連する健康への有害影響のリスクはどれぐらいか。
・鉄に関する以下の項目を評価するためにエビデンスは評価された。
(1) 吸収、分布、代謝、排泄
(2) 摂取及び状態のバイオマーカー(※注1)
(3) 健康への有害影響の可能性-肝毒性、Ⅱ型糖尿病、妊娠糖尿病、消化器系への有害影響、乳児、幼児及び妊娠中における補給の有害影響、低い亜鉛の吸収等
4. 制約/不確実性は何か?
・データは、長期にわたる鉄の安全な摂取量を定めるためには不十分であった。このためULを設定することはできなかった。この理由は、肝毒性の情報が個々の患者を説明する症例報告として主に報告されたからである。
・症例報告において観察された毒性は、専ら鉄の過剰摂取に由来する鉄の過負荷の結果であることに留意する必要がある。したがって、肝毒性は、鉄の吸収に影響する基礎疾患のない患者においても観察され、肝不全や肝臓がんの患者において一般的にみられる。
・NDAパネルは、黒色便の発生に関連する限定されたデータに基づき、「安全な摂取量」を評価した。黒色便は健康に有害ではないが、消化管における相当量の未吸収の鉄の存在を示し、鉄の過負荷及び毒性に先立つ鉄の代謝機能不全の最初の兆候である可能性がある。
5. 結果は何か。
・いずれの年齢グループに関しても鉄のULを設定することはできなかった。その代わりに、鉄の「安全な総摂取量」が以下のとおり設定された。
(1)妊婦及び授乳中の女性を含む成人に関して40 mg/日
(2)小児に関する摂取量の範囲は、10 mg/日(1~3歳児)~35 mg/日(15~17歳の成人)
(3) 4~11か月齢の乳児に関して5 mg/日、強化食品及び食品サプリメントからの鉄の摂取は含むが、乳児用調製乳又はフォローオン調製乳からの摂取は含まない。乳児に特有かつ明確な鉄の必要量のため、乳児に関する安全な補助的摂取量は導出された。
6. 主な勧告事項は何か。
・政策立案者及びリスク管理者への勧告
(1)「安全な摂取量」(ULは設定されなかった)を、様々な年齢グループに関して安全と考えられる摂取量として用いる必要がある。
(2)提案された「安全な摂取量」は、鉄欠乏性貧血の治療として医師の指導の下で鉄を処方される患者に適用されない。
・研究機関への勧告
(1)消化管の生理、病理、及び微生物叢への(ヘム及び非ヘム)鉄の用量増加の影響の研究
(2)鉄の高摂取と、銅、亜鉛、カルシウム及びマンガン等の他のミネラルの吸収と代謝の間の相互作用の機構の研究
(3)利用可能な最新の技術を用いた、ホメオスタシス(※注2)(鉄の貯蔵が限界になった場合の鉄の吸収の減少等)、及び長期にわたる鉄の高摂取に対する鉄の吸収に関する生理的限界の特定及び特性評価
(4)強化食品及び食品サプリメントに焦点を置き、食品成分及び食品摂取に関する正確なデータ収集の継続
(※注1)摂取及び状態のバイオマーカー: 客観的に測定され、ヒトの栄養摂取及び栄養状態を反映する特徴
(※注2)ホメオスタシス: 外部の条件が変化した際に、生物が生理的な安定性を維持する過程
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/scientific-opinion-tolerable-upper-intake-level-iron
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