食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06300220301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:自由回答形式の聞き取り調査と患者の購入履歴を用いた、2023年から2024年にかけて米国ユタ州で発生したSalmonella Livingstone集団感染と1か所の飲食店との迅速な関連付け」
資料日付 2024年6月13日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  MMWR(2024, 73(23):536-537、doi: 10.15585/mmwr.mm7323a4)に掲載された短報(Note)「現場からの手記:自由回答形式の聞き取り調査と患者の購入履歴を用いた、2023年から2024年にかけて米国ユタ州で発生したSalmonella Livingstone集団感染と1か所の飲食店との迅速な関連付け(Notes from the Field: Rapid Linkage of a Salmonella Livingstone Outbreak to a Restaurant, Using Open-Ended Interviews and Patient Purchase Histories - Utah, 2023-2024)、著者C Keisling (Council of State and Territorial Epidemiologists, Atlanta, Georgia, 米国)ら」の概要は以下のとおり。
・イントロダクション(抜粋)
 2023年12月1日から2024年1月9日にかけて、ユタ州保健福祉局は、所定の腸疾患サーベイランスを通じて、2つの隣接する郡に居住する住民5人からSalmonella Livingstoneを分離同定した。分離株はコアゲノムMLST(cgMLST)により遺伝的類似性が確認された。他州からは関連する分離株は米国立生物工学情報センター(NCBI)には報告されておらず、また患者の中に発症前の一週間に州外に旅行したと報告した者はいなかったことから、当該地域でのばく露が示唆された。当初の所定の聞き取り調査では、患者は飲食店を含む潜在的なばく露について質問されたが、共通のばく露は報告されなかった。保健当局は感染源を特定し、さらなる疾病を予防するために調査を行った。
・調査及び結果
 2024年1月16日以降、保健当局は患者に対し反復的な自由回答形式の聞き取り調査(open-ended interview)による追跡調査を行い、発症前の一週間のばく露を特定するために飲食店での購入履歴を収集した。1月17日までに、4人の患者が飲食店Aで食事をしたと報告した。1月19日までに、所定の腸疾患サーベイランスにより合計8例の確定症例又は推定例(probable case)が特定され、すべての患者がこの同じ飲食店で食事をしたと報告した。飲食店Aにおいて、共通の食事は喫食していなかったと報告された。さらなる感染者を防ぐため、公衆衛生当局は1月19日に飲食店Aを閉鎖した。1月22日、地域及び州当局は、PCR検査、培養及びゲノム配列解析を目的に、飲食店Aから71点の環境検体及び食品検体、並びに従業員9人全員から糞便検体を採取し、聞き取り調査を行った。
 集団感染株は、7点の複合環境スワブ検体(清掃器具、3つに仕切られたシンク・洗浄機、乾燥棚・木製スツール・ゴミ箱、調理器具棚、コンロの取っ手、ソース瓶、屋外のゴミ箱)、及び2点の複合食品検体(グリル設備のソース、食材調理エリアの野菜及びその他の食材)から分離された。
 症例は、2023年10月1日以降に発症したS. Livingstone集団感染株の感染者と定義された。全体では、2023年10月13日から2024年1月20日までの期間に発症した11例が特定され、すべての患者が発症前の一週間に飲食店Aでの食事を報告した。報告された胃腸症状は、下痢(10例)、腹痛(7例)、嘔吐(5例)、吐き気(4例)、及び血性下痢症(2例)であった。患者の年齢中央値は45歳(範囲:25?68歳)であり、症例の55%が男性であった。6人の患者が救急外来で治療を受け、うち2人が入院し、死亡者の報告はなかった。11人中7人が抗菌性物質による治療を受けた。集団感染株は4人の患者の便検体以外の検体(尿3人、血液1人)から分離された。
 尿路感染症(UTI)の患者3人の内訳は、男性1人、女性2人であった。尿路感染症の女性患者2人は便検体を提出しておらず、1人は胃腸症状を報告していなかった。陽性の血液検体は、下痢、発熱、首のこわばりを報告した患者から採取されたもので、この患者の便からも集団感染株が分離された。飲食店Aで喫食した具体的な日付と食事(昼食又は夕食)、及び発症日を報告した5人の患者における、潜伏期間の中央値は52時間(範囲:7~76時間)であった。集団感染株は、1月16日に飲食店Aで働き始めた従業員1人の便から分離された。この従業員は、飲食店Aで複数回食事したことを報告し、1月20日に症状を発症した。
・予備的結論と措置
 当初の所定の患者への聞き取り調査では共通のばく露は特定されなかったが、自由回答形式の聞き取り調査及び患者の購入履歴から、感染源の飲食店を迅速に特定することができ、3日以内の当該飲食店の閉鎖につながった。ほとんどの患者が胃腸炎の症状を報告した。3人の患者(27%)がUTIを発症し、うち1人はUTIの症状のみを報告した。この所見は過去に報告された集団感染とも一致する。非チフス性サルモネラ属菌によるUTIはまれである。さらに、1人の患者が血流感染症を発症した。環境及び食品検体検査の結果、飲食店Aが集団感染の発生源であることが確認され、店内が広範囲に汚染されていることが示唆され、清掃と衛生管理が指導された。しかし、従業員への聞き取り調査では、病原体が飲食店に持ち込まれた可能性のある経路は特定されなかった。飲食店Aは1月29日に再開し、2024年6月10日時点で、当該集団感染株による新たな感染者は報告されていない。集団食中毒調査における、自由回答形式の聞き取り調査及び購入履歴の活用は、感染源の特定と対応を早める可能性がある。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR(2024, 73(23):536-537)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/wr/mm7323a4.htm
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