食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06280150149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、EFSAの科学的意見書にて評価された食品用酵素の生産に用いられたBacillus licheniformis株の分類学的同一性に関する声明を公表
資料日付 2024年5月16日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は5月16日、EFSAの科学的意見書にて評価された食品用酵素の生産に用いられたBacillus licheniformis株の分類学的同一性に関する声明を公表した(4月16日採択、PDF版9ページ、https://doi.org/10.2903/j.efsa.2024.8770)。概要は以下のとおり。
「背景」
 Bacillus licheniformisは、Bacillus属のグラム陽性桿状細菌であり、多くの場合、土壌中にて検出される。
 2015年に新種として分類されたB. paralicheniformisは、Bacillus属中においてB. licheniformisの近縁種である。両種の僅かな相違の中で着目すべきは、B. paralicheniformisがバシトラシン、フェンギシン、ランチペプチド産生能を有する点である。バシトラシンは医療上重要な抗菌性物質の一種とみなされており、(「WHO List of Medically Important Antimicrobials, 2024」にて定義される)重要な抗菌性物質であるコリスチンに対する交差耐性を誘導することが実証されている。
 両種の菌株は、一定の基準(適格性)を満たせば、安全性適格推定(Qualified presumption of safety(QPS))アプローチの対象となる可能性がある。QPSは、フードチェーンにおける微生物利用の安全性評価の枠組みを簡素化するため、EFSAにより開発された科学的アプローチである。QPSリストは2008年以降、種レベルで公表され、その後も定期的に更新されている。菌株の分類学的同定が明確になった後、菌株レベルにおいてQPS適格を適用する。Bacillus属菌種の場合、QPS適格には、臨床的に関連する抗菌性物質に対する後天性薬剤耐性(AMR)遺伝子を保持しないこと、及び、毒素産生活性がないことが含まれる。B. paralicheniformisの一部の菌株は、バシトラシン産生能を有しており、これは食品中に含有されるとハザードとなるため、当該種の菌株に対してはバシトラシン産生不可能という追加の適格を適用する。
 2021年に公表された食品用酵素のリスク評価に関する最新のガイダンスでは、細菌の分類学的同定は、全ゲノム配列(WGS)データを用いた計算的アプローチによってのみ実施されなければならないと規定されている。当該ガイダンスが策定される以前は、EFSAはWGSベースのアプローチを推奨していたものの、古典的に分類学的同定に用いられてきた配列(16S rRNA遺伝子等)、あるいは、他の特徴的な遺伝子(ハウスキーピング遺伝子等)の比較による同定は容認されると見なされていた。その結果として、2021年のEFSAの科学的ガイダンスの実施前に公表された科学的意見書には、堅牢性に劣る分類学的同定が含まれている可能性があり、Bacillus paralicheniformis菌株をBacillus licheniformis菌株と誤同定している可能性がある。
 数件の研究から、16S rRNA遺伝子配列のみに基づく系統解析による分類学的同定は、Bacillus属内の異なる種を区別するには不十分である可能性が示されている。これに対して、WGS解析に基づく分類学的同定は、Bacillus属内の種を確実に同定し、B. licheniformisとB. paralicheniformisを識別可能である。
 B. paralicheniformisとB. licheniformisの確実な分類学的同定が重要であるとの認識の下、2023年12月、欧州委員会はEFSAに対し、B. licheniformisを産生菌株として報告している食品用酵素に関する全ての科学的意見書の再調査を要請した。本声明においてEFSAは、分類学的同定がWGSに依拠しているか否かを文書化するため、EFSAの科学的意見書の公表を証拠づけた技術ドシエにおいて提供されたデータを再調査した。
「結論」
 EFSAの食品接触材料・酵素・加工助剤に関するパネル(CEPパネル)は、産生菌株としてB. licheniformisを用いた食品用酵素に関する27件の技術ドシエに収載されている生データ及び手法を検討した。15菌株に対しては、16S rRNA遺伝子解析を用いて分類学的同定を実施しており、12菌株についてはWGS解析により、分類学的同定を実施していた。結論として、B. licheniformisと確認できたのは上記の12菌株のみである。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8770
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