食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06240490104
タイトル 米国疾病管理予防センター(CDC)、MMWR Surveillance Summariesにて「飲料水に関連した水由来疾患集団発生サーベイランス-米国、2015年~2020年」と題するサーベイランス概要報告を公表
資料日付 2024年3月14日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  米国疾病管理予防センター(CDC)は3月14日、MMWR Surveillance Summaries (2024, 73(No. SS-1):1-23、doi: 10.15585/mmwr.ss7301a1)にて「飲料水に関連した水由来疾患集団発生サーベイランス-米国、2015年~2020年(Surveillance of Waterborne Disease Outbreaks Associated with Drinking Water - United States, 2015-2020)」と題するサーベイランス概要報告を公表した。概要は以下のとおり。
1. 問題/状況
 米国の州、準州、及び自由連合盟約国の公衆衛生機関は、水由来疾患の集団発生を調査し、全米集団発生報告システム(National Outbreak Reporting System: NORS)を通じて、自主的にCDCに報告している。本報告書は、NORSの飲料水による疾患の集団発生の疫学的データ、検査データ、及び環境データを要約したもので、公共及び私設の飲料水システムのデータを含んでいる。本報告書では、集団発生に寄与した因子(すなわち、集団発生につながる行動や要因)を提示し、初めて疾患の集団発生をバイオフィルム病原体関連又は腸疾患関連(※訳注)として分類した。
2. 対象期間
 2015年~2020年
3. システムについて
 CDCは2009年に、公衆衛生部門が自主的に疾患の集団発生情報を入力するためのウェブベースのプラットフォームとしてNORSを立ち上げた。CDCはNORSを通じて、細菌、ウイルス、寄生虫、化学物質、毒素、及び未知の病原体による腸疾患集団発生、並びに非腸疾患の食品及び水由来集団発生の報告を収集している。飲料水による疾患の集団発生について(判明している場合)NORSユーザーから提供されるデータには以下が含まれる:1)症例数・入院者数・死亡者数、2)病原体・病因物質(確定又は疑い)、3)関係する水システムの種類(地域又は個別・私設など)、4)ばく露の状況(病院や医療施設、ホテル、モーテル、ロッジ、旅館或いは個人用住居など)、5)集団発生の説明やその要因の特性評価のために必要な関連疫学データ及び環境データ。
4. 結果
 2015年から2020年までの期間中、28州の公衆衛生当局が飲料水に関連した214件の集団発生と454の要因について自主的に報告した。報告された病因は、バイオフィルム関連が187件(87%)、腸疾患関連が24件(11%)、不明が2件(1%)、化学物質又は毒素が1件(1%未満)であった。合計172件(80%)の集団発生が公共水道由来の水に関連しており、22件(10%)は水システムが不明、17件(8%)は個別又は私設の水システム、2件(0.9%)はその他の水システムに関連し、1件(0.5%)は水システムの種類の報告がなかった。飲料水に関連した集団発生により、少なくとも2,140人の疾病、563人の入院(症例の26%)及び88人の死亡(症例の4%)が発生した。個別又は私設の水システムは、944人の疾病(43%)、52人(9%)の入院、14人(16%)の死亡に関係していた。
 腸疾患関連病原体は全患者のうち、1,299人(61%)に関係し、入院者は10人(2%)であった。死亡者は報告されていない。これらの患者のうち、3種類の病原体(ノロウイルス、赤痢菌及びカンピロバクター属菌)又はこれらの病原体を含む複数の病因によるものが1,225人(94%)に上った。飲料水源が最も多い腸疾患集団発生の寄与因子として特定された(n=34; 7%)。水源(地下水など)が判明している事例(n=14)では、腸疾患集団発生の13件(93%)で、それが井戸であることが確認された。
 バイオフィルム関連病原体による集団発生の報告の大半がレジオネラ属菌に関与しており(n=184; 98%)、その他には、2件(1%)が非結核性抗酸菌(NTM)、1件(0.5%)がシュードモナス属菌関連の集団発生であった。レジオネラ属菌関連集団発生は調査期間中に概ね増加した(2015年14件、2016年31件、2017年30件、2018年34件、2019年33件、2020年18件)。レジオネラ属菌関連集団発生は、全患者のうちの786人(37%)、入院者544人(97%)、86人(98%)の死亡につながった。レジオネラ属菌はまた、160件(92%)の公共水道関連の集団発生でも病因となった。集団発生報告では、レジオネラ属菌及びその他のバイオフィルム関連病原体による疾患の集団発生の寄与因子として、施設又は使用地点が最も多く挙げられた(n=287; 63%)。レジオネラ属菌は2015年と2019年に、個人用住居における3件の疾患集団発生の原因としてNORSに報告された。
5. 解釈
 観察されたバイオフィルム関連及び腸疾患関連飲料水病原体の寄与因子の範囲は、飲料水に関連する疾病の予防の複雑さと、水源から蛇口までの予防戦略の必要性を示している。レジオネラ属菌関連集団発生は経時的にその数が増加しており、入院や死亡者を含め、報告された飲料水関連集団発生の主要な原因となった。主に井戸に関連した腸疾患集団発生は、本報告期間中の症例の約半数を占めた。本報告書は、水由来疾患による米国の疾病及び医療コストの影響を推定するCDCの取り組みを強化するもので、バイオフィルム関連病原体、NTM及びレジオネラ属菌が、水由来疾患や飲料水関連疾患による入院や死亡の主要な原因として浮上していることを明らかにした。
6. 公衆衛生対策
 公衆衛生部局、規制当局及び飲料水関連機関は、これらの知見を利用して、新たな水由来疾患の脅威を特定し、疾病発生への対応及び予防プログラムの手引きとし、飲料水規制の取り組みの裏付けとすることができる。
(※訳注)本分析では、バイオフィルム病原体は非結核性抗酸菌(NTM)、シュードモナス属菌及びレジオネラ属菌を指し、腸疾患病原体はカンピロバクター属菌、クリプトスポリジウム属原虫、ジアルジア属原虫、ノロウイルス及び赤痢菌を指す。
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国/疾病管理予防センター(CDC)
情報源(報道) 米国疾病管理予防センター(CDC)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/ss/ss7301a1.htm
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。