食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06240170108
タイトル 米国環境保護庁(EPA)、農薬マラチオンの最新のリスク評価案を公表
資料日付 2024年3月1日
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概要(記事)  米国環境保護庁(EPA)は3月1日、農薬マラチオン(malathion)の最新のリスク評価案を公表した。概要は以下のとおり。
 本日、EPAは、農薬マラチオンに関する最新のヒト健康リスク評価(HH DRA)案を公表した。更新されたHH DRAは、最新の情報及び技術を用いて、2016年のマラチオンの食事、職業、及び住居のリスク評価を修正するものである。更新されたHH DRAでは、ラベル表示の指示に従って使用した場合、マラチオンについて懸念されるヒトの健康リスクは確認されないとしている。EPAはまた、産品の定義の改訂に基づいて、残留基準値を他国のレベルと調和させるために、複数の食品の残留基準値の変更を提案している。
 マラチオンは有機リン系殺虫剤で、果物、野菜、景観植物、及び低木の害虫駆除や、蚊の駆除等、農業用途及び非農業用途で登録されている。蚊が媒介する疾病(西ナイルウイルスやジカウイルスによって引き起こされる疾病等)は、世界の主な疾病や死亡原因の一つであり、米国の人々に重大なリスクをもたらしている。気候変動に伴う気温の上昇により、蚊の生息域と繁殖期が拡大し、蚊の発育、刺咬率、及び蚊の個体内での蚊の孵化が加速する可能性もあることが研究で示されているように、気候変動は、ヒトが蚊媒介疾患にばく露されるリスクも高める。マラチオン等の殺虫剤を使用して蚊の個体数を制御することは、特に過負荷地域の人口密集地域で公衆衛生を維持するために重要である。
 マラチオンに対するヒトの健康リスク評価には、その代謝及び分解を通じて形成される分解産物であるマラオキソン(malaoxon)の評価が含まれる。マラオキソンはマラチオンの活性型で、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)酵素の阻害を通じて神経系と相互作用する役割を果たす。この作用により、殺虫剤が昆虫に対して有効になるが、マラチオンへのばく露レベルによっては、当該作用がヒトを含む哺乳類においても発生する可能性がある。AChE阻害はマラチオンの最も鋭敏な影響であることが判明しており、EPAには、有機リン酸塩によるヒトの健康リスク評価の基準として、AChEレベルにおける10%の変動(阻害)を用いてきたという長年の歴史がある。
 マラチオンに関する前回2016年のHH DRAでは、マラチオン及びマラオキソンへのばく露を評価するために動物データとデフォルトの不確実性係数のみに依存する従来のアプローチが使用され、懸念される潜在的なリスクが確認された。本日公表された最新のマラチオンHH DRAには、最新の科学的手法と新しいデータが組み込まれており、従来のアプローチと比較してより洗練された評価が提供され、懸念されるヒトの健康リスクは確認されなかった。
・更新されたHH DRA:生理学に基づいた薬物動態(PBPK)モデルを組み込んで、様々な年齢層及びばく露経路(経口、経皮、及び吸入)におけるAChE阻害に関連するヒト毒性のより現実的な推定値を得た。PBPKモデルは、ヒト固有のデータと情報を使用して、化学物質がどのくらいの速さと、どのくらいの量で体内に侵入し、体内のどこに分布し、どのように分解され、最終的にどのようにして体内から排出されるかをシミュレーションする。
・化学物質固有のデータを使用した発達神経毒性(DNT)の可能性の証拠の重み付け分析(WOE)を考慮して、食品品質保護法安全係数(FQPA SF)を更新した。FQPA SFは、妊娠女性及び小児に対する追加のリスクを考慮して、そのような追加のリスクが存在しないことを証明する科学的情報がない場合には10倍の追加安全マージンを提供することを意図している。EPAは、FQPA SFを10倍から1倍に低減することを裏付ける、信頼できる化学物質固有のデータがあると結論した。
・最新の食事、住居、及び職業作業者でない第三者(bystander)のばく露データを組み込んだ。
・蚊を防除するための公衆衛生上の使用によるばく露と潜在的なリスクを評価するための最新のガイダンスを利用した。
 上述したように、DNTの可能性のWOE分析は、マラチオンFQPA SF決定の情報を提供するために使用され、各証拠の強みと限界を考慮して、関連する全ての証拠が検討される。EPAの「有機リン系農薬の発生神経毒性の可能性を評価するためのアプローチ」は、女性及び小児における有機リン酸塩のDNTの可能性を評価するためのEPAの戦略を概説している。当該アプローチでは、疫学研究、動物毒性研究、及び一連のin vitroアッセイという3つの主要な証拠を使用して、高品質の化学物質固有のデータを使用して化学物質毎に農薬を評価する。WOEアプローチを使用して、EPAはFQPA SFの1倍への低減が証拠によって裏付けられると結論した。更に詳しい情報について、当該WOE分析は「FQPA安全係数に情報提供するためのマラチオン/マラオクソンの発生神経毒性の可能性の評価」と題する文書に記載されている。
 この改訂された評価はマラチオンによるヒトの健康リスクを対象としているが、非対象種に対する生態学的リスクについては、来月発表される予定の別の評価で説明される。EPAはマラチオンに関する種の保存法(ESA)の協議を完了した。マラチオンは現在登録審査(再評価)中の18種類の有機リン酸塩のうちの1つで、多くは2024年から2026年の間に決定が下る予定である。
 EPAは現在も進行中の登録審査プロセスを通じてマラチオンのリスク、便益、及び代替品を評価している。これらの評価と更新されたHH DRAは、今年後半に完了する予定のマラチオンの最終決定案(PFD)及び最終決定(FD)に情報を提供する。PFDは、ヒトの健康及び/又は生態学的リスク評価で特定されたリスクに対処するためのリスク低減を提案することがあり、FDはあらゆる低減の要件を最終決定する。PFD及びFDは、必要に応じて、ESAに基づく考慮事項や、FQPAによって改正された連邦食品医薬品化粧品法に基づく内分泌かく乱物質スクリーニングプログラム(EDSP)に関する考慮事項等、登録審査のあらゆる側面に対応する。
 マラチオンについては、EPAはすでにマラチオンに関するESA協議を完了しており、EDSPの要件に対応しているため、暫定決定案及び暫定決定ではなく、PFD及びFDを発行する予定である。
 EPAは今年後半に、PFDに関する意見公募を行うと同時に、最新のHH DRA及び生態学的DRAに関する意見公募も行う予定である。
 詳細情報は、以下のURLから、docket番号「EPA-HQ-OPP-2009-0317」を検索して入手可能。
https://www.regulations.gov/
 マラチオンのヒト健康リスク評価案(2024年1月、195ページ)は、以下のURLから入手可能。
https://downloads.regulations.gov/EPA-HQ-OPP-2009-0317-0161/content.pdf
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国/環境保護庁(EPA)
情報源(報道) 米国環境保護庁(EPA)
URL https://www.epa.gov/pesticides/epa-releases-updated-draft-risk-assessment-pesticide-malathion

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