食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06210520149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、飼料中に含有される麦角アルカロイドと関連する動物衛生へのリスクに関する科学的意見書を公表
資料日付 2024年1月23日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は1月23日、飼料中に含有される麦角アルカロイドと関連する動物衛生へのリスクに関する科学的意見書を公表した(2023年11月30日採択、PDF版86ページ、DOI:https://doi.org/10.2903/j.efsa.2024.8496)。概要は以下のとおり。
「背景」
 欧州委員会の要請を受け、EFSAのフードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAMパネル)は、飼料中に含有される麦角アルカロイド(EAs)と関連する動物衛生へのリスクを評価した。2012年にEFSAが公表した動物飼料中のEAsに関する前回の評価では、無毒性量(NOAEL)は豚(3.57 mg EAs/kg飼料)と家禽(1.4 mg EAs/kg飼料)に対してのみ設定されている。欧州委員会に最近提供された情報は、2012年以降に実施された研究に言及し、EFSAが上記の科学的意見書にて設定したリファレンス・ポイント(RP)を修正すべきであると結論している。本評価では、2012年の科学的意見書を出発点として使用し、飼料中のEAsと関連する動物衛生に対するリスクに関して入手可能となった新たな科学的情報が統合されている。ヒト及び動物における麦角アルカロイドへの食事性ばく露に関する2017年のEFSAの科学報告書に記載されている情報も本意見書に利用したが、新たな発生データを追加し、ばく露評価の更新に使用した。
 CONTAMパネルは、動物衛生への悪影響に対するRPsの導出を目的としている。PRsは、完全飼料(反芻動物及び馬の場合は粗飼料を含む)中に含有される麦角アルカロイドの濃度として表される。RPsは、食用及び非食用動物に対して有害と見なされる効果をもたらさないと考えられる値である。
 欧州委員会から提出された、動物衛生に対するEAsの悪影響に関する情報は、以下の文献と関連する。Schwake-Anduschus, C., Lorenz, N., Lahrssen-Wiederholt, M., Lauche, A., & Danicke, S. (2020). German monitoring 2012?2014: Ergot of Claviceps purpurea and ergot alkaloids (EA) in feeding stuffs and their toxicological relevance for animal feeding.
Journal of Consumer Protection and Food Safety, 15, 321?329.
https://doi.org/10.1007/s00003-020-01298-7
「評価対象の麦角菌種及び麦角アルカロイド」
 EAsは、麦角菌科のClaviceps属及びEpichloe属の真菌類により産生される50種以上の化合物群である。農作物に感染するClaviceps属の中で最も関連性のある種は、C. purpurea(ライ麦・小麦・ライ小麦等のイネ科草本類や穀物に感染する遍在種)、C. africana(モロコシに感染)、C. fusiformis(トウジンビエにのみ感染)である。Epichloe属(以前はNeotyphodiumまたはAcremonium属として知られていた)の種は、イチゴツナギ亜科の様々なイネ科草本類に感染する。
 C. purpurea由来の菌核は、欧州におけるEAsによる食品・飼料汚染の主原因となっている。C.purpurea由来麦角に含有される主なアルカロイドは、エルゴクリスチン、エルゴタミン、エルゴコルニン、α-エルゴクリプチン、β-エルゴクリプチン、エルゴメトリン、エルゴシン、及びそれらに対応する「イニン(inine)」エピマーである。本意見書におけるT-EAsとは、これらのC. purpureaが産生するEA14種の総和を指す。ジヒドロエルゴシンは、オーストラリアに生息するC. africana由来菌核に含有される主な毒性アルカロイドとして報告されている。Epichloe属種は、数種の真菌毒を産生するが、家畜に最も関連するのは、麦角アルカロイド及びインドールジテルペンロリトレムBである。Epichloe属種が産生する主なEAsは、エルゴバリン及びそのエピマー・エルゴバリニンである。
「移行」
 食品生産動物(農畜動物)及び非食品生産動物(伴侶動物等)における毒物動態に関する情報は限定的である。しかしながら、飼料から動物由来食品への移行は極僅かである。
「毒性及びMOA」
 EAsの主たる効果は血管収縮と関連し、極端な気温下において、その効果は増大する。くわえて、EAsはプロラクチン量の減少を引き起こし、その結果として乳生産量が減少する。
「食事性ばく露評価」
 EAsの総和に基づき、CONTAMパネルは、動物衛生への悪影響に対する完全飼料のRPsとして以下を考慮に入れた
 ・ 豚及び子豚: 0.6 mg/kg
 ・ 肥育用鶏: 2.1 mg/kg
 ・ 雌鶏: 3.7 mg/kg
 ・ アヒル: 0.2 mg/kg
 ・ 牛: 0.1 mg/kg
 ・ 羊: 0.3 mg/kg
ばく露評価には、飼料原材料及び配合飼料中に含有されるEAs(C. purpurea由来のみ)に関する総計19,023件の分析結果(1,580サンプル)が利用可能であった。食餌性ばく露は、以下の2種のばく露シナリオを用いて評価された。
 1. 完全飼料、及び、反芻動物には飼い葉を添加した補完飼料の摂取
 2. 穀類や油糧種子等の飼料原材料から構成されるモデル飼料、及び、反芻動物・馬には飼い葉を添加したモデル飼料の摂取
ばく露評価は、平均ばく露シナリオあるいは高ばく露シナリオ(入手可能なサンプル数に基づき、最も信頼度の高いパーセンタイルを適用)の何れかを用いて実施された。双方のシナリオから得られた結果、即ち、配合飼料とモデル飼料が比較された。
「リスクの判定」
 リスクの判定は、RPが特定された動物類に対して実施された。CONTAMパネルは、以下のとおり判断している。
 ・ モデル飼料由来のばく露に基づく場合、飼料中に含有されるEAsは、子豚、肥育用豚、雌豚、牛に対し動物衛生上の懸念を提起する。
 ・ 肥育用鶏、産卵用鶏、アヒル、羊、山羊に関しては、飼料中に含有されるEAsと関連する動物衛生上の懸念は低い。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8496
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