食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06200610149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、GMO申請におけるオープン・リーディング・フレームのリスク評価手法の改良に関する外部機関による科学的報告書を公表
資料日付 2024年1月16日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は1月16日、GMO申請におけるオープン・リーディング・フレームのリスク評価手法の改良に関する外部機関による科学的報告書を公表した(Reference: OC/EFSA/GMO/2021/01、2023年12月20日承認、PDF版59ページ、DOI:https://doi.org/10.2903/sp.efsa.2024.EN-8561)。概要は以下のとおり。
1. 背景
オープン リーディング フレーム(ORF)の分析は、遺伝子組換え生物(GMOs)から成る食品・飼料のリスク評価において基本的な手段であり、EFSA及び世界中のリスク評価機関により実施されている、現在、ORFsは、同一の読み枠内において終止コドンにより中断されない一連のコドン列からなるヌクレオチド配列として定義されている。現行の規則(EU) No 503/2013に則れば、植物における遺伝子組換えの結果として生成される全てのORFsは、既知のアレルゲンあるいは毒素との潜在的類似性を予測するために、バイオインフォマティクスを適用して分析されなければならない。
 現在までにEFSAが実施したORF分析は、EFSAのガイダンス及び2013年以前に発行された他の文書に規定される要件に従っている。当該アプローチは全体的にin silicoにて実施されており、15年以上前に定義された仮定と包括的な基準に依拠するが、遺伝子工学分野の進歩も、新たなin silico/バイオインフォマティック・ツールの利用可能性も考慮されていない。ゲノム及びタンパク質に関する知識は、全ゲノム配列決定やオミックス解析等の画期的な技術の適用により進化を遂げており、先進的なin silico予測ツールと組み合わせることにより、ORFのリスク評価に向け、更なる情報提供を可能とする。
 バイオテクノロジーの進歩により達成されたGMO分野における科学的発展や、外来DNAを導入することなく生物の遺伝暗号の改変を実現するゲノム編集の適用を考慮すると、ORFsの定義及び評価には全般的な再検討が必要となる。このような全般的な再検討は、従来のトランスジェニック製品のリスク評価のみならず、新たなゲノム編集技術により創成される新製品のリスク評価にも全面的に適用されるべきである。
 ORFsのリスク評価分析を改良することにより、現在EFSAのリスク評価パイプラインにあるGMO申請の安全性評価が改善されるだけでなく、近い将来、適用頻度が増すと推測されるゲノム編集アプローチにより作出される製品への適用性が高められる。
2. 目的及び手法
 EFSAにより、以下の目的が提示された。
 ・目的1: GMOリスク評価と関連する、ORFの定義及び選択のための基準を策定する
 ・目的2: GMOリスク評価に向け、関連するORFsの発現可能性を評価するための新たな知見/手法を開発する
 調査は以下の3部構成にて実施された。
タスク1: 目的1の実行に向け、ORFs、及び、その発現の可能性をリスク評価と関連して評価するために有効である既存の手法を対象として、広範囲に渡る文献検索を実施する。
タスク2: 目的2の実行に向け、得られたデータを用いて広範囲に渡る文献検索の結果を批判的に評価し、GMOリスク評価と関連する、ORFの定義・予測・選択に最も適切な基準を策定し、ならびに、タンパク質発現に関する知識や転写・翻訳の可能性を評価する新たな手法をレビューする。
タスク3: EFSAと協議の上、GMOリスク評価の文脈においてORFsの発現可能性を評価するための、自動化された新たな手法、in silicoツールを開発することを目的とした。提案される新たな手法は、従来のトランスジェニック製品に向けたリスク評価のみならず、新たなゲノム編集技術の応用により創成される新製品のリスク評価にも全面的に適用可能となると期待される。
3. 結果
 タスク1: ORFsの定義や、ORFsが発現する可能性をリスク評価と関連させ評価する手法等、ORFsに関する情報を対象とするレビュー及び灰色文献等の研究を検索するため、目的に適う独自の検索戦略プロトコルが策定された。広範囲に渡る文献検索が実施され、食品及び飼料用・輸入用・加工用のGMOsに加え、医薬品等、食品安全とは無関係の分野にも焦点が当てられた。クエリー検索により15,484件の文献が取得され、まずタイトル及び概要の確認により関連性を分析し、続いて全文分析を実施した。本プロセスの結果、307件の文書が確保された。
 タスク2: 関連文書の全文読解により、GMOリスク評価と関連するORFsの定義・予測・選択に最も適切な基準を提示する特定情報の抽出が可能となった。殊に、本トピックと関連して、タンパク質発現に関する知識を対象に実施したレビューでは、転写及び翻訳の可能性を評価するための新たな手法の提案を目的とした。その結果、ORFヌクレオチド配列の一定の特徴が遺伝子発現の可能性に影響することが示されたが、この可能性の基盤となる基準については更なる研究が必要となる。コドン同一性、ヌクレオチド組成、メッセンジャーRNAの二次構造は、リスク評価の新たな手法の策定に関連すると考えられる基準の一つである。しかしながら、ORF情報から遺伝子発現の可能性を評価する知能システムを開発する際には、構造化されたデータの欠如、適用領域の多様性、基準の信頼性が主要な制限となる。さらに、食品及び飼料の文脈において、中でも、リスク評価の文脈においてORFsを明確に検討した文書は乏しく、タンパク質発現の可能性を評価するという課題に対処していない。くわえて、リスク評価の文脈において、特定の変数が新たなモデルや手法に対して信頼に値する入力となるか否かの判断は困難であり、基準の信頼性は依然として課題となる。最後に、予測ツールの多くでは、多様な実験技術を用いてのde novo実験データを生成する必要がある点を指摘する。
 タスク3: タスク2にて収集された情報に基づき、多様なツールの適用及び統合が実現可能であるか否かを検討した。対象となったツールの長所及び短所は、従来のトランスジェニック製品のリスク評価のみならず、最新のゲノム編集技術により作出される新製品のリスク評価も念頭に、今回の要請の文脈において分析された。ORFヌクレオチド配列の一定の特徴が、GMOリスク評価と関連するORFsの発現の可能性を評価するために役立つ可能性がある点が指摘される。しかしながら、この可能性の基準及び現在存在する制限に対しては、さらなる調査が必要となる。さらに、現存するツールに多様性がある点や、さらには、モデルや基盤となるデータセットが特定の生物種に関連することが多い点を考慮すると、これを独自のツールに組み込むことは不可能である。このような課題及び制限を克服するための概念的なワークフローを提案し、現在利用可能なツールや手法を統合して合理化する試みとして提示する。
4. 実施機関
 ・ Innovamol Srl、イタリア
 ・ ボローニャ大学、イタリア
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-8561
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
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