食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06190180149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、食品添加物としてのエリスリトール(E968)の再評価に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表
資料日付 2023年12月20日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は12月20日、食品添加物としてのエリスリトール(erythritol)(E968)の再評価に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表した。
1. 概要
 エリスリトールは甘味料として使用される糖アルコール(ポリオール(polyol))である。欧州委員会規則(EU) No 231/2012は、エリスリトールを「酵母Moniliella pollinis又はMoniliella megachiliensis等の、安全かつ適切な食品グレードの好浸透圧性酵母(osmophilic yeasts)を使用した炭水化物源の発酵、精製及び乾燥により得られる」ものと規定している。
 2003年、欧州連合(EU)の食品科学委員会(SCF)はエリスリトールの安全性を評価し、2010年、2013年及び2015年、EFSAは、SCFとは別のエリスリトールに関連する助言を公表した。今回の意見書において、EFSAはエリスリトールの安全性を再評価した。この意見書は、政策立案者、科学者、メディア、食品加工業者、小売店及び市民の関心を引くと思われる。
2. EFSAは何をするよう要請されたのか。
 継続中の安全性のレビューの一部として、EFSAは2009年1月20日以前に使用が承認された全食品添加物の安全性を再評価しており、そのレビューの中にその他の甘味料の1つとしてエリスリトールが含まれている。また、欧州委員会(EC)はEFSAに対し、欧州議会及び理事会規則(EU) No 1169/2011により設定された、ポリオールを10 %以上添加する食品に対する緩下作用の警告表示義務からエリスリトールを除外することを検討するよう要請した。
3. EFSAはこの評価をどのように実施したのか。
 EFSAはエリスリトールの安全性評価に関し、事前に定められた基準と手法に基づき構成された手順書に従った。その評価手法は、エリスリトールの潜在的な有害影響(ハザードの特定)、健康なヒトに対して有害となる可能性がある食事中の最少量のエリスリトールの定量(ハザードの特性評価)、及びEU集団におけるエリスリトールへのばく露評価である。
4. どのようなデータが使用されたのか。
・エリスリトールの再評価に使用されたデータ
①EFSAとSCFの過去の意見書及び関連資料
②EFSAのデータ募集に回答した関係者からのエリスリトールのデータ
③2002年1月~2023年9月の間に公表されたエリスリトールに関する研究の文献レビュー
・緩下作用の警告表示義務からのエリスリトールの除外を検討するために使用されたデータ
欧州カーギル研究開発(R&D)センター(Cargill Research and Development (R&D) Centre Europe)(除外申請者)から提出されたデータ
5. 制約/不確実性は何か。
・以下の制約及び不確実性が特定されたが、エリスリトールの安全性に関する結論には影響しなかった。
①分析されたデータセットは、少数の被験者によるヒトの介入試験であった。当該試験は全年齢集団からの被験者を含まなかった。
②急性及び慢性ばく露評価には様々な不確実性が含まれており、エリスリトールのばく露評価が過大であることが考えられる。
③いくつかの疫学的試験は、循環エリスリトールの心血管疾患への影響及び関連するリスク要因を調査したが、これらの試験における循環エリスリトールレベルが食品添加物としてのエリスリトールの使用からの食事性ばく露を反映しているかどうかに関して不確実性がある。
6. 評価結果とそれらが意味することは何か。
・非遺伝子組換え酵母(Moniliella pollinis BC株又はMoniliella megachiliensis KW3-6株)を使用したエリスリトールの製造工程は安全である。
・評価された製造工程を使用して生産されたエリスリトール中に見つかった唯一の不純物は鉛であった。
・エリスリトールの使用に由来する消費者の鉛の摂取を低減するために、現在0.5 mg/kgの、エリスリトール中の鉛の最大存在量に対する上限を引き下げるよう勧告する。
・エリスリトールは、微生物に汚染されることは考えにくいため、EU規格における微生物学的基準を必要としない。
・エリスリトールの化学的特性により、様々な温度及び酸性度において食品中で概して安定している。
・エリスリトールは遺伝毒性物質ではない。
・エリスリトールはヒトにおける血糖レベルに影響しないという限定的ではあるが一貫したエビデンスはある。しかしながら、長期的な試験はない。
・現在のエビデンスは、エリスリトールを含有する食品の摂取と心血管疾患及び関連リスク要因との間の関連性(すなわち因果関係)を示さない。しかしながら、いくつかの観察試験で見つかった関連性の性質を明らかにするために、さらなる研究は役立つ可能性がある。
7. 緩下作用の警告表示に関して:
・ヒトの試験において下痢の誘因にならないエリスリトールの無毒性量(NOAEL)は0.5 g/kg体重であった。
・このNOAELに基づき、エリスリトールの急な緩下作用や、電解質のアンバランス等の長期の潜在的な有害影響から保護するため、0.5 g/kg体重/日の許容一日摂取量(ADI)が設定された。
・全集団グループにおいて、エリスリトールへの急性及び慢性ばく露は新たに設定したADIを上回る。エリスリトールの(E968)の高摂取者は、単回又は反復ばく露後に有害影響を受ける可能性がある。
・「エリスリトールのとり過ぎでおなかが緩くなることがあります」の警告は、依然として有効である。
8. 主な勧告事項は何か。
欧州委員会は以下の諸点を検討する必要がある。
・ばく露評価を向上させるために、食品中にどの程度のエリスリトールが存在するのかに関するさらに詳細なデータを要求すること。
・エリスリトールの製造に使用が認められた非遺伝子組換えのMoniliella pollinis BC株又はMoniliella megachiliensis KW3-6株等の微生物をリストに記載するためにエリスリトールのEU規格を改正すること。
・エリスリトールの使用に由来する消費者における鉛の摂取を低減するために鉛の最大基準値を引き下げること。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/re-evaluation-erythritol-e-968-food-additive
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