食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06180870482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、フィトヘマグルチニン中毒に関する報告を公表
資料日付 2023年11月15日
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概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは11月15日、フィトヘマグルチニン中毒に関する報告を公表した。概要は以下のとおり。
 同センターは、ニュースレター「Food Safety Focus」(第208号、2023年11月)に報告「フィトヘマグルチニン中毒」(報告者:食物安全センターリスク評価グループ)を掲載した。
 豆類は世界中において、最も多様な調理法で、最もよく食べられる栄養食品の一つである。しかし、適切に処理されていない一般的な豆(例えば、インゲン豆(サヤインゲン(green beans、French beans))及びその他の豆(例えば、赤インゲン豆、白インゲン豆)を喫食すると、天然に存在する毒素?フィトヘマグルチニンを摂取することにより食中毒を引き起こす可能性がある。本記事ではフィトヘマグルチニン中毒について簡単に紹介する。
・ 豆類の中のフィトヘマグルチニン
 レクチンは動植物に広く存在する糖結合タンパク質であり、さまざまな生物学的機能を果たしている。ただし、一部のレクチンは、レベルが高すぎると中毒を引き起こす可能性がある。毒性作用を有することが知られているレクチンの1つとしてフィトヘマグルチニンがあり、マメ科植物の種子(豆類)の中に比較的高濃度で含有される。フィトヘマグルチニンは、植物の害虫や病原体に対する防御に関与している。
 その名前が示すように、フィトヘマグルチニンは多種の哺乳類の赤血球を凝集させ、細胞の代謝を妨げる可能性がある。さらに、フィトヘマグルチニンは、体がミネラル、特にカルシウム、鉄、リン、亜鉛を吸収するのを妨げる反栄養素でもある。
 さまざまなマメ科植物にフィトヘマグルチニンが含まれているが、その量はマメ科植物によって異なる。赤インゲン豆(Phaseolus vulgaris)はレクチン含有量が最も高く、白インゲン豆(P. vulgarisの別の栽培品種)の毒素含有量は赤インゲン豆の約3分の1である。また、そら豆(Vicia faba)のフィトヘマグルチニン含有量は赤インゲン豆の5~10%に過ぎない。大豆、インゲン豆、ジュウロクササゲなど、香港で一般的に消費されている一部の豆類は、他の地域においてフィトヘマグルチニン中毒を引き起こしたことが報告されている。同一種であっても栽培品種よってフィトヘマグルチニンの含有量は大きく異なる可能性があり、食中毒を防ぐために、すべての豆を食べる前に適切に加熱調理する必要がある。
・ フィトヘマグルチニン中毒の症状
 フィトヘマグルチニン中毒の症状には、重度の腹痛、嘔吐、下痢などがある(詳細略)。
・ 毒素を減らす方法
 水分が高い状態で加熱調理すると、フィトヘマグルチニンの毒性を軽減できる。完全に調理された豆と比較すると、生のインゲン豆には数百倍も高濃度のフィトヘマグルチニンが含まれている可能性がある。十分に調理すれば、フィトヘマグルチニンを含む豆をヒトの食事用の食品として利用しても懸念はない。
 フィトヘマグルチニン毒素を分解するには、豆を水に浸して完全に茹でる必要がある(たとえば、少なくとも12時間浸した後、最低10分間沸騰した湯で調理する)。研究によると、たとえ豆を85度で1時間加熱調理したとしても、フィトヘマグルチニン毒素は依然として活性を維持していることが示されており、毒素を除去するためには、豆を低温調理(土鍋やスロークッカーを使用するなど)してはならない。一方、市販の豆の缶詰は十分な加熱処理が施されているため、さらに加熱調理することなく安全に食べることができる。
・ フィトヘマグルチニンに関する食品安全上の制限値
 国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA)などを含む食品安全規制機関は、フィトヘマグルチニン毒素に対する評価を実施しておらず、また、リスク評価に用いる健康影響に基づく指標値を定めていない。コーデックス委員会(Codex)も、関連する食品安全基準を確立していない。ただし、わずか4~5個の未調理豆の摂取でも中毒症状を引き起こす可能性があるとの報告がある。最も重要なことは、豆を水分の高い状態で加熱調理するとフィトヘマグルチニンが解毒できることである。消費者は未調理又は調理が不十分な豆類を食べてはならない。
・ 注意事項
 多くの豆類には、天然毒素のフィトヘマグルチニンが含まれている。未調理の豆類を摂取するとフィトヘマグルチニン中毒を引き起こす可能性がある。
 豆類を水分の高い状態で加熱調理するとフィトヘマグルチニンの毒性が除去される。豆類は水に浸した後に、十分に茹でる(100℃)必要がある。低温で煮ても毒素は除去できないため、豆類は(土鍋やスロークッカーなどを使用して)低温調理してはならない。
 市販の缶詰の豆は加熱調理する必要がなく、安全に食べることができる。
・ 消費者及び業界への助言(省略)
 月刊ニュースレター「Food Safety Focus」の第208号は以下のURLからダウンロード可能。同記事は1~2ページに掲載。
https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/files/FSF208_2023_11_15.pd
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) 香港食物環境衛生署食物安全センター
URL https://www.cfs.gov.hk/sc_chi/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html
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