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資料管理ID syu06160550175
タイトル スペイン科学技術最高評議会(CSIC)、植物のゲノムを改変せず遺伝子を不活性化させる技術開発を公表
資料日付 2023年10月19日
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概要(記事)  スペイン科学技術最高評議会(CSIC)は10月19日、植物のゲノムを改変せず遺伝子を不活性化させる技術開発を公表した。概要は以下のとおり。
 CSIC及びバレンシア工科大学(UPV)の共同センターである植物分子細胞生物学研究所(IBMCP-CSIC-UPV)の研究グループは、1回の噴霧のみで、植物の遺伝子を正確かつ持続的に不活性化することを可能にする技術を開発した。この噴霧液には、標的遺伝子を必要に応じてサイレンシングするように、当該研究所で設計された非常に小さなリボ核酸(RNA)分子を放出する無毒化されたウイルスが含まれている。このような植物のゲノムを改変しない遺伝子の不活性化は、市場への導入に有利となる非遺伝子導入方法である。この技術は、生産性を向上させ、ウイルスから作物を保護し、環境変化への適応能力を向上させるために使用できる可能性がある。Nucleic Acids Research誌に発表されたこれらの結果は、欧州特許の出願を動機づけるものとなった。
 IBMCPに参加するCSIC-Ramon y Cajal研究所の研究員であるAlberto Carbonell率いるチームが開発した技術は、人工マイクロRNA(amiRNA)と呼ばれる非常に小さなRNA分子によって、植物の遺伝子を正確かつ持続的に不活性化することを可能にする。amiRNAはデオキシリボ核酸(DNA )と同様に核酸であるが、サイズがはるかに小さく、非常に特異的なものとなるように、かつ標的としない遺伝子を誤って不活性化しないようにコンピューターで設計されている。
 amiRNAは、より大きな前駆体分子に由来し、その前駆体分子のサイズは、分子生物学や植物遺伝学などの分野における研究で広く使用されている草本植物であるモデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、最適化されたものである。IBMCPチームは、植物内で増殖し、標的遺伝子の不活性化に必要となるこの人工RNA分子を放出する無毒化ウイルスを含む液体を植物に噴霧している。
 「一方で、我々はamiRNAの前駆体分子の活性に影響を与えることなく、そのサイズを大幅に縮小することに成功した。また、最小の前駆体分子からamiRNAを生成する無毒化ウイルスベクターを含む植物抽出物を噴霧することで、植物の遺伝子を不活化できることも証明した」と、研究の筆頭著者であるCarbonellは説明する。
 この技術を、研究対象とした植物種、Nicotiana benthamiana(トマト同様ナス科に属し、病原体-植物相互作用に関する研究においてモデルとして広く使用される)に適用すると、amiRNAによって「非常に特異的かつ非遺伝子導入方法で」、必要に応じて植物遺伝子を不活性化することが可能であり、それは「植物ゲノムにいかなる遺伝子も組み込む必要がないためである」と、Carbonellは言う。これは、遺伝子組換え生物(GMO)が厳しく規制されている欧州連合(EU)おいては適用しやすいものとなる可能性がある。こういった関心は、CSIC及びUPVが共同所有するIBMCPによって開発された技術を保護することを目的とした欧州特許の出願への動機となった。
・作物の生産性を高め、ウイルスに対する「ワクチン接種を行う」
 この技術のもう1つの利点についてCarbonellは、「植物に無毒化ウイルスを感染させ、感染した組織においてamiRNAを生成するには、1回の噴霧で十分である。したがって、この方法は複数の処理を必要とせず、適用コストを削減する」と説明する。例えば研究者らは、実際に1回の噴霧でクロロフィル生合成経路の遺伝子を不活性化し、感染した組織の黄変を誘導した。
 Carbonellによると、この方法に基づく処理を、農学的に関心が高い作物に適用することで、「遺伝子発現の選択的不活性化が可能となり、作物の生産性向上、及び環境変化への適応能力向上に向けて使用できる可能性がある」という。
 さらに、これらの処理はウイルスなどの様々な病原体から作物を保護するために使用できる可能性がある。「この技術は、植物抽出物を使用して無毒化ウイルスを作物に感染させ、そのウイルスから病原性ウイルスを不活性化する特異的人工マイクロRNAを産生させ、その結果として植物に免疫性を付与するという、ワクチンの新世代を構成するものとなる可能性がある。」とCarbonellは結論する。
 当該研究は以下より閲覧可能。
「最小前駆体に由来する人工マイクロRNA適用した、植物における導入遺伝子を用いないウイルスベースの遺伝子サイレンシング(Transgene-free, virus-based gene silencing in plants by artificial microRNAs derived from minimal precursors)、著者Adriana E Cisneros(CSIC-Universitat Politecnica de Valencia、スペイン)ら」
Nucleic Acids Research, Volume 51, Issue 19, 27 October 2023, Pages 10719?10736
https://doi.org/10.1093/nar/gkad747
地域 欧州
国・地方 スペイン
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) スペイン科学技術最高評議会(CSIC)
URL https://www.csic.es/es/actualidad-del-csic/crean-nuevos-tratamientos-para-inactivar-genes-de-plantas-de-forma-selectiva
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