食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06140520314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、特定穀類製品中の麦角アルカロイドによる健康リスク評価を公表
資料日付 2023年9月25日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は9月25日、特定穀類製品中の麦角アルカロイドによる健康リスク評価を公表した。概要は以下のとおり。
 麦角アルカロイドは、特に雨の多い年に穀類の穂や牧草に発生する可能性がある麦角菌の成分である。麦角は、寄生真菌(Claviceps属菌)が形成する菌核(麦角)と呼ばれる黒色で固い真菌の増殖物である。黒色の菌核が穀物と一緒に粉砕されると、麦角アルカロイドが製粉製品に混入する可能性がある。しかし、麦角アルカロイドはフードチェーンの中では望ましくなく、食品への混入は可能な限り抑える必要がある。麦角アルカロイドの摂取は短期的・長期的な健康影響を引き起こす可能性があるからである。短期的(急性)な健康影響には、頭痛、手足の感覚障害、幻覚、けいれんなどがある。長期的(慢性的)影響としては、組織損傷、持続的な筋肉のけいれん、吐き気、持続的な頭痛、精神疾患を伴う中枢神経系の損傷が考えられる。
 2022年1月1日以降、欧州委員会規則(EU) 2021/1399に基づき、欧州全域で初めて、製粉度が高い或いは低い穀物粉製品、及び穀粒、小麦グルテン、乳幼児用穀物加工食品に含まれる麦角アルカロイドの最大基準値が設定されている。
 最大基準値が設定されている合計5つのカテゴリーのうち2つ(ライ麦及びライ麦粉製品並びに小麦、スペルト小麦、オーツ麦、大麦を原料とする「ライトな(製粉度が高い)」穀粉製品など)に関して、2024年7月2日に現在有効な最大基準値の引き下げが予定されている。
 本報告書において、連邦リスク評価研究所(BfR)は、現在有効な最大基準値と引き下げられて今後新たに設定される最大基準値がドイツの消費者の麦角アルカロイドによる健康への悪影響を防止するためにどの程度適しているか評価した。
 この目的のために、生後6ヵ月から6歳未満の子どもが様々な穀類含有食品を摂取することにより、短期的に麦角アルカロイドを摂取したと仮定した場合の仮想的摂取量を算出した。
 この年齢の子どもは、比較的少ない体重のわりには、穀類を最も多く消費し、そのため最も影響を受けやすい消費者グループとされる。短期摂取量の計算では、最大基準値が設定されている5つのカテゴリーに分類されているすべての摂取される食品が、それぞれ現在有効な最大基準値に相当する量を含有すると仮定した。第二段階として、BfRは、個々の穀物粉製品に含まれる麦角アルカロイドの予定されている法定最大基準値の引下げが、どの程度これらの仮想的摂取量に影響するかを算定した。さらに、食品に含まれる麦角アルカロイドに関する監視当局の入手可能な測定データから導出される摂取量も算定された。
 短期摂取量評価のために、2012年に採択された欧州食品安全機関(EFSA)の意見書で導出された1 μg/kg体重/日の急性参照容量(ARfD)が考慮された。ARfDは、明らかな健康リスクなしに一日の間に摂取できる麦角アルカロイドの推定最大量を示している。
 結果的に、BfRは以下の結論に達した。対象としたすべての年齢層の子どもにおいて、上記の通り、ライ麦製品を介した麦角アルカロイドの仮想的短期摂取に基づくと、汚染された食品が麦角アルカロイドを現在有効または議論中の最大基準量を含有している場合、健康への悪影響が生じる可能性がある。さらに1歳以上6歳未満の子どもが「ライトな」製粉を使用した製品を短期摂取した場合、また、1歳から3歳未満の子どもが小麦、スペルト小麦、大麦、オート麦を原料とする「ダークな」製粉を使用した製品と全粒粉製品を短期摂取した場合、麦角アルカロイドによる健康への望ましくない影響が現れる可能性がある。そのため、BfRは、大麦、小麦、スペルト小麦、オート麦を原料とする製粉度の高い(「ライト」)製品、及び、ライ麦粉製品に対して予定されている麦角アルカロイドの最大基準値の引下げを歓迎する。さらに、BfRは、大麦、小麦、スペルト小麦、オーツ麦を原料とする製粉度の低い製品(「ダーク粉」と「全粒粉」)に対する最大基準値の引下げが可能かどうかを検討することも推奨する。
 本報告書の補足として、BfRは、仮想摂取量の代わりに、生後6か月から6歳までの子どもに対する経験的(「実際」の)麦角アルカロイドの摂取量も示した。そのために、短期的な摂取量を推定するため、現在有効、または予定されている引下げられた最大基準値ではなく、2013年から2021年までの各州の公式モニタリング研究所で測定された麦角アルカロイドの含有量データを用いた。短期的摂取の評価には、再びARfDを、麦角アルカロイドの長期摂取による健康影響の可能性については耐容一日摂取量(TDI)を用いた。TDIは、EFSAが2012年の意見書で同様に導出したものである。TDIは、明らかな健康上のリスクを生じることなく、生涯に渡り毎日摂取できる物質の量を示す。
 結果的に、BfRは以下の結論に達した。対象としたすべての年齢層の子どもにおいて、上記のようにライ麦製品を介した麦角アルカロイドの経験的短期摂取に基づくと、健康への悪影響が生じる可能性がある。BfRは、入手可能な麦角アルカロイド含有量データに基づき、ライ麦製品の摂取による麦角アルカロイドの長期摂取から健康影響が発生する確率について低いと格付けした。他の4つの製品群に関しては、オーツ麦、穀物加工食品、小麦グルテンに含まれる麦角アルカロイドの含有量データが不十分であるため、それぞれの製品の摂取により、子どもに短期及び/または長期の健康影響が現れる可能性があるかどうか、BfRは現在決定的な結論を下すことは出来ない。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/cm/343/bewertung-gesundheitlicher-risiken-durch-ergotalkaloide-in-ausgewaehlten-getreideprodukten.pdf
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