食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06140370307
タイトル スペイン食品安全栄養庁(AESAN)、科学委員会ジャーナル37号において「消費者向けにばら売りされる際に損傷のリスクがある青果物に関する報告書」を公表
資料日付 2023年9月12日
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概要(記事)  スペイン食品安全栄養庁(AESAN)は9月12日、科学委員会ジャーナル37号において「消費者向けにばら売りされる際に損傷のリスクがある青果物に関する報告書」を発表した。概要は以下のとおり。
・概要(抜粋)
 近年スペインの法律は、廃棄物の発生及び管理による悪影響を可能な限り軽減するために、循環型経済の導入を推進している。
 そして容器及び容器廃棄物に関する12月27日付の勅令1055/2022では、廃棄物の防止、食品のばら売り促進、再利用可能な容器の増加、及び製品容器のリサイクルと表示に関する対策を定めている。特に第7条4項においては、食品小売業者が丸ごとの状態の生鮮青果物をばら売りで陳列するにあたっては、必要な対策を講じなければならないと示されている。この義務は、1.5 kg以上のロットで容器詰めされた青果物、保護品種や登録品種として容器詰めされた青果物、差別化された品質や有機栽培の表示が付された青果物、及びばら売りされると損傷・目減りの危険性がある青果物には適用されない。
 消費者向けにばら売りされる際に、特にどの青果物に高い損傷(deterioro)の危険性があるか、及びその損傷によって生じる可能性のある食品安全上のリスクを明らかにするよう、科学委員会は報告書の提出を要請した。
 報告書では、ばら売りされる青果物及びキノコ類製品の損傷・目減りの主な原因として、機械的損傷、水分損失、及び微生物汚染を特定している。
 食品の安全性という点で、ばら売りされる青果物及びキノコ類製品では、機械的損傷、及び保存可能期間中に増殖する可能性のある病原細菌及びウイルスによる交差汚染の大きなリスクが予想される。こうした汚染は、皮をむかずに生で摂取される青果物において、大きな影響がある可能性がある。
 より熟度が高いほど、機械的損傷、ひいては微生物による損傷の影響を受けやすくなるが、すべての青果物、特に果物に対して、一律に適用するためのリスクのある熟度を客観化することは困難である。
 ばら売りされる青果物の外部の洗浄、調整、及び切除は、水分の損失を増加させ、微生物汚染の可能性を高める可能性があるため、これらの作業の削減または制限が推奨される。
 機械的損傷、水分損失、及び腐敗微生物または病原微生物による損傷のリスクに基づき、ばら売りした場合に損傷・目減りするリスクがある可能性のある、より一般的に消費されている果物、野菜、根菜、キノコ類の非網羅的なリストを提案しているが、現在あまり一般的ではない青果物が、後の段階でリストに含まれる可能性はある。ばら売りにおいて、重大なリスクがもたらされる根菜はないと結論している。(以下、略)
1. イントロダクション(省略)
2. 用語:果物、野菜、根菜及びキノコ類(省略)
3. 果物、野菜、根菜及びキノコ類の損傷の原因(省略)
4. 果物、野菜、根菜及びキノコ類の品質パラメータ(省略)
5. 熟度と事前の取り扱いの影響(省略)
6. 果物、野菜、根菜及びキノコ類の包装の目的(省略)
7. ばら売りの青果物における食品安全
 売場における容器詰めされていない青果物の露出及び取り扱いは、食品由来病原体による汚染リスクを増大させる。前段階において機械的損傷を受けた青果物の場合、製品の保存可能期間中に病原性細菌が増殖する可能性が高まり、このような汚染の高いリスクとなる可能性がある。ばら売りを行う中での汚染及び微生物の増殖に特化した研究はないが、潜在的消費者による取り扱いという悪条件もあり、ばら売り時の状況は、その他の状況の常温での保管期間と同等であると予想できる。つまり、青果物の表面に存在する微生物は、傷や損傷部位から侵入し、生産される加水分解酵素は植物組織の細胞死及び浸軟を引き起こす(Abbot及びBoraston (2008))。露出面積が増大し、水分が放出されることで、親水性の微小環境が形成され、微生物が付着しやすくなり、貯蔵中も微生物が生存しやすくなる。例えば、過去の研究では、サルモネラ属菌及び病原性大腸菌株は、無傷の組織においてみられた菌量よりも、10倍多い菌量に達したことが示されており(Aruscavageら(2008))(Brandl(2008))、無傷の組織の表面の疎水性は、除菌処理による微生物の除去を容易にする。疎水性は、組織表面における微生物の分布も変化させる(Marikら(2020))。
 リステリア菌(Listeria monocytogenes)の場合、保管条件下での増殖は、温度及び相対湿度の上昇、並びに製品に存在する微生物叢の密度の低下によって促進される可能性がある。例えばAytac及びGorris(1994)は、リステリア菌の挙動が、マメ科植物の芽においては異なることを観察しており、これは内在する細菌叢の密度が低い検体において、当該病原体がより多く増殖したことによる。一方、保管時の温度及び相対湿度は同細菌の増殖に影響する。これについて、Marikら(2020)は、20℃以上の温度で保存すると、様々な種類の植物性食品において同細菌の菌量が指数関数的に増加することを示した。表面構造及び栄養素の利用可能性に関連するその他の要素については、Flessaら(2005)が研究を行い、表面湿度が高い検体との比較では、無傷の検体において、リステリア菌は増殖しなかったことが示された。
 摂取の段階では、加熱調理されたものや皮をむいたものでは病原体汚染が最小限に抑えられるが、単に洗うのみ、あるいは洗わずに摂取される場合、病原体汚染が持続する可能性があることに留意すべきである。
8. ばら売り時に損傷・目減りするリスクのある果物、野菜、根菜又はキノコ類(省略)
 当該報告書(PDF版、全188ページ、当該報告は89ページ以降)は以下のURLから閲覧可能
https://www.aesan.gob.es/AECOSAN/docs/documentos/publicaciones/revistas_comite_cientifico/comite_cientifico_37.pdf
地域 欧州
国・地方 スペイン
情報源(公的機関) スペイン食品安全栄養庁(AESAN)
情報源(報道) スペイン食品安全栄養庁(AESAN)
URL https://www.aesan.gob.es/AECOSAN/web/noticias_y_actualizaciones/noticias/2023/comite_cientifico_37.htm
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