食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06130591160
タイトル 英国食品基準庁(FSA)、精密育種製品の検出に向けた分析方法に関する文献レビューの報告書を公表 (後半2/2)
資料日付 2023年9月14日
分類1 -
分類2 -
概要(記事) (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06130590160)

 以下の5つの主要課題に対する推奨事項を特定した。第1に、認可申請されたPBOは、遺伝的変化の程度、種類、数についてケース・バイ・ケースで評価されるべきであり、その特定のPBOを明確に同定する分子生物学的方法が開発される可能性について、情報を得た上での決定を行うことである。第2の提言は、可能であれば英国及び欧州連合(EU)政府部門からの情報を得て、専門家によるレビューを実施することであり、それらの認可プロセスの対象となるPBOを監視し、遺伝的多様性及び突然変異の程度を積極的に評価し、開発する必要のある検出方法の種類及び複雑さについて、情報を得た上での決定を行うことである。そのような決定は、認可プロセスの一環として更に情報の提供を受ける可能性があり、公的に利用可能な登録またはデータベースを介して増補される可能性がある。
 第3に、PBOの検出方法の設計及び開発にエビデンスの重み付け(weight of evidence)アプローチを用いる可能性を評価するために、研究室ベースのエビデンスと連携させ、更に専門的な調査及び開発が必要である。このコンセプトでは、対象となる単一の突然変異とは別に、固有のシグネチャーまたはフットプリントを提示する可能性を高める他の指標を用いることを中心に据える。この他の指標としては、遺伝的背景、隣接領域、オフターゲット変異、潜在的なCRISPR/Cas活性、遺伝性のエピジェネティック変化及びエピトランスクリプトーム変化の可能性、さらに供給者、起源、血統、その他に関する文書からの補足資料を考慮することが挙げられる。
 第4に、遺伝的変化を発生させ得る手法を区別するために、その遺伝的変化の程度、種類、性質を評価することや、その遺伝的変化と関連する閾値/限界を適用する可能性を評価する追加的作業が推奨される。このような確率論的アプローチは、バイオインフォマティクスによって裏付けられ、ゲノム編集または従来のプロセスを通じて発生する特有の変化であるか否か可能性を判定し、特定の突然変異を含む製品及び生物の迅速な分類及び実用的なラベリングをさらに容易に促進する可能性がある。
 最後に、ゲノム編集された製品の検出に関するいくつかの科学文献は、理論的原理に基づいている。研究室環境における、エビデンスに基づく実践的な実験作業を用いて、これらを更に認定することが推奨される。
 また、潜在的な検出方法の設計、開発、実施に関する追加的な課題及び推奨事項も特定した。qPCR、dPCR、NGS等の現代の分子生物学に基づく技術は、適切なバイオインフォマティクス・パイプラインを組み合わせることにより、PBOの検出方法を開発する上で最良の分析的ポテンシャルを提供し続けている。dPCR及びNGSは最良の技術的ポテンシャルを提供する可能性があるが、qPCRはほとんどの分析機関に組み込まれているため、依然として最も実用可能な選択肢である。
 従来のトランスジェニックGMO向けのものと類似した伝統的なスクリーニング・アプローチは、宿主ゲノムに組み込まれた共通の制御要素が欠損しているため、PBOには容易に用いることができない。しかし、トリアージシステムの一環として、対象となる配列に関する事前情報が既知であれば、限定的なスクリーニングがPBOに対して適切である可能性がある。
 現在、PBOを検出・同定する適切な方法がなく、PBOの正確な定量ができない。PBOのトレーサビリティを支える適切な標準物質の開発は、特に分離する可能性のあるオンターゲット及びオフターゲット変異を保有するPBOに対しては、依然として課題である。オフターゲット変異は、検出方法を補強する追加的なツールを提供する可能性があるが、これらが対象となる配列に対して完全に遺伝的連鎖を示さなければ、次世代で分離する可能性もある。適切なPBO標準物質の開発に資するため、PBOにおいて複数の突然変異が分離する可能性に関して更なる研究を行うべきであり、またPBOトレーサビリティの追加的ツールとしてオフターゲット変異を使用する可能性に関しても同様である。
 本報告書では、パンゲノム・データベースの開発及び維持の技術的課題を認識しつつも、英国がこのようなリソースの開発を、英国を中心とするバージョンとして、あるいは、理想的には調和及び責任の共有をより良く達成するために、対応するEU及び国際的な活動に関与することを通じて検討し続けることを提言する。このようなデータベースは、変異がゲノム編集の結果であることを確認するためだけでなく、信頼性の高い検出方法の設計において貴重なリソースになると考えられる。
 PBO及びその製品は農業食品セクターにおいて大きな可能性を示しており、英国の法律、ビジネス、消費者を支援する科学的に基づいた分析枠組みが必要である。ゲノム編集によって作出されたPBOを、従来のプロセスによって同じ変異を示す生物と区別することは、依然として分析的に困難であるが、広範な診断技術(qPCR、NGS、dPCRなど)とパンゲノム・データベース及びバイオインフォマティクス・アプローチを組み合わせることは、この分析ギャップを埋めることに貢献し、英国のフード・チェーンに関連する安全性、透明性、相応性、トレーサビリティ及び消費者の信頼を下支えできる可能性がある。
 FSAによる当該報告書への対応は以下のURLから閲覧可能。
https://www.food.gov.uk/our-work/fsa-response-to-literature-review-on-analytical-methods-for-the-detection-of-precision-bred-products
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国食品基準庁(FSA)
情報源(報道) 英国食品基準庁(FSA)
URL https://www.food.gov.uk/research/novel-and-non-traditional-foods-additives-and-processes/literature-review-on-analytical-methods-for-the-detection-of-precision-bred-products#executive-summary
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