食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06120770301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:2022年11月に米国イリノイ州で発生した食品施設に関連するノロウイルス集団感染」
資料日付 2023年8月18日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  MMWR(2023, 72(33):897-898、doi: 10.15585/mmwr.mm7233a4)に掲載された論文「現場からの手記:2022年11月に米国イリノイ州で発生した食品施設に関連するノロウイルス集団感染(Notes from the Field: Outbreak of Norovirus Linked to a Food Establishment - Illinois, November 2022)、著者MN Hanley (Tazewell County Health Department, 米国)ら」の概要は以下のとおり。
 2022年11月26日、イリノイ州Tazewell郡保健局(TCHD)はイリノイ州公衆衛生局(IDPH)に対し、同州の飲食店Aに関連した大規模な急性胃腸炎の集団発生について連絡した。TCHDはIDPHの協力のもと、後述の症例対照研究を含む、集団感染調査を実施した。
・調査と結果
 推定症例(probable case)は、11月19日から26日の間に飲食店Aで食事をし、下痢(24時間以内に3回以上の緩い便)又は嘔吐を発症した者と定義され、推定例のうちIDPHの検査室に提出された便検体からノロウイルスのRNAが検出された者を確定症例とした。当該集団感染の通知及び11月19日から26日までに飲食店Aで食事をした人からの情報提供の要請は、TCHDと飲食店Aによって一般に周知された。2022年11月28日にメディアでも当該集団感染に関する情報が共有され、飲食店Aで食事をしたすべての人に対しTCHDに報告するよう呼びかけが行われた。このメディアによるニュース記事公開後、報告患者数は倍増した。
 疫学的関連性と共通の食品ばく露を特定するため、最初に全体として、317人の症例-患者(ノロウイルス感染が確認された3人及び感染したと推定された314人)及び40人の対照者(11月19日から26日の間に飲食店Aで食事をしたが発症しなかった人)にオンラインフォームを通した聞き取り調査が実施された。発症日、ピザのトッピング、サラダのドレッシング、摂取した調味料を確認するために二次的な電話による聴取が行われたが、268人の患者と40人の対照者のみが参加し、49人の患者はフォローアップ不能となった。
 当該集団感染はTazewell郡で発生したが、患者はイリノイ州の他の10郡及び他の12州にも居住していた。飲食店利用客の家庭内で報告された二次症例も複数あったが、317人の症例-患者の合計には含まれていない。飲食店の利用客は、オンライン質問票とフォローアップの聞き取り調査を通じて、疾患の情報と摂取したメニューを通知した。11月20日から28日までに症状が現れた、発症日の情報のある268人のうち、114人(43%)が11月24日に発症した。平均潜伏期間(飲食店Aでの食事から発症までの期間)は22時間(範囲:3?45時間)、平均発症期間は37時間(範囲:3?96時間)であった。症例のほぼ3分の1(32%)は20?49歳(範囲:6か月?83歳)であった。317人の症例-患者がオンライン質問票を通じて報告した症状は、嘔吐(84%)、吐き気(80%)、下痢(68%)、筋肉痛(40%)、悪寒(38%)、腹部けいれん(26%)、及び発熱(19%)などであった。7人が救急科で診察を受け、5人が外来医療機関を受診し、入院や死亡した者はいなかった。
・暫定的結論と行動
 質問票から得られたデータによると、原因と疑われる食品はサラダであり(オッズ比:9.23、95%信頼区間(CI):4.48~18.99)、268人の患者のうちの227人、対照群の40人のうち15人がサラダを喫食した。27人の患者はサラダを喫食しなかったが、ソースやドレッシングを喫食していた。環境調査及び疫学的調査から、サラダ、トッピング、ドレッシングを翌日に使用するために冷蔵保存する小分け作業など、食品の調理工程全体にわたって汚染が発生したことが示された。11月22日に嘔吐し、11月21日から23日まで従事していた食品取扱者が手袋をせず調理を行ったことが、当該集団感染の主な原因となった可能性が高い。同飲食店は消毒のため11月26日に自主的に閉店し、衛生検査後、11月29日に再開した。TCHDは食品取扱者に対し、手指衛生、下痢や嘔吐で体調が悪いときの自宅待機、洗浄手順などについて教育を行った。
 ノロウイルスは、感染した食品従業者による調理の際に起こった、飲食店の食品の汚染に関連したと報告された集団食中毒の主要な原因となっている。サラダが主な原因食品となった飲食店に関連した大規模な当該ノロウイルス集団感染は、罹患した食品取扱者が調理中にそのサラダに手袋をせずに触れた後に発生した可能性が高い。サンクスギビング(感謝祭)の休暇中に多数の人が当該飲食店を利用したため、罹患者及び健康な客の正確な数を特定することが難しく、症例数は過少に報告されている可能性が高い。
 米国食品医薬品庁(FDA)の2022年のフードコード(Food Code)では、米国における食中毒の主要な原因としてノロウイルスが挙げられており、適切な手指衛生と症状のある従業員の排除が集団感染を防ぐために不可欠であるとしている。食品提供施設における今後のノロウイルス集団感染の予防又は軽減には、適切な手洗いの必要性を強調し、徹底した施設環境の洗浄を実施し、適切な個人用保護具を使用し、従業員が嘔吐や下痢で体調を崩している時及び症状の消失後少なくとも48時間は、その従業者を職場から遠ざけることが重要である。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR(2023, 72(33):897-898)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7233a4.htm
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