食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06120590160
タイトル 英国食品基準庁(FSA)、食品包装及び製造における使い捨てプラスチックの代替品に関する調査結果を公表
資料日付 2023年8月31日
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分類2 -
概要(記事)  英国食品基準庁(FSA)は8月31日、食品包装及び製造における使い捨てプラスチックの代替品に関する調査結果を公表した。概要は以下のとおり。
 RSM UK Consulting LLP(訳注:LLPは有限責任事業組合)は、Samuel Short博士(ケンブリッジ大学)及びバーミンガム大学図書館サービスと共同で、FSAの委託を受け、食品包装及び製造における使い捨てプラスチックの代替品の迅速なエビデンス評価を実施した。本調査はフードシステムにおける使い捨てプラスチックの代替品の使用に関連するリスク及び機会に対する基本的理解を確立し、使い捨てプラスチックの主な代替品を特定し、この領域における今後の開発の可能性を理解することを目的としている。
・「方法論」
 この迅速なエビデンス評価の実施にあたっては、2つのデータベース(SCOPUS及びWeb of Science)における関連した学術文献の検索、及び関連する国内外の政府機関及び非政府機関における灰色文献の検索を行った。その結果は、調査との関連性及び全体的な質の観点からスクリーニングされ、エビデンスギャップについては更に的を絞った検索を用い、追加のarticlesで補足された。また、我々の学術顧問、FSAの代表者、学術・産業・政策のバックグラウンドをもつ専門家など、我々の専門家パネルとの共同ワークショップを2回実施した。結論、エビデンスギャップ、今後検討すべき領域は、調査テーマにおいては一貫して様々なデータ分析による信ぴょう性の向上が図られた(triangulated)
・「結果」
 レビューから得られた結果が抽出され、各調査課題に対してマッピングされた。エビデンスギャップが特定され、代替品の開発及び使用の軌跡、並びに英国の食品規制に適応させる潜在的必要性に関する利用可能な文献が不足していることがわかった。FSAの役割に関するエビデンスは、主にワークショップ及び専門家パネルとの協議から得られたものである。次は、各調査課題に対する主な結果の要約である。
*調査課題1:食品製造及び包装において出現している使い捨てプラスチック代替品にはどのようなものがあり、それらがもたらすリスク及び機会にはどのようなものがあるか。
(主な結果) 代替品には大きく分けて2つのグループ分けが行われた。材料/製品代替品(従来の材料、天然繊維、バイオマスから合成されたバイオポリマー、生物由来モノマーから合成されたバイオポリマー、微生物によって産生されたバイオポリマー)、及びシステム/プロセスの代替品(食品包装材料の削減、再利用、リサイクル、及び機能的で合理的な包装)。
*調査課題2:それら代替品は既にどの程度使用されているか。
(主な結果) 現在の代替品の使用規模に関する市場情報は限られており、一貫性がない。各代替品の使用規模を包括的に評価できるエビデンスが不足している。利用の規模を示すために、5つのケーススタディを展開した。
・ロンドンマラソン(海藻)
・ケンブリッジ大学図書館サービス(従来の代替品、バイオポリマー、ポリ乳酸(PLA))
・Wagamama UK(訳注:英国内外で展開される日本風レストランチェーン)(リサイクル素材、ボール紙、結晶性ポリエチレンテレフタレート)
・McDonald’s Europe(従来の代替品、繊維、食用包装材料)
・Loop/ Tesco 実証試験(※訳注)(ガラス及びアルミなど従来の代替品から作られた再利用可能な包装材料)
それぞれのケースにおいて、代替品は多くの利点をもたらした。しかし、代替品を導入する際、企業は一般的に多くのトレードオフに遭遇した。例えば、McDonald’sの製品の多くはテイクアウトで消費されるため、リサイクル可能な包装材料が最大の利益をもたらすためには、消費者及び適切なインフラに依存することになる。
*調査課題3:イノベーション、利用、普及、業界における定着という観点において、代替品は今後10年間でどのような軌跡をたどり、規制アプローチ及び政策イニシアチブなどの関連する成功要因及び障壁にはどのようなものがあるか。
(主な結果) バイオプラスチックの世界生産能力は、2019年の210万トンから2027年には630万トンに増加すると予想される。これは主に、PLAとポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の生産増加によってもたらされる。
 英国及び欧州において現行及び今後施行される法律は、3R(削減、再利用、リサイクル)及び循環型経済への継続的な注力を促すであろう。
 代替品の成長を支える成功要因には、環境問題に対する消費者の意識の高まり、及び既存の規制・法律などがある。障壁としては、確立された業界体制、消費者の慣行、認識、バイオプラスチックの高い製造コスト、利用可能な廃棄物管理ガイダンスの欠如などがある。
*調査課題4:代替品に関して、英国の食品規制には何らかの変更が必要か、もし必要であれば、法制、ガバナンス、研修、施行の各レベルでどのような変更の可能性があるか。
(主な結果) 使い捨てプラスチックの代替品となる新素材への現行法の適用は不明確である。包装材料の適切な取り扱い・廃棄、表示基準、及び新素材の安全性を示す方法に関するガイダンスといった要素に関して明確にする必要がある。
 全体として、石油由来プラスチックは、現在開発・試験されている代替品と比べ非常に安価で汎用性が高い素材である。代替品が最適化され、実際に世界の産業において利用される商業製品にスケールアップされるまでは、当面、特定の利用において、従来型のプラスチックはおそらく業界で好まれる選択肢であり続けるであろう。そのため、より持続可能な解決策への移行を推進するにあたっては、慎重を期す必要がある。
 本調査においてレビューが行われたエビデンスは、使い捨てプラスチックの問題に対する唯一の解決策はありそうもなく、全ての代替品には考慮しなければならない大きな限界があることを示唆している。食品の種類及び状況に応じた様々な素材及びシステムが解決策となるであろう。例えば、乾物にはゼロ包装が最も持続可能な解決策である可能性があり、生鮮食品には食用フィルムが、テイクアウト業界においてはPLAなどのバイオポリマーが、使い捨てプラスチックにとって代わる可能性がある。
(※訳注) Loopは世界20カ国以上でリサイクル事業を手掛ける米国のベンチャー企業テラサイクルが2019年に開始した再利用プラットフォームで、英国スーパーマーケットTescoは9か月間、10店舗において88種類のLoopの再利用可能容器の採用及び顧客の容器返却後にアプリ返金を行う実証試験を実施し、2022年に報告書を発表している。
https://www.tescoplc.com/media/759266/tesco-reuse-report.pdf
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国食品基準庁(FSA)
情報源(報道) 英国食品基準庁(FSA)
URL https://www.food.gov.uk/research/alternatives-to-single-use-plastics-executive-summary
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
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