食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06120110160
タイトル 英国食品基準庁(FSA)、食用動物生産における殺生物剤及び特定の重金属の使用に起因する薬剤耐性リスクに関するクリティカルレビューの報告書を公表
資料日付 2023年8月21日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国食品基準庁(FSA)は8月21日、食用動物生産における殺生物剤及び特定の重金属の使用に起因する薬剤耐性リスクに関するクリティカルレビューの報告書を公表した。概要は以下のとおり。
 殺生物剤は、細菌やその他の微生物を増殖しないよう制御したり、死滅させる化学活性分子(製剤)である。殺菌剤や消毒剤は殺生物剤の一種である。殺生物剤は、建物及び設備の洗浄・消毒、魚の養殖における池及び設備の汚染除去など、動物生産におけるさまざまな理由で使用されている。食用動物生産における銅及び亜鉛などの重金属の主な用途は、動物飼料における栄養添加物であるが、家畜のフットバス及び皮膚炎などの皮膚疾患の治療にも使用されることがある。動物の飼育において使用される殺生物剤及び重金属の中には、環境中に残留・濃縮し、長期間安定した状態を保つものもある。細菌がこれらの化学物質及び金属元素に対して耐性を示し、これらの表現型をコードする遺伝子が、AMRをコードする遺伝子を1つ以上含む可能性のある可動因子上に位置し、それによってAMRが共選択(co-selecting)されることが懸念されている。
 本研究は、食用動物の生産過程における衛生用途での広範な殺生物剤の使用、重金属の動物飼料への使用、及びその他の使用(治療及び感染症治療等)の単一的あるいは複合的な影響が、フードチェーンにおけるAMRの発生及び拡散につながるかどうか、またどの程度の影響を及ぼすかを評価するために、利用可能な科学文献のクリティカルレビューを行ったものである。このような使用が、治療を受けた動物に由来する食品の摂取を通じて(例えば飼料への重金属の使用から)直接的に、あるいは(例えば汚染された土壌や地下水への作物のばく露から)間接的に、消費者のAMR細菌への食事性ばく露を拡大させる可能性があるかどうかについても議論している。
 本レビューでの課題は次のように定められた。
「食用動物生産において使用される殺生物剤及び/あるいは重金属はフードチェーンにおけるAMRの発生に影響を与えるか?」
(中略)
 本レビューは、以下の主要な問い(付託事項)に取り組むことを目的として構成された。
1. 文献において、食用動物生産において使用される殺生物剤及び/あるいは重金属はフードチェーンにおけるAMRの発生に影響を与えるということを示すエビデンスはあるか?
2. (食用動物生産において使用される)殺生物剤及び/あるいは重金属は動物生産環境においてどのくらいの期間残留することができ、それはAMRの発生及び関連するリスクにどのように影響を与えるか?
3. 殺生物剤及び/あるいは重金属に関連したAMRが、動物由来製品あるいは作物汚染の結果として、フードチェーンに入り込むという文献からのエビデンスにはどのようなものがあるか?
4. 食用動物生産における殺生物剤及び/あるいは重金属の使用によって獲得されるAMRによる消費者への潜在的リスクはあるか?
 発表済みのエビデンスのレビューを行った結果、これら4つの主要な問いに関する我々の結論は以下のとおりである。
1.食用動物生産において使用される殺生物剤及び重金属の両方がAMRの発生に影響を及ぼし、薬剤に対する感受性を低下させる、あるいは臨床的に重要な耐性をもたらす可能性があるというエビデンスがいくつかあることがわかった。重金属の使用に関しては殺生物剤の使用に関してよりも、一層説得力のあるエビデンスがある。
2. 重金属が動物生産環境において長年にわたって残留、蓄積し、AMRの発生に影響を及ぼす可能性があるという説得力のあるエビデンスがあることがわかった。殺生物剤の残留性及び影響に関するエビデンスは少ない。多くの殺生物剤が環境中で速やかに分解される一方で、第四級アンモニウム化合物(QAC)のように残留するものもあるというエビデンスがいくつかある。しかし、そのような殺生物剤が動物生産環境中にどれくらいの期間、どれくらいの濃度で残留し、AMRにどのような影響を及ぼすかについてのデータはほとんどない。
3. 殺生物剤及び/または重金属に関連したAMRが、動物由来の製品を通じて、あるいは食用動物生産における使用による作物汚染の結果として、フードチェーンに入り込むという明確なエビデンスは見つかっていない。既に発表済みの、殺生物剤及び/または重金属の使用と、生きた動物、堆肥、スラリー、土壌における AMR 増加/感受性低下のリスクとの関連を示した研究では、それ以上、殺生物剤及び/または重金属の使用が食品中の AMR リスクにどのような影響を及ぼすかについては調べられていない。しかしながら、小売食肉において殺生物剤及び重金属への耐性遺伝子及び薬剤耐性遺伝子(ARG)が共存するエビデンスはある。
4. 食品中のAMRはリスクであり、食用動物生産がAMRリスクに影響を及ぼすというエビデンスがあることがわかった。しかし、理論上のリスクは確かに存在するが、食用動物生産における殺生物剤および/または重金属の使用が、消費者のAMR獲得リスクを増加させることを具体的に示す、あるいは実際にそのリスクを定量化した、発表済みのエビデンスは見つからなかった。現在のところ、そのようなリスク評価を実施するにあたり、十分なエビデンスはないようである。
(以下、略)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国食品基準庁(FSA)
情報源(報道) 英国食品基準庁(FSA)
URL https://www.food.gov.uk/research/critical-review-of-amr-risks-arising-as-a-consequence-of-using-biocides-and-certain-heavy-metals-in-food-animal-production-6
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