食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06110600301
タイトル 論文紹介:「2023年6月にポーランドの飼いネコで発生した鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染と可能性のある伝播経路」
資料日付 2023年8月3日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  Eurosurveillance(2023, 28(31):pii=2300390、doi: 10.2807/1560-7917.ES.2023.28.31.2300390)に掲載された論文「2023年6月にポーランドの飼いネコで発生した鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染と可能性のある伝播経路(Emergence and potential transmission route of avian influenza A (H5N1) virus in domestic cats in Poland, June 2023)、著者L Rabalski(Intercollegiate Faculty of Biotechnology of University of Gdansk and Medical University of Gdansk, ポーランド), M Grzybek(Institute of Maritime and Tropical Medicine, Medical University of Gdansk, ポーランド), K Pyrc(Malopolska Centre of Biotechnology, Jagiellonian University, ポーランド)ら」の概要は以下のとおり。
 2023年6月、ポーランドでネコにおける致死的な疾病の集団発生が生じた。ポーランドで検査された症例の多く(47匹中29匹)が高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)A(H5N1)ウイルスに陽性であった。遺伝学的解析の結果、同ウイルスはクレード2.3.4.4bに属し、初期の哺乳類宿主への適応を示す点突然変異を有することが明らかとなった。ネコ由来のウイルス(n=21)の塩基配列は非常に類似しており、1つの潜在的な共通の感染源を示唆している。可能性のある感染経路を調査するため、著者らのグループは罹患した家庭に由来する餌の検体を検査した。家きん肉検体の1つでHPAI H5N1ウイルスが検出された。
(以下、考察から抜粋)
 2023年6月にポーランドで発生したネコにおける致死的な疾病の集団発生に関連して行われた、同国の罹患ネコからのHPAI H5N1ウイルスの検出及び遺伝学的解析について報告する。ネコの飼い主が作成した非公式データベースに基づけば、この集団感染との関連が疑われるネコの症例の分布は全国的なものと見られる。ネコに感染したウイルスは、哺乳類への適応マーカーと考えられているPB2の2つの変異(E627K及びK526R)を有するクレード2.3.4.4bに属するウイルスであり、系統学的解析から、単一系統に由来することが示唆された。入手可能なデータに基づけば、ネコ由来のウイルスの塩基配列は、1羽のコウノトリ由来のHPAI H5N1ウイルスの配列と密接に関連すると見られ、同ウイルスもクレード2.3.4.4bに属する。しかしながら、このウイルスの塩基配列はK526R変異しか有さなかった。
 HPAI H5N1感染に合致する症状を呈したネコの飼い主に連絡を取り、これらのネコが症状の現れる前に摂取したと伝えられた餌に由来する複数の検体を入手し、検査した。E627K及びK526Rの変異を有するネコのウイルスと高い類似性を持つウイルスが、罹患したネコと同じ家庭の鶏肉から検出され、確定的ではないものの、感染経路の可能性が示唆されている。鶏肉の肉汁から分離されたHPAI H5N1ウイルスは、イヌ及びネコ由来細胞に感染する能力を示し、ヒトの気道上皮培養細胞には効率よく感染し損傷を与えた。
 本研究には複数の限界(limitation)がある。ウイルスはネコの飼い主の1人の所有する冷蔵庫に由来する鶏肉検体の1つから検出されたもので、その出どころを確認することはできず、食肉処理後、輸送中、又は家庭内で汚染された可能性を考慮することは必要不可欠である。調査された食肉検体は、ネコの重篤な疾病が報告された家庭から入手したものである。しかし、これらの症例はHPAI H5N1ウイルスに感染していると明確に断定されたものではなく、また分析された食肉検体は、必ずしもこれらのネコが摂取した唯一の種類の食肉ではないことにも留意することが重要である。本報告で言及した公開データベースは、ネコの飼い主によるコミュニティ主導のものであり、いかなる形のキュレーションも行われていない。したがって、データを解釈する際には注意が必要である。しかしながら、感染発生の初期段階においては、このような取り組みは重要な情報を迅速に提供し、価値あるリソースとなりうる。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) Eurosurveillance(2023, 28(31):pii=2300390)
URL https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2023.28.31.2300390
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。