食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06100380535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、二酸化チタンのレビュー: 追加エンドポイントに関するディスカッションペーパー(TOX/2023/32)を公表
資料日付 2023年7月7日
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分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は7月7日、二酸化チタンのレビュー: 追加エンドポイントに関するディスカッションペーパー(TOX/2023/32)を公表した。概要は以下のとおり(一部抜粋)。
 欧州食品安全機関(EFSA)は2021年意見書において、二酸化チタン(E171)による免疫毒性及び炎症、並びに二酸化チタンナノ粒子による神経毒性に関するいくつかの所見は、有害な影響を示唆するものである可能性があると考えた。また、E171による異常陰窩巣の誘導が示唆され、二酸化チタンナノ粒子の潜在的な発がん性を調査するために適切に設計され実施された研究はないと考えた。全体として、現在入手可能なエビデンスと全ての不確実性、特に遺伝毒性に関する懸念が解決されないという事実に基づき、EFSAは、E171を食品添加物として使用する場合、もはや安全であるとは考えられないと結論した。
 EFSA意見書の発表後、英国のCOTと変異原性委員会(COM)はEFSAの調査結果を検討し、2022年、中間ポジションペーパーを発表した。全体として、同じデータセットに基づくEFSAの2016年意見書よりも、2021年意見書の方が吸収(absorption)の割合が高いと報告されていることが観察された。さらにCOTは、二酸化チタンが異常陰窩巣を誘発する能力に関する結論にも疑問を呈した。さらに、神経毒性に関する研究結果は、COTにより一貫性がないとみなされた。拡大一世代生殖毒性試験(EOGRT)では影響が報告されておらず、このエンドポイントに関するその他の試験のほとんどがナノマテリアルに関するものであることが指摘された。COTは、EOGRT試験の被験物質がナノ形態で分散又は安定化されていれば、何らかの影響が観察された可能性があると考えた。COTは、このような分散が実世界での使用と関連することに疑問を呈した。メンバーは、EOGRT試験で実施された病理組織学的検査は標準的なものであり、特定の神経病理組織学的検査を実施したこのエンドポイントに関するその他の試験と比較すると、感度が十分でないと指摘した。
 遺伝毒性に関して、COT は COM の見解に同意し、さらに、基礎となるデータセットと EFSA が導き出した結論との間に大きな不一致があることを指摘した。さらに、2020年の消費者安全科学委員会(SCCS)の意見書では、二酸化チタンの遺伝毒性は閾値又は二次的なメカニズムで発現すると判断されたが、2021年のEFSAの食品添加物及び香料(FAF)パネルの評価では、閾値作用機序を想定できるかどうかは不明であると結論していることとの間の矛盾を強調した。ナノ粒子の遺伝毒性について、COTは、これは酸化的損傷につながる濃度効果か、ストレス効果のいずれかであると考えたが、異なる細胞株での結果が曖昧で一貫性がないため、不明確であった。また、いくつかの試験では二酸化チタンの反応性が低いことも指摘された。
 委員会は、バランスの観点から、エビデンスの重みがEFSAの出した結論を支持しないと考えた。COTはまた、リスクコミュニケーションに関するCOMのコメント、「現状では、入手可能な弱いエビデンスに基づく結論は非常にリスクが高く、公衆に不必要な懸念を与える可能性がある」に同意した。COTは、COMが独自に遺伝毒性に関するデータベースをレビューし、閾値の決定に関するガイダンスを適用すべきであると提案した。二酸化チタンのサイズ/形態と毒性の異なる側面に関して区別することはできないというEFSAの結論に同意するかどうかを検討する際、COTはナノ粒子が毒性の原動力(driving)となっているという見解を示した。COMは現在、二酸化チタンの遺伝毒性を評価している。
 COTとCOMの議論の成果を考慮し、英国食品基準庁(FSA)は食品添加物としての二酸化チタンの安全性について独自のレビューを開始することを決定した。
 2023年3月にCOTに提出された前回のペーパーでは、EOGRT研究のデータと文献からの情報を取り上げた。この前回のペーパーの目的は、最近の EOGRT 研究と 2015~2021 年の期間を対象とした文献検索の改訂から、トキシコキネティクス及び吸収データ、生殖毒性及び異常陰窩巣、発達免疫毒性及び神経毒性に関する 2021年意見書の結論の主な変更点の基礎となるデータを提示することであった。このレビューの間、メンバーは、EFSAが、産業界で使用される場合、E171は超音波処理によってナノ粒子に分散されるとの示唆を得たため、COTは評価のためにナノ粒子のみで作られた材料のデータも考慮したと指摘した。しかしながら、純粋なナノ二酸化チタンはその技術的機能を失い(着色)、従って食品には使用できないと指摘されたため、COTメンバーからは疑問視された。
 また、二酸化チタン粒子のサイズと形状が吸収と凝集に影響する可能性があることが指摘されたが、いくつかの研究は作用機序に不確実性があることも指摘された。粒子が受動的拡散と能動的取り込みを経て血液脳関門や胎盤を通過することを示唆するエビデンスがあった。しかしながら、二酸化チタン物質が様々な臓器に入った時にどのような形態であったのか、またどの程度の期間留まったのかは不明であった。吸収のエビデンスはあるが、研究で報告された蓄積に関するエビデンスはほとんどないことに同意した。
 今回の最新版では、免疫毒性と神経毒性に関するEFSA の2021年意見書の結論の主な変更点の基礎となるデータ、免疫毒性と神経毒性に関する COT の初期結論、及び以下のトピックに関する 2021年~2023 年の期間を対象とした文献調査の改訂版を提示している。生殖毒性、免疫毒性、神経毒性、ADME(吸収・分布・代謝・排泄)を含む発達毒性に関する考察、及びその他の毒性学的影響。
 委員会は以下の質問を検討するよう求められている。
1. 提示された神経毒性研究に対する委員会の見解は?
2. 提示された免疫毒性学的研究に対する委員会の見解は?
3. 生殖毒性に関する委員会の見解は?
4. 二酸化チタンの吸収・分布・代謝・排泄(ADME)に関する委員会の見解は?
5. 委員会は他にコメントがあるか?
(注) 当該資料は7月11日開催予定の会合の議論用のペーパーであり、委員会の見解を代表するものではなく、論文等への引用は禁止する。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Review%20of%20Titanium%20Dioxide:%20Discussion%20Paper%20for%20Additional%20Endpoints
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