食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06090340301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:2022年に米国で発生した全国規模のファストフードチェーン店に関連した複数州にわたる腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染」
資料日付 2023年6月30日
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概要(記事)  MMWR(2023, 72(26):732-733、doi: 10.15585/mmwr.mm7226a6)に掲載された論文「現場からの手記:2022年に米国で発生した全国規模のファストフードチェーン店に関連した複数州にわたる腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染(Multistate Outbreak of Escherichia coli O157:H7 Infections Linked to a National Fast-Food Chain - United States, 2022)、著者C Stager (Epidemic Intelligence Service, CDC, 米国)ら」の概要は以下のとおり。
 2022年8月、ミシガン州保健福祉局は米国疾病管理予防センター(CDC)に対し、腸管出血性大腸菌O157:H7感染症の地域的な症例数が約5倍増加したことを通報した。検査により感染が確認された患者に由来する分離株の特性評価のために全ゲノムシークエンス解析が用いられた。当初の患者への聞き取り調査では、その多くが同じ全国規模のファストフードチェーン店に由来する食事を喫食していたことが示された。連邦、州、及び地方当局は、集団感染の発生源を特定し、さらなる症例の発生を防ぐために調査を開始した。
 CDCは症例を、2022年7月26日から8月24日の間に発症し、cgMLSTにより集団感染株と高度に関連すると判断された分離株による腸管出血性大腸菌O157:H7感染症例と定義した。CDCの腸疾患サーベイランスに関する全国的な分子サブタイピングネットワークであるPulseNetにより、以下の6州から109例が検出された:ミシガン州(67例、61%)、オハイオ州(24例、22%)、インディアナ州(11例、10%)、ペンシルべニア州(4例、4%)、ケンタッキー州(2例、2%)、ニューヨーク州(1例、1%)。患者の年齢中央値は22歳(範囲:1~94歳)で、49人(45%)が女性であった。52人の患者(48%)が入院し、13人(12%)が腸管出血性大腸菌O157:H7感染症の合併症として知られる溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者はなかった。
 84人(77%)の患者に対し、仮説生成のための聞き取り調査が行われ、うち70人(83%)が発症前の1週間に同じファストフードチェーンで食事をしたと報告した。調査により、11の飲食店クラスター(同じ飲食店で食事をした無関係な患者のグループ)が特定された。患者は、複数のメニューで一緒に提供されることが多い食材を喫食したと報告した。詳細な情報を提供した68人の患者のうち、最も多く報告されたばく露はビーフパテ(53人、78%)及びサンドイッチのロメインレタス(46人、68%)であった。調査の初期では、ロメインレタスへのばく露が90%を超えており、これにより当該ファストフードチェーンは、集団感染関連患者が発生した州でレタスを排除した。集団感染株に感染した食品取扱者が特定されたが、根本的な感染源である可能性は低かった。感染していた食品取扱者が一部の場所で集団感染を拡大させた可能性はあったが、多くの飲食店クラスターでは感染した食品取扱者はいなかった。
 患者から報告されたメニュー、及び食品由来腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染ではしばしば葉物野菜と牛肉が関連していることを考慮し、その発生源を突き止めるため、米国食品医薬品庁(FDA)はロメインレタスを、米国農務省食品安全検査局(USDA-FSIS)はビーフパテを遡及調査した。いずれの遡及調査でも、集団感染に関連したすべての疾病について説明可能な単一の生産ロットを特定することはできなかった。当該ファストフードチェーン店以外の別の飲食店クラスターは無く、FDA及びUSDAは、特定の食品から共通の発生源を絞り込み特定するための手法(triangulation)を用いることができなかった。各州は飲食店の食品を検査し、FDAはそのサプライチェーンから食品及び環境検体を検査したが、検査検体からは集団感染株は特定されなかった。
 腸管出血性大腸菌O157:H7による感染者が複数州にわたり発生したこの大規模な集団感染は、調査により全国規模のファストフードチェーンでの喫食に関連付けられた。疫学的調査、遡及調査及び微生物学的調査が実施されたにもかかわらず、汚染された食材は確認されなかった。本集団感染は、単一の飲食店チェーンに関連する集団感染の調査において繰り返し生じる課題を浮き彫りにしている。食材の共線性(collinearity)(すなわち、複数のメニュー品目の間で多くの食材が共有されていること)は、疾病に関連する単一の品目の特定を妨げることとなった。食材間や病気の食品取扱者による交差汚染も感染源の特定を複雑にした。当該ファストフードチェーン以外の別の供給システムによる飲食店クラスターが存在しなかったため、発生源を特定するための手法(triangulation)が使用できなかった。このような困難があったにもかかわらず、州の関係機関、FDA、USDA-FSIS、及び当該飲食店チェーンの間での明確なコミュニケーションにより、確認された飲食店から疑わしいロメインレタスを排除するための迅速な公衆衛生措置がとられた。疑わしいロメインレタスが排除されて以降、当該集団感染に関連する患者は報告されなかった。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR(2023, 72(26):732-733)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7226a6.htm
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