食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06060570314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、ハチミツに含まれるグラヤノトキシンに関するQ&Aを更新
資料日付 2023年5月3日
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分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は5月3日、ハチミツに含まれるグラヤノトキシンに関するQ&Aを更新した。概要は以下のとおり。
 グラヤノトキシンは、特にrhododendronの一部の種に発生する植物性自然毒である。この物質は、ミツバチがこれらの植物の蜜を加工した場合、ハチミツにも含まれる可能性がある。グラヤノトキシンを含むハチミツとしては、特にトルコの黒海地域産ハチミツがよく知られている。グラヤノトキシンを含むハチミツが中毒症状の原因となった事例もあるため、BfRは、このテーマについて以下の質問に回答している。
 Q1: グラヤノトキシンとは何か
 A1: グラヤノトキシンは、ツツジ科の様々な属の花粉、花、葉及び花蜜に含まれる植物性自然毒である。グラヤノトキシンを産生する植物は、例えば、様々な種類のrhododendron種である。180種類以上のグラヤノトキシンが自然に発生している。グラヤノトキシン類は、異なる毒性強度を示し、実験データによると、グラヤノトキシンⅠとグラヤノトキシンⅢが最も高い毒性強度を持つとされる。
 Q2: どのような食品にグラヤノトキシンは含まれているか?
 A2: グラヤノトキシンを産生する植物の花粉や花蜜に含まれるグラヤノトキシンは、ハチミツに混入する可能性がある。また、グラヤノトキシンを含むrhododendron種が広く自生する地域で採取されたハチミツにはグラヤノトキシンが含まれる可能性がある。グラヤノトキシンを含むrhododendron種としては、特にトルコの黒海沿岸やスペインやポルトガルの山岳地域に分布するR. luteumやR. ponticum、アルプス地方に分布するR. Ferrugineumなどがある。しかし、180種類以上ある自然発生のグラヤノトキシンのうち、実際にハチミツに含まれているのは一部のみである。グラヤノトキシンを含むハチミツは、「ポンティックハニー」「マッドハニー」または、その苦みや刺激的風味から「ビターハニー」とも呼ばれている。
 Q3: グラヤノトキシンの含有量はどのくらいなのか?
 A3: 2017年から2019年にかけてイタリア産のrhododendronハチミツを調査した際、30%の検体において測定可能なレベルのグラヤノトキシンが検出され、最大値は0.10 mg/kgであった。2012年から2017年にかけて、トルコの黒海地域産ハチミツ127製品を分析したところ、98の検体から最大74 mg/kgのグラヤノトキシンが検出された。2015年に実施されたドイツの小売業から収集した49のハチミツの分析では、グラヤノトキシンは検出されなかった。調査されたハチミツは、様々なEU加盟国及び非EU加盟国からもたらされた製品である。
 Q4: グラヤノトキシンによってどのような急性毒性作用が引き起こされるか?
 A4: 食品経由のグラヤノトキシン摂取は、急性の中毒症状を引き起こす可能性がある。急性症状は筋肉や循環器系に悪影響を及ぼし、心拍数や血圧の低下が最も頻繁に観察される。その他、めまい、麻痺、吐き気、嘔吐、唾液分泌の増加、発汗、下痢などの症状が生じる可能性がある。症状は、食品の摂取後、数分から最大5時間以内に生じ、通常数日以内に回復する。症状の程度は摂取したハチミツの量に依存する。ある研究結果から、降圧剤を服用している循環器系疾患のある人は、グラヤノトキシンの毒性作用への感受性が高くなることが示された。
 Q5: グラヤノトキンを含むハチミツはどの程度の量で中毒症状を引き起こすか?
 A5: 科学文献によると、グラヤノトキシンを含むハチミツが中毒を引き起こす下限値を正確に判定することは出来ない。文献における下限値に関するデータは、5~180 gの範囲にある。この理由は、ハチミツは製品により成分はかなり異なり、グラヤノトキシンの量も変動するからである。最悪な場合、グラヤノトキシンを含むハチミツを小さじ1杯摂取することで中毒症状が現れる可能性がある。BfRは現在、中毒症状と因果関係がある黒海地域産ハチミツに含まれるグラヤノトキシンの含有量に関するデータを僅かしかもっていない。
 Q6: ドイツではグラヤノトキシンによる中毒の事例は知られているか?
 A6: BfRの情報によると、2010年以降、グラヤノトキシンを含むハチミツの摂取後に中毒を起こした事例は、ドイツにおいて少なくとも5件ある。2012年には、56歳の男性が黒海地域産ハチミツを大さじ2杯摂取した後、心拍及び血圧の低下、循環器系の機能低下、腹痛などの激しい中毒症状が現れたが、その後完全に回復した。また、2019年には、40歳の男性が黒海地域産ハチミツを摂取した後、意識混濁、心拍低下を伴う重篤な症状が現れた。BfRが把握している中毒症状は、全て、ドイツで市販されていない、或いは、原産地が不明なハチミツが関与していた。
 Q7: グラヤノトキシンの長期(慢性)摂取による健康への影響はどのようなものが考えられるか?
 A7: 雄マウスを用いた動物実験では、グラヤノトキシンを含むハチミツの摂取により遺伝毒性作用が生じ、特に染色体変化が現れた。遺伝毒性の作用機序に関するデータ及びグラヤノトキシンを含むハチミツの長期摂取に関するデータが不足しているため、現時点で安全な摂取量を導き出すことは出来ない。
 Q8: 消費者はどのようにしてグラヤノトキシンの中毒から身を守れるか?
 A8: BfRは、rhododendronのハチミツには、特に黒海地域産の製品には、健康に悪影響を与える量のグラヤノトキシンが含まれている可能性があることから摂取しないよう勧告している。しかし、ドイツのハチミツ条例(Honigverordnung)では、原産地やハチミツの種類を表示する義務がなく、原産国のみ、或いは、混合ハチミツの場合は各原産国を表示することが定められている。複数国を原産地とするハチミツの場合、「EU加盟国/非EU加盟国産混合ハチミツ」や「EU加盟国及び非EU加盟国産混合ハチミツ」の表示も使用される可能性がある。ドイツにおけるグラヤノトキシンを含むハチミツに関する公的な食品モニタリングによる系統的データは現在入手できない。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/de/ausgewaehlte_fragen_und_antworten_zu_grayanotoxinen_in_honig-53083.html
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