食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06050470301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:乳牛の共同所有(cow-share)に関係する生乳の摂取に関連した志賀毒素産生性大腸菌O157:H7、米国テネシー州、2022年」
資料日付 2023年4月28日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  MMWR(2023, 72(17):469-470、doi: 10.15585/mmwr.mm7217a4)に掲載された論文「現場からの手記:乳牛の共同所有(cow-share)に関係する生乳の摂取に関連した志賀毒素産生性大腸菌O157:H7、米国テネシー州、2022年(Notes from the Field: Shiga Toxin-Producing Escherichia coli O157:H7 Linked to Raw Milk Consumption Associated with a Cow-Share Arrangement - Tennessee, 2022)、著者CM Thomas (Epidemic Intelligence Service, CDC, 米国)ら」の内容は以下のとおり。
 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)は、溶血性尿毒症症候群(HUS)から生命を脅かす腎不全にもなり得る食中毒の原因となる。2022年8月9日、テネシー州保健局(TDH)は、7月25日及び8月1日に下痢を起こした10か月の乳児2人のSTEC感染症例を特定した。両乳児の便検体は、PCR検査によりSTEC陽性であることが確認された。乳児の1人はHUSを発症し、血液透析が必要となり、27日間入院した。もう一方の乳児は1日間入院したが、HUSは発症しなかった。両者とも、同じ乳牛共同所有(cow-share)プログラム(※訳注)から入手した生乳を摂取した家庭におり、少なくとも1人の乳児は生乳を摂取していたと報告された。
 STECの感染源を特定するため、TDHは同プログラムの酪農場の現地視察を含む集団感染調査を開始した。農場主は電話や電気もない農村地域に居住していたため、TDH職員は最初に農場主に調査について伝えるために当該酪農場を訪問し、同プログラム参加者のリストを収集した。8月15日、現地調査及び環境評価が実施された。当該酪農場には7~10頭の雌牛がおり、毎日手搾りで搾乳していた。現地観察により、搾乳中に糞便汚染が生じる可能性があること、また、牛乳の入った容器を冷えた湧き水を機械的に循環させることにより冷却した後に氷で満たした冷却容器に浸して冷却しており、推奨される温度よりも高い温度で牛乳が保存されている可能性があることが確認された。ミルクフィルター、収集用ペール缶、牛舎の柱、4か所の糞置き場を含む8か所から検体が採取され、生乳試料も採取された。
 TDHは同プログラム参加者を対象に症例探索を実施した。同プログラムのリストには、ジョージア州、テネシー州及びノースカロライナ州の125人の参加者が含まれていた。TDHは109人の参加者の電話番号を入手し、112人を含む世帯から50人の参加者(全体の40%)に接触できた。検査による確認はないものの、7月20日に始まりすでに消失した臨床症状の申告とばく露に基づいて、1世帯から3人の可能性例(probable case)が特定された。2例の乳児の初発症例のいた2世帯は同プログラムに参加していなかったが、参加者から生乳を入手していた。入院した2例の乳児の確定症例を含む合計5症例が特定され、死亡者は報告されなかった。
 テネシー州保健局検査サービス(TDHLS)は、2人目の初発症例の便検体からSTEC O157:H7を分離した。1人目の初発症例の便では、TDHLSによる検査用の検体採取が遅れたため、STECは分離されなかった。米国農務省(USDA)の検査所は、酪農場の搾乳牛舎で採取した牛糞検体1点から、2株のSTEC O157:H7分離株を確認した。TDHLSが実施した全ゲノムシークエンス解析により、ヒトと牛糞の分離株は非常に近縁(cgMLST解析でのアレルの差異は0)であることが明らかになった。
 テネシー州では、生乳の直接的な販売は禁止されており、TDHは生乳の摂取を控えるよう勧告しているが、乳牛共同所有を通じた生乳の共有は法的に認められている。当該プログラムは生乳の分配を継続する意向であるため、TDHは、テネシー大学エクステンションの農業及び天然資源チームに8月30日に当該酪農家を訪問し、乳の汚染リスクを低減するためのベストプラクティスに関する教育を提供するよう要請した。また、当該プログラムに参加している家庭には、生乳に関連する食中毒のリスクについての教育レターを郵送した。
 生乳の消費は、食中毒の集団発生や散発症例と関連している。5歳未満の子供、65歳以上の成人、及び免疫機能が低下している人は、重症化するリスクが最も高い。低温殺菌は疾病のリスクを低減するが、生乳の規制は州や販売場所によって異なる。環境検体の採取は公衆衛生調査にとって有用な手段であり、当該集団感染における疾病を酪農場のSTECと関連付けることができた。当該集団感染は、乳牛の共同所有に関連した重篤な疾病のリスク、特にSTECに関連するHUSのリスクが高い若齢の子供のリスクを浮き彫りにした。また、共同所有に正式に参加していない家庭が影響を受ける可能性があることも示された。テネシー州では、生乳製品に固有の健康リスクに対する認識を高めることで、さらなる罹患を防ぐことができる可能性がある。
(※訳注)乳牛の共同所有(cow-share)プログラムは、複数の人が乳牛や乳牛群の共有権(share)を購入することを可能にするもので、参加者は個人的使用に関する取り決めを通して得られた牛乳を使用することができる。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR(2023, 72(17):469-470)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/72/wr/mm7217a4.htm
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