食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06050420470
タイトル 欧州疾病予防管理センター(ECDC)、サルモネラ属菌のタイピングに関する第12回外部精度評価(EQA-12)計画の結果に係る技術報告書を公表 (前半1/2)
資料日付 2023年4月26日
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概要(記事)  欧州疾病予防管理センター(ECDC)は4月26日、サルモネラ属菌のタイピングに関する第12回外部精度評価(EQA-12)計画の結果に係る技術報告書(70ページ)を公表した。概要は以下のとおり。
 サルモネラ属菌感染症は、欧州連合(EU)において2番目に多く報告されたヒトの人獣共通感染症であり、2021年には60,050例の症例が報告されている。また、サルモネラ属菌は最も多くの集団食中毒に関連している。2017年から2021年までの期間におけるEU全体のサルモネラ症発生率の傾向に大きな変化はない。サルモネラ症などの食中毒を予防するためには、疾病を監視し、集団感染の早期検出・早期対応を目的とした様々なレベルでのヒトを対象としたサーベイランスシステムが不可欠である。
 ECDCは、サルモネラ症やその他の食品由来病原体の動向を監視し、複数国にまたがる集団感染を検出するためにサーベイランス目標を設定している。さらに、予防管理プログラムの評価と監視に貢献すること、リスクのある集団や的を絞った予防策が必要な集団を特定すること、疾病負荷の評価に貢献すること、感染源及び伝播様式に関する仮説を立てること、また、研究プロジェクトのニーズを特定することも目標としている。
 これらのサーベイランス目標の達成は、EU及び欧州経済領域(EEA)諸国の公衆衛生に関するナショナルリファレンスラボラトリー(NPHRL)から提供されるデータに大きく依存している。使用されるタイピング手法、データの質及びそれらの比較可能性、そしてこれらの手法を実施する検査機関の能力を調査するために、ECDCは、サルモネラ属菌の血清型分類及び分子生物学的クラスター解析に関する年次外部精度評価(EQA)計画を委託している。
 当該サルモネラ属菌のタイピングに関する第12回外部精度評価計画(EQA-12)は、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)に委託し、血清型分類パートと分子タイピングに基づくクラスター解析パートの2部構成で実施された。当該EQAの両パートについて、参加機関は日常的に適用している方法を用いることが求められ、その成績が評価された。血清型分類は、慎重に選択された異なる血清型の12種類の分離株により構成された。クラスター分析では、クラスター株及び非クラスター株を含む10種類のSalmonella Enteritidis分離株が選択された。これは結婚式のディナーに端を発する現実の集団食中毒の状況を想定したものである。また、5株のサルモネラ属菌の生配列データ(raw read)が、クラスター解析のための全ゲノムシークエンス解析(WGS)に用いるために参加機関に提供された。これらの分離株を食品分離株として扱い、参加機関はどの食品が集団感染の原因である可能性が高いかを問われた。
 血清型分類については、24の検査機関が参加した。これらの79%(19/24)は抗血清凝集反応に基づく表現型による血清型分類を行い、17%(4/24)はWGSデータによる血清型予測を行い、4%(1/24)はLuminexを用いた遺伝学的血清型分類と表現型による手法を組み合わせて適用した。大半の検査機関の成績は良好であり、成績スコアは12機関が100%、8機関が92%であった。最も低い成績(92%未満)であった4機関はすべて表現型による手法を用いており、4機関中3機関は、その誤答の性質から、特異性の低い抗血清を使用したことが示された。しかし、表現型による血清型分類とWGSに基づく予測血清型分類の選択は、全体の成績又は特定の血清型の分類能力には影響しなかった。
 分子タイピングに基づくクラスター解析には20機関が参加し、これは前回のEQA(EQA-11、2021年)と同じ数であった。クラスター解析にWGSを用いた参加機関の割合は、EQA-11と比較して70%から85%に増加したが、反復配列多型解析(MLVA)に基づくクラスター解析を適用した機関は40%から15%に、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)に基づくクラスター解析を適用した機関は30%から10%に減少した。
 WGSに基づくクラスター解析では、多くの参加機関(14/17、82%)が「gene-by-gene」アプローチを適用し、残りの18%(3/17)は一塩基多型(SNP)に基づくタイピングを行った。用いられたプラットフォーム、アプローチ、キット、クラスター解析ツール、タイピングスキーム、及びクラスターのカットオフ値の組み合わせは、合計で15種類に上った。しかし、用いた手法は高い成績には影響せず、全体的な成績スコアとしては、提供された分離株と塩基配列について98%が正しくクラスター分類された。1機関を除く全ての参加機関は、提供された分離株のクラスター分類の成績が100%であった。また、別の1機関は品質が不十分と判断して1種類の配列の評価を行わなかった。
 3機関がMLVAに基づくタイピングを行い、すべて同一のMLVAプロファイルが得られ、100 %という高い技術的成績(訳注:EQA主催者のMLVAプロファイルとの一致)が示された。しかし、提供された分離株のクラスター分類に関する全体的な成績は、WGSに基づくクラスター解析(98%)に比べて低く(74%)、これは遺伝的に関連しない2つの分離株がMLVAプロファイルに基づく集団感染クラスターに含まれるためであった。このため、参加機関はMLVAを適用する能力は高かったが、当該技術自体の解像度が低すぎるため、分離株をクラスターに正しく分類することができなかった。
 2機関がPFGEに基づくクラスター解析を適用した。これらの研究機関の成績が互いに比較され、PFGEは移動性に乏しく、研究機関間の比較可能性が低いことが確認された。提供された分離株のクラスター分類に関する全体的な成績(72%)は、WGSに基づくクラスター解析(98%)よりも低いものであった。また、確定的なクラスター分類が困難であることが確認された。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06050421470)
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州疾病予防管理センター(ECDC)
情報源(報道) 欧州疾病予防管理センター(ECDC)
URL https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/twelfth-external-quality-assessment-scheme-salmonella-typing
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