食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06040140464 |
タイトル | オーストリア保健食品安全局(AGES)、モノクロロプロパンジオール類(MCPD)の脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルに関するファクトシートを公表 |
資料日付 | 2023年3月13日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | オーストリア保健食品安全局(AGES)は3月13日、モノクロロプロパンジオール類(MCPD)の脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルに関するファクトシートを公表した。概要は以下のとおり。 MCPD(3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)及び2-モノクロロプロパンジオール(2-MCPD))とその脂肪酸エステル、及びグリシドール脂肪酸エステルは、主に植物油の製造工程で生成するため、プロセス汚染物質に属する。植物油は、高温で加熱され、不快な匂いや苦みの成分が取り除かれる(精製)。 その工程で生成するMCPD脂肪酸エステル(150℃~)及びグリシドール脂肪酸エステル(200℃~)は、精製された全ての植物油及びこれらの油脂が原料として添加される全ての食品に含まれている可能性がある。 3-MCPD脂肪酸エステルは、動物性食品(魚、肉)の加工工程においても生成することがある。また、トースト、グリル、焼き物、揚げ物や燻製された食品にも含まれる。 発生状況 グリシドール脂肪酸エステルや3-MCPD脂肪酸エステルは、マーガリン、ベーカリー・菓子製品、パンスプレッド(チョコレートスプレッド、ピーナッツバター)、フライ製品、各種スナック製品(プレッツエル、ポテトチップ等)、乳児用調整乳及びフォローオンミルクなど、食用油及びそれらを使用した食品から検出されている。 これらの物質は、パーム油に最も高い濃度で含まれているが、他の植物油にも含まれている(例:ココナッツ油、クルミ油、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ油、マーガリン)。 MCPDの健康リスク 3-MCPDは、ヒトに対して発がん作用があるとされている。2016年に欧州食品安全機関(EFSA)が導き出した3-MCPD及び3-MCPD脂肪酸エステルに対するグループTDI(耐容一日摂取量)0.8 μg/kg体重/日が、2018年にグループTDI 2 μg/kg体重/日に改定された(EFSA、2018 (※訳注))。 2-MCPDについては、これまでそのような制限値は存在しておらず、生体への影響についても十分な調査は行われていない。 グリシドール脂肪酸エステルの健康リスク グリシドール脂肪酸エステルは体内で分解され、グリシドールが放出される。この物質は発がん作用、変異原性があるとされている(EFSA、2016;JECFA、2017 (※訳注))。そのため、食品を介した摂取を可能な限り少なくする必要がある。これらの物質に対して、ヒトの健康への悪影響を排除できるTDIを定めることはできない。 オーストリアの状況 2020年10月14日以降、特定の食品における3-MCPD、3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの最大含有量に関する規則(EC)No188/2006を修正する規則(EU)2020/1322が施行されている。公的管理の枠内で、規則対象の製品グループが法的最大含有量を遵守しているかが監視されている。 技術情報 EFSAによると、パーム油には、3-MCPDが食品1kgあたり2,912 μg/kg、2-MCPDが1,565 μg/kg、グリシドールが3,955 μg/kg、それぞれ平均値として含まれている。その他の油では、3-MCPDが48~608 μg/kg、2-MCPDが86~270 μg/kg、グリシドールが15~650 μg/kgと、平均値が低いことが判明した。 EFSAによると、グリシドール脂肪酸エステルは、植物油を200℃以上の温度で加熱した場合、ジアシルグリセロール(DAG)から生成する。パーム油はDAGを多く含むため(4~12%)、より多くのグリシドール脂肪酸エステルが生成する。 食品中の含有量データの最新のまとめは、2016年のEFSAの報告書に掲載されており、EU加盟諸国23ヵ国から食品中のこれらの物質の発生に関する計7,175件の分析データが収集されている(2009年~2015年)。 プロセス汚染物質である2-MCPD及びその脂肪酸エステル、3-MCPD及びその脂肪酸エステル、グリシドール脂肪酸エステルのばく露評価を実施した2016年のEFSA科学意見書によると、乳幼児、幼児や子どもに健康上の懸念があり、これらの低年齢層は、平均してこれらの物質を体重に対して最も多く摂取している。青年及び成人においては、これらの物質を含む製品の多摂取者(平均以上多く摂取する人々)に対して生じる潜在的な健康懸念がある。 2018年のEFSA科学意見書では、2016年に得られた3-MCPDとその脂肪酸エステルに関するデータの再評価が行なわれた。食品中の3-MCPDの摂取量はほとんどの摂取者にとって安全と評価されるが、摂取量の多い若年層の摂取者には、潜在的な健康上の懸念が存在する。最悪の場合、乳児用調整乳のみを摂取している乳児は、安全な摂取量を容易に超えてしまう可能性もある。 乳幼児は、乳児用調整乳、フォローオンミルクを通してこれらの物質を摂取している。これは、精製油脂が乳児用調整乳の成分であるからである。 3歳までの子どもは、植物油、ビスケット、ベーカリー製品及びケーキ、乳児用調整乳、揚げ物、焼いた肉製品を通してこれらの成分を摂取する。 3歳以上の子どもは、特にマーガリン、焼き菓子、ケーキを通してこれらの成分を摂取する。その他の摂取源は、植物油、揚げたり焼いたりした肉製品、チョコレートスプレッドである。 青年/成人は、マーガリン、焼き菓子、ケーキ、揚げたり焼いたりした肉製品、チョコレートスプレッドを通してこれらの物質を摂取する。 (※訳注) 参考文献 EFSA 2018:「3-モノクロロプロパンジオールとその脂肪酸エステルのリスク評価の更新」 https://www.efsa.europa.eu/de/efsajournal/pub/5083 EFSA 2016:「食品中の3-および2-モノクロロプロパンジオール(MCPD)およびその脂肪酸エステル、グリシジル脂肪酸エステルの存在に関連する人の健康に対するリスク」 https://www.efsa.europa.eu/de/efsajournal/pub/4426#verwandte-themen JECFA 2017:「食品中の特定汚染物質の評価-FAO/WHO食品添加物専門家合同委員会の第83回報告書. WHOテクニカルレポートシリーズ74-106」 https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/254893/9789241210027-eng.pdf?sequence=1&isAllowed= |
地域 | 欧州 |
国・地方 | オーストリア |
情報源(公的機関) | オーストリア保健・食品安全局(AGES) |
情報源(報道) | オーストリア保健・食品安全局(AGES) |
URL | https://www.ages.at/mensch/ernaehrung-lebensmittel/rueckstaende-kontaminanten-von-a-bis-z/mcpds-und-glycidyl-fettsaeureester |
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。
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