食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06040100535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、食品中の鉱物油炭化水素のリスク評価の更新に関する意見公募のための欧州食品安全機関(EFSA)意見書案についてのディスカッションペーパーを公表
資料日付 2023年3月20日
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分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は2023年3月20日、食品中の鉱物油炭化水素のリスク評価の更新に関する意見公募のための欧州食品安全機関(EFSA)意見書案についてのディスカッションペーパーを公表した。概要は以下のとおり。
 当該資料は、2023年3月28日開催予定の会議(COT Meeting)用の資料であり、COTの意見を反映するものではないことから引用禁止である。
 序論(抜粋)
 鉱物油炭化水素(MOH)は、石油化学製品に由来する幅広い化合物の総称である。MOHは、鉱物油飽和炭化水素(MOSH)と鉱物油芳香族炭化水素(MOAH)の2つのグループに大別される。 MOHは様々な食品から見つかっており、MOSHのレベルはMOAHのレベルよりも一般的に高い。EFSAは、MOSHが肝臓やリンパ系に蓄積する可能性があり、MOAHは遺伝毒性発がん物質として作用する可能性があることを指摘している。
 EFSAは、欧州委員会(EC)から、EFSAの前回(2012年)の評価以降に入手可能となったMOHに関する毒性試験を評価し、必要であれば科学的見解を更新するよう要請された。また、必要に応じて、ばく露評価とリスク判定の更新も依頼された。
 (以下略)
 EFSAによる過去の評価(抜粋)
 EFSAは、2012年に食品中に存在するMOHに関連するリスクを評価し、MOSHの慢性ばく露量を1日あたり0.03~0.3 mg/kg体重(bw)と推定した。MOAHのばく露量を計算するためのデータは十分ではなかったが、EFSAはMOSHのばく露量の20%であると推定した。
 MOSHについて、EFSAは、ラットの炎症に関連した肝微小肉芽腫を重要な有害事象とし、低融点ワックス(LMPW)の亜慢性試験で得られた1日あたり19 mg/kgbwの有害事象が観察されないレベル(NOAEL)を参照値(RP)として選択した。EFSA は、健康に基づく指標値(HBGV)を導き出すことは適切でないと考え、代わりにばく露マージン(MOE)アプローチを適用した。
 MOSHのMOEは、年齢層によって59~680の範囲にあり、健康への懸念があることが示された。EFSAは、遺伝毒性および発がん性に関して懸念される成分として、アルキル化の程度がゼロまたは低い3~7の環構造をもつMOAHを特定した。アルキル化の程度の高いMOAHは発がん促進剤(tumour promoter)として作用する可能性があり、ナフタレンのように3環よりも少ないものは非遺伝毒性の作用機序(MoA)を介して発がん性物質として作用する可能性がある。
 2019年、EFSAは、乳児用調製乳およびフォローオン調製乳でMOAHが検出されたことを受けて、迅速なリスク評価を発表した。3~7環のMOAHに関する情報は得られなかったため、EFSAは2012年の評価と同様に、これらには遺伝毒性および発がん性の化合物も存在することから、推定されるばく露レベルは懸念されると結論した。
 2023年EFSA評価の概要(抜粋)
 EFSAの2023年意見書で検討されているMOHは、炭素原子10~約50を含み、MOSHとMOAHに分けられる。食品中で検出され、汚染物質とみなされるMOHは、使用が許可されているMOHと類似または同一の組成をもつことが多い。それらの区別は困難であり、しばしば不明確である。組成が不明確であることが多いため、鉱物油製品の毒性評価は困難である。しかし、ほとんどのオイルでは、発がん性を示すMOAHの除去処理が行われている。
 MOSHの毒性(略)
 MOSHに関する結論
 EFSAが入手したばく露データによると、すべての年齢層でMOEは1,200を超えていた。唯一の例外は、乳児用調製乳のみが与えられる乳児であり、MOEは平均的な摂取量で790~1,070、高レベルの摂取量では680~870であることから、ばく露の可能性がある。しかし、乳児用調製乳によるばく露は短期間であるため、EFSA はこれらのMOEは懸念を生じないと結論した。全体として、EFSA は、すべての年齢層におけるMOSHへの現在の食事性ばく露では、ヒトの健康への懸念はないと結論した。しかし、蓄積したMOSH成分への選択的なばく露の可能性のある特定の食品(動物由来製品)の消費に関連するヒトの健康への影響については調査されておらず、不確実である。
 MOAHの毒性(略)
 クリティカルエンドポイントと参照値(RP)の導出(略)
 MOAHに関する結論(抜粋)
 MOAHへの食事性ばく露が最も多いのは、若年層、特に乳幼児であると推定された。しかし、食品中における3環以上のMOAHの濃度に関するデータはない。EFSAは、3環以上のMOAHを低減するために処理されたMOH製品が、食品中に存在するMOAHの主要な供給源である可能性が高いことを認めた。
 3環以上のMOAHのばく露量の推定は、MOAHの異なる供給源の寄与が異なる食品グループにおいて異なるため、極めて不確実である。そこでEFSAは、選択したベンチマークドーズ下限値(BMDL10)と、異なる食品中のMOAH画分に含まれる3環以上のMOAHの平均含有率が10%(シナリオ1)と1%(シナリオ2)の2つのばく露シナリオに基づいて評価を行った。
 シナリオ1では、MOEは平均的消費者(158~12,250)と高消費者(83~4,900)で一貫して10,000より低いことから、3環以上のMOAHの存在に関連したヒトの健康へのリスクの可能性がある。
 シナリオ2では、上限推定値(UB)で平均的消費者のほとんど、そして、高消費者のすべてに対してMOEが10,000を下回ったが、下限推定値(LB)では、平均的消費者のすべて、高消費者のほとんどに対してMOEは10,000を超えた。後者の唯一の例外は、LB MOEが4,000~8,000と高いばく露量の若年層である。このシナリオは、特に若年層の高消費者の健康に対する懸念を提起する。EFSAは、リスク判定が代用RPに基づいているため、上述の結論は控えめ(conservative)であると考えている。
 全体の結論(抜粋)
 EFSAは、利用可能なデータセットには限界があるため、HBGVの導出は適切でないと判断し、代わりに MOEアプローチを適用した。
 EFSA は、前回の評価と同様に、MOAHへのばく露に関連するリスクは、特定の MOAH の潜在的な遺伝毒性および発がん性に基づくと考えている。3 環以上のMOAHと多環芳香族炭化水素(PAH)の構造的な類似性と遺伝毒性および発がん性に対して推定されているMoAの共通性から、EFSA は、アルキル化されていないPAHを用いた動物実験から見積もられたBMDL10をMOAHのMOEアプローチに適用した。
 EFSAは、すべての年齢層におけるMOSHへの現在の食事性ばく露では、ヒトの健康への懸念はないと結論した。しかし、MOAHへの食事性ばく露は、特により若い年齢層の健康に対する懸念を提起した。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Discussion%20paper%20on%20the%20EFSA%20Draft%20Opinion%20for%20Public%20Consultation%20on%20Update%20of%20the%20risk%20assessment%20of%20mineral%20oil%20hydrocarbons%20(MOH)%20in%20food
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